なりたい
一滴の黒い墨汁になりたい。
全ての色を自分の色に包みこむような、真っ黒な墨汁になりたい。
小さな一滴の墨汁になりたい。
涙の濁りを集めたような、小さな黒い墨汁になりたい。
どこまでも真っ黒な墨汁になりたい。
吸いこまれてしまいそうになるどこまでも深い夜の海の切れ端のような墨汁になりたい。
これ以上ないほどに真っ黒で、これ以上ないほどに小さな、一滴の墨汁になりたい。
そして白い美しいあなたの皮膚にポトンと垂れて、あなたの顔の小さな黒い染みになりたい。
そうすればあなたは鏡を見るたび、私のことを思い出してくれるだろうから。
サポートしてくれたら赤くなっちゃうかも