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シャニマスイベントコミュ【絆光記】感想 救われない人々を救う方法について

 こんにちは
 ダイナナと申します。

 シャニマスイベントコミュ【絆光記】を読んで、これは私を含む「我々」救われ(たく)ない人々へのメッセージであると受け取ったため、感想を書いています。

 かなり勢い任せで書いているので拙い部分もありますが、お付き合いいただければ幸いです。めんどくさい方は目次から感想まで飛んでください。

 この文章にはイベントコミュ【絆光記】及び配布S-SSR王と蚤、の他にイベントコミュYOUR/ My Love Letter 並びに P-SSRクレオール(めぐるトワイライトコレクション)への言及が含まれます。なるべくネタバレしないように書きますが、読まれていない場合はブラウザバック推奨です。


導入

 さて、よく「人によって刺さるイベコミュが違う」という話があります。
これまでどのような作品を読んできたか、好みであるか、あるいはどういう生き方をしてきたかによって好むストーリーは変わってきます。
 すごくざっくりした言葉で言えばアイデンティティの話です。故に初心者にイベコミュをおすすめするのは難しいのですが…それは別に機会に。

 6周年を迎え、数あるイベントコミュの中でも多くの人におすすめ(無難)と言われているのがアルストロメリアの「YOUR/My Love Letter」(以下Y/MLL)です。


アルストロメリア:YOUR/MY Love letter

 Y/MLLは知っておくべき前提コミュがないこと、終盤までの構成の上手さ、アイドルだけでなくモブキャラまで深堀りできるような個性の強さもあり私もおすすめのひとつとしては異論がないところです。

その一方で、私はこのコミュが苦手です。


私がY/MLLを苦手だと思う理由


 このコミュは「他人を救いに来ている」のです。正直に言えば、傲慢さに近いものまで感じるレベルで。彼女たちは光をまといながら手を差し伸べてくれていますが、その光は影の側(私、あるいはこのコミュに出てくるモブの一人)からみればあまりにも眩しいのです。


特に終盤のこのシーンでは、映画館で映画を観ていたらぐるりとカメラが回って自分がスクリーンに映し出されたような、そんな不快感がありました。

 そういう意味では私はシャニマスの屈託のないアイドルたち(は、当然幸せになってほしいと思う一方で)の選択に共感できない事があります。
 光のアイドルよりも、挫折を知っている(私の担当)黛冬優子、あるいは斑鳩ルカの物語のほうが納得感がありました。
 彼女たちは挫折し、自ら立ち上がり(ルカはまだそこに至ってはいませんが)、その生き様を人々に見せることにより元気づけ、手を差し伸べたりはしないのです。

 近年のイベントコミュではそのような影の側の反応がある事を念頭においているのか、あるいはルカのコミュの関係か、意図して光の側で救われない人々が描かれています。影の側で光を求める人、あるいは影の中に居場所を決めた人、その影の人々の為に作品を作ろうとする人(クレオールの演出家)がいます。



オチも含め、最近のキャラクターの中では筋金入りの影の側の人


 そして、今回はその影の人々と光のイルミネが直接対峙する話として、絆光記(はんこうき)につながってきます。

本編について



光の人々、影の人々

先に本編を読んでいただいている事を前提にここまで書いてますが、今回登場した人々を光、中間、影の側に分けると

光:
・イルミネの3人
・シャニP
・宣伝担当者
・(恐らく光)ライター仲間
・医者

中間(まだ光で救える人):
・現地の女子(ワークショップの少女)
・共演したアイドル

影:
・ルポライター
・灯織に感謝を言えない女性
・真乃を勧誘してくる女性
・映画(またはイルミネ)のアンチ
・ポジティブアレルギーでストイックなレストランで飯食ってた人

 ストーリー全体を通して光の側の人々(イルミネだけでなくライター仲間、医者も)は、影の側・中間の人をなんとかして救おうと言葉をかけてくれます。結果として中間ポジションにいた現地の女子、共演したアイドルは自分の道を見つけて光の方へ進んでいきます。

ここ絆光記でも指折りの名シーン、言葉ではなく行動で伝えるめぐる

ここはイルミネのパワーですね。というか、本コミュでイルミネに直接会ってる人はみんな(ルポライター含め)前に進めています。


影の人の代表としてのルポライター

 今回終始、光のイルミネと対になって描かれるのがルポライターです。

書きたいと思うものが見つからず、光ではなく闇の方へ手を伸ばしているように思えるシーン

 彼はエンタメ雑誌で記事をかいているものの、いつかは誰にも見向きもされないような、狭くて暗いところにいる人々を書きたいという想いを持っています。そこにイルミネのインタビュアーとして同行し、記事を書くことになるわけです。

ライターの予想通り曇る人は出てきたものの、イルミネはその影の人さえも掬いとってしまう 

 結果として、年下で、薄っぺらいと思っていたアイドルの女の子たちが自分以上に言葉や行動を使い、伝え方に悩んでいるところを見てルポライター自身も悩みながら表現を模索することになります。「わかってたまるか」→「暗くて、惨めで~(中略)誰かを救ってはいけないのか」というところでは、最初の強気・斜に構えた様子から開き直り・(存在の)許しを乞うような文章になっているのはなかなか味わい深いところです。
 結果、やりきれなくなり外に飛び出すわけですが怪我をしてしまい、その後の

さすがにいってても35くらいだと思ってたのでびっくりしました。あと、完全に現実の私の話ですが、シーン暗転で当日までPカップ走っていたせいでクマができたアラサーの顔がスマホに映し出されて辛かった

ここです。
 このあと鏡を見て(サポコミュ含め)自分を若者だと言い出す描写はなくなります。(ライター仲間も鏡を見ろとか若くないとか言ってくれていましたが、怪我をするまでその優しさには気づきませんでした)
 言葉ではなく、痛みという別の方向からのアプローチで初めて自分を見ることができたのですね。


ルポライターの言葉は誰にも届かなかったのか

 さて、正直上述の部分だけならいつものイルミネコミュで、なんやかんや光堕ちして、いい感じになって終わるものだと思っていました。

 彼はほかでもない(光の側にいる)プロデューサーを救っていたのです。
 このあと「言葉は言葉だから」という言葉をプロデューサーがイルミネに対して言いますが、S-SSR【王と蚤】でも「言葉は言葉だから」というセリフをルポライターが言っているので、おそらくルポライターの本の言葉を引用したのだと思います。

この上の2つを本編に出してくれたことがこのコミュ最大の功績

 そして、何より素晴らしいのは「言葉を重ねても伝わらない言葉もあるけど、みんな(文中ではイルミネ)はそのままでいい(要約)」と、ルポライターの「日陰は日陰なりに~」というところです。
 別に光の側に無理やり連れ出そうとしているわけではなく、「ありのまま」を肯定している。
 これを本編でやってくれたことが本当に素晴らしい。
 ありがとう、シャニマス。
 

感想(もう上記長いからここから読んでくれ)

 全体通しての感想です。
 いいたことが何個かあるので箇条書きで。

・構成が上手い


 最近のコミュ大体構成が上手いからこれを言いがちなのですが、今回は本当に群を抜いて上手いです。
 イルミネのコミュは周年のはじめに出ることが多く、その年の完成度の高さを見る、いわばワインのボジョレ・ヌーボー的な存在だと思っているのですが、今年はかなり期待できそうです。


・明るいだけじゃ物足りない影の側にいるコミュ読みにも刺さる

 はい、私です。
 別にアイドルに曇ってほしいわけではないんだけど、かといって全部が全部ハッピーで改心して終わったりするとなんか腑に落ちない……みたいなめんどくさいコミュ読みにも刺さります。


・文章を書く人々への愛情が見える

 文章を常日頃から書いている人には私以上に刺さったのではないかと思います。もはやnoteの感想企画はこのために行われたのではないかと勘ぐるレベルです。
 私もnoteを書き始めて日が浅いので恐縮ではあるのですが、伝えたいことを言葉で伝えるのに周り(アイドルだけでなく、プロデューサー、スタッフ、あるいは画面の前の私達)が頑張るというメッセージを書いてくれた事は、今後感想をnoteに投稿する事への励みになりました。



シャニマスのシナリオ書いた人に伝えたい


お前の!言葉は!光は!確実に影の側にも届いた!
ありがとうシャニマス!


以上です。

 ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
 これは怪文書なので普通の記事はGW後半で書きたいと思います。

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