紫色から始まるⅡ④

改札を抜けると、ジン君が手を振って出迎えてくれた。

白いシャツとジーパン、シンプルな服が似合ってる。

ジン「今日は来てくれてありがとう」

ユンジ「お邪魔します」

ナム子「私達までお邪魔しちゃって、本当に良かったの?」

ジミン「もう来ちゃったし」

ナム子「そうなんだけどね。楽しみなんだけど」

ジョングクさんから『お友達も誘って来てね』と言われていたので、ナム子とジミンを誘ったのだ。

二人とも最初は遠慮していたけど、テテちゃんの話をすると興味を持ってくれた。

ジン「もちろん! 弟も楽しみにしてて、昨日寝かせるのが大変だったんだ」

ジミン「俺も寝れなかった」

ナム子「何で?!」

ジミン「だってバーベキューだよ?! 久しぶりじゃん」

ナム子「確かに随分してないよね。何時振り? プールも引っ張り出して水遊びしてさ」

ナム子とジミンは、家が隣同士の幼馴染なのだ。

色々あって、最近やっと付き合い始めた。

仲が良くて、そばで見ている私も嬉しくなる。

ジン「スーパーに寄っても良い? 買い物頼まれてて」

ユンジ「何買うの?」

ジン「イチゴ。昨日買っておいたのをテテが食べちゃったんだ。大好物なんだよ」

テテちゃんの話になると、ジン君の表情が柔らかくなる。

ジン君と並んでイチゴを選んでいると、後ろからジミンとナム子の会話が聞こえた。

ジミン「仲良いよね……いつから付き合ってるんだろ」

ナム子「そういえば聞いてないね」

そうだった、付き合ってるって言っちゃってたんだ、忘れてた。

ジミンの声が聞こえたのか、こっちを見ているジン君と目が合った。

『どうする?』と目で問いかけてきたので、

ユンジ「……付き合ってる事にしておいて」

ジン君が二人に見えないように、親指を立ててOKしてくれた。

目当てのイチゴと飲み物を買って、スーパーを出た。

駅前通りは可愛らしいカフェや雑貨店が並んでいる。

大きな樹木が多くて心地よい風が吹く、居心地の良さそうな街。

一週間前、ジョングクさんに車で送ってもらった時は気付かなかった。

駅前通りから細い道に入ると住宅街が続き、ジン君が一軒家の通用門に手をかけた。

ここ?! こんな大きな家だったっけ?

ジミン「でかっ! お屋敷じゃん!」

ナム子も驚いた顔をしている。

ジン「そんな事ないよ」

大きな白い門の先に、まだ道が続いて、その奥に木々に囲まれた白い建物が見える。

木漏れ日の中を進むと、家の玄関が現れた。

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