#3渇いたkiss/Mr.Children 歌詞考察 渇いたキスで今を凌げればよかったのに
こんにちは。
今回はMr.Childrenの楽曲「渇いたkiss」の歌詞考察をしていきます。
聴いたことがない方はぜひお聴きになってから本noteをご覧いただくことをおすすめします!
・ 概要
Mr.Childrenの楽曲「渇いたkiss」は2002年に発売されたアルバム「IT'S A WONDERFUL WORLD」に収録されている曲です。
私がこの曲に出会ったのはミスチルの隠れた名曲はないかな~とネットを漁ってきたときでした。ベストアルバムにも入っておらず、CMなどで聴いたこともない曲でしたが、1回聴いただけでドはまりしてしまった、ミスチルの中で1,2を争う大好きな曲です。
タイトルの「かわいた」という言葉ですが、漢字をあてると「乾いた」と「渇いた」の2つが存在しますが、それぞれ意味を調べてみました。
「渇く」の「なにかを強く欲している様子」が今から紹介する歌詞に強く表れているので、これを読み終わった後、もう1度この2つの漢字について考えてみてください。
それでは歌詞に参りましょう!
・1番
語り手はいつも通り男性目線で描かれています。この後に「君」が出てくるので恋人関係にある2人で間違いないでしょう。そんな2人の仲は良好とは言えないようで、「生温い」=熱くも冷たくもない中途半端な空気感、距離感が間に流れているようです。
そんな関係性は沈黙しか生まず、それにうんざりされているのも語り手は理解しています。
この2人にとっての「最後の答え」とは「別れるかどうか」でしょう。語り手にその気がなくとも、「君」から別れを告げられたら嫌でも結論を出さなくてはなりません。
「かわいた」キスは「生温い」関係だとわかっていてもなお別れたくない語り手の気持ちを表現するために、気持ちがなくなってしまった「乾いた」キスではなく、まだ繋がっていたい「渇いた」キスだと表現しているのだと思います。
「君」がもう別れたがっているのは気づいてるけど、キスをすることで口を塞いで、なんとか関係を保つことはできないかと語り手は抗っています。
いつの日からか2人の関係は遠のいていき、「君」は取り繕い、嘘をつくようになった。これはおそらく彼女の浮気、二股に語り手は気づいてしまったのでしょう。
「よくあるフォーマット」とは恋人の浮気が発覚して破局する、といった恋愛においてよくある話のこと、そこにもうすでに片方の踵が乗り上げてしまっている、破局寸前の状態と考えられます。
この後の「誰かが禁断の実摘み取り」の「禁断の実」とは「君」のことで、それを浮気相手の誰かが奪い取ってしまった、そして「君」の中には再び別の恋人という「果実」が実る、という恋愛でよくある展開を表現した見事な比喩になっています。
「君」はすでに誰かに心奪われてしまっている状態、語り手に対しての気持ちがなくなった「力のない瞳」に移るのは過去の恋人になった語り手が映っていたという場面で1番が終わります。
ここまででよく伝わるのは語り手の「僕」はとても繊細で他人の機微、変化によく気づくことができる人物だということです。言うなれば男性的と言うより女性的な側面が強いように感じます。
・2番
2番に入り、月日は流れたのでしょうか。語り手は恋人と過ごした日々を思い出します。
「くたびれたスニーカー」は恋愛に疲弊した語り手自身を表していると私は考えます。
2人でベランダに出て線香花火をして楽しんでいた思い出が共に蘇ります。
「日に焼けたショーツの痕を気にする君」はまさに恋人にしか見せないプライベートな一面で、日常的なシーンだったからこそあの楽しかった日々がフラッシュバックして胸をまだなおざわつかせているようです。
「君」が眠りにつくとき=物思いにふけるときに、引き留めた語り手の言葉を思い出して、いっそのこと自分を責めて後悔すればいいと語り手は考えます。
確かにまだ好きだった恋人が急に他所で恋人を作って振られたりした日にゃ、自分の行動に苛まれて「切ない夢」を見ればいいと思う気持ちはとても共感できます。
「君」に後悔すればいいと思う一方で、語り手自身は気丈に振舞っているように思えます。いつも通りの歩き方、いつも通りの電車、何もなかったかのようないつも通りの顔。本当は苦しくて悲しくて、感情を表に出したいけれど、そうはせずに第三者の目線で自分自身を観察する、そんな性格にもうんざりしているようです。
2番は語り手から見える描写、考えが非常にリアルに表現されていて、失恋後の女々しい男の様子が表現されている歌詞が魅力的です。
・Cメロ~ラスサビ
「君」に対する想いを全て断とうとする語り手。ただしようとするたびに胸に痛みが伴うことから、まだまだ未練が残っていることが感じられます。
ラスサビでは「君」が眠りについて自分ではない誰かの腕に抱かれているときに、語り手を振った側の「君」も感じているであろう傷口のかさぶたがはがれて罪悪感を持ち続ければいいと語り手は思います。
ケロイドとは
誰しも子供のころなどに体のどこかをすりむいてかさぶたを作ったことがあるのではないでようか。それをダメだと分かっていながらもはがしてしまい悪化させてしまう、それがケロイドです。
元恋人に対して罪悪感を持ちつつづければいいという感情を「生乾きだった胸のかさぶたがはがれ桃色のケロイドに変わればいい」という歌詞で表しているのが、この曲1番のポイントだと私は思います。
「君」は語り手ではない誰かと次の恋を始めているかもしれないけど、誰でも破局の傷は持つもので、その痛みを時々思い出してしまえばいい、でも浮気して振ったならば「平気な顔」をして罪悪感という傷は癒せないまま生き続ければいいという感情が伺えます。
まとめ
今回はMr.Childrenの楽曲「渇いたkiss」の歌詞考察をしてまいりました。
この世にあるいくつもの失恋ソングの中で、この曲ほど女々しい男の機微を表現した曲はないと思います。
表現がリアルで共感を呼びやすいところが名曲だと謳われる所以だと感じました。
切ない曲が続いたので次回は明るく前向きな曲をご紹介しようと思います!
ネクストヒントは「自分が選んだ好きな事」です。ヒントになっているかどうかはさっぱりです。
また次の記事でお会いましょう。それでは聞いて下さい。
Mr.Childrenで「渇いたkiss」
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