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ストックホルム行の夜行バス

ホステルを後にする

 ハンバーグとビールでコペンハーゲン最後の夕食を済ませた私は、宿に戻った。今夜は夜行バスでストックホルムに向かう。
 夜行バスなので、先にシャワーを浴びておこうと思い、既にチェックアウトしているが宿に戻ってきたのだ。部屋には入れないが、プールのシャワーを使おうと思った。スタッフに告げると、なんとプール代をタダにしてくれた!ありがたすぎる話である。
 無事さっぱりして、コーヒーを飲みながらバスの時間を待つ。ここのホステルはなかなか良かった。スタッフも親切で、部屋も綺麗だった。雰囲気も良かった。部屋のシャワーのカギは壊れていたが。

Steel House Copenhagen
部屋

 同部屋になった多分ドイツ人の留学生が、未だに住む場所が見つからず、ホステルを転々としていると言っていたのがかわいそうだった。

バスに向かって走れ!

 そうこうしていると、バスの時間が迫ってきたことに気づいた。のんびりしすぎた。走って向かう。バカすぎるが仕方ない。
 途中でバックパックの肩ひもがまた切れる。この旅行の一日目、マドリードで切れた方とは反対側だ。これで両方ダメになった。結んでいる暇はないので、肩ひもをつかんで走る。
 アプリに表示されている乗り場に到着するも、そこにはバスなどないし、人の気配もなかった。まさか…
 ピンずれである。我らUberEats配達員の大敵。実際の場所とは違う場所がマップで表示される現象である。
 やばい!!あと10分もない。急いで別のサイトから確認すると、本当のバス停はここから1キロくらい離れている。
 さっき着たばかりのシャツを汗で濡らしながら、切れた肩ひもをつかんで夜の道路を全力疾走する。
 バスが遠くに見えた!あと2分しかない。全力を振り絞って走る。これを逃したら、この旅行でストックホルムに行くことはかなわない。
 バスまで10メートルのところで後ろのドアが閉まる。必死に足を回転させる。

 滑り込みで、運転手に声をかける。ストックホルム行で間違いないようだ。荷物を積み込んでもらう。
 良かった。間に合った。間違いなくこの旅のやばい瞬間TOP3である。

乗ったバス(休憩時撮影)

夜行バス旅

 バスは乗ってすぐに発車した。本当にぎりぎりだったようだ。

車内は緑色

 Flixbusを利用。席はリクライニングが効いて悪くない。コペンハーゲンからスウェーデンのマルメまで、とても長い橋を渡っていく。遠くなる町の灯と近くなる町の灯が水面に映って美しい。
 8か国目、スウェーデンに入国である。

 とぎれとぎれの意識の中で、見ていた夢は雲散霧消していった。決して気持ちの良い眠りではなかったが、夜を通してバスは走り続け、私をストックホルムの地まで運んでくれた。かくして私は、宿泊費を節約した。
 朝8時、ストックホルム中心部のバスターミナルに降り立つ。深呼吸を一つ。肌に冷たい風が心地いい。

バス停付近の景色

 ストックホルムはどんな街なのだろうか。ここで過ごす1日に胸を躍らせ、私は宿に向けて足を踏み出した。

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