紫色から始まる~エピローグ②
時間より少し早めに会場に着いたので、控え室に向かった。
扉から中を覗くと、身支度を整えたジミンが、落ち着かない様子でソファに座っている。
ユンジ「ジミン!」
私達に気付いたジミンが、ホッとしたような顔で笑った。
ジミン「わぁ、今日はありがとう。二人ともドレスアップして素敵だね」
ジン「ヤー、ジミンこそ似合ってる」
ユンジ「緊張してるの?」
ジミン「うん……みんな来てくれるし、楽しんで貰えるか不安で」
ジン「何言ってるの、今日はジミン達が主役なんだから、ジミンが一番楽しまなくちゃ」
ジミン「そうだよね、そうなんだよね、分かってるんだけど。ああっ緊張する!」
そういってフニャっと笑うジミン。
その顔は、やっぱり十年前と変わらない。
控え室の扉が開いて、ナム子が入ってきた。
隣には、ジンのママ、保美江さんが並んでいる。
マーメイドラインの白い総レースのドレスが、ナム子のスタイルの良さを際立たせている。
保美江さんがデザインを手掛けた、ウェディングドレスだ。
一斉に向けられた視線にビックリしたのか、ナム子は恥ずかしそうに下を向いてしまった。
見惚れてボンヤリとしていたジミンが、ハッとしてナム子のそばに駆け寄り、手をとってエスコートし始めると、ゲストから歓声が上がった。
ジミンのタキシードも、保美江さんによるもの。
スタイルの良い二人が並ぶと、本当に一枚の絵のようで。
顔を見合わせて、照れくさそうに微笑み会う二人が、とても幸せそうで。
そう、今日はジミンとナム子の結婚式。
高校卒業後、ジミンとナム子は、同じ大学へ進んだ。
保美江さんの書斎の本を読むために、ジンの実家へ足繁く通っていたナム子は、大学卒業後、保美江さんの秘書になった。
保美江さんがナム子の性格と聡明さを気に入り、編集者になるつもりだった彼女を口説き落としたのだ。
ジミンも、大学時代から保美江さんの店でアルバイトを始め、人懐っこさとセンスの良さでグングン頭角を現し、そのまま就職した。
今ではフラッグシップの店長としてメディアに顔を出すなど、広報としても活躍しているのだ。
最高のドレスやタキシードに身を包み、普段の何倍も華やいでいる二人が、何だか誇らしい。
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