見出し画像

家の値段を上げているのは誰

物価高、金利上昇、人材不足、
建築業界を巡るお金の話題はネガティブなものが多く聞こえてきますが、
ずっと続いてきたデフレを脱却し、賃金アップなどの労働環境が改善されるためには、販売価格の上昇は必須とも考えられます。

しかし、それを理解していても、
アップするかもしれない賃金以上の上昇をしてしまえば、手が届かなくなってしまいます。
誰が操作しているのでしょうか?


■トレンドを造る側の人々

1)流行りの最先端はお金が掛かる

スマートフォンの新しい機種が出る度に買い替える方がいるそうですが、私のようなIT初心者には何世代も前のスマホで十分ことが足りてしまう為、新機種が出る度に買い替えるお気持ちが全く理解できません。

買っても使いこなせませんので、
バッテリーのもちが悪くなってきたり、スマホの画面に傷が付いたり、不具合が出始めてから買い替えを検討するくらいです。

一方、住宅については、
持ち家の方は買い替えを頻繁にする方はごく稀だと思いますが、
賃貸などで定期的にお引越しする方がいらっしゃいますが、引っ越し費用を含め、新しくするたびに更新費用以上の出費は発生すると思います。

また、持ち家についても、
現在販売している最新機種の採用率が増えるに比例して、コスト増になって行きます。

トレンドを追求するにはお金が掛かります。

2 SNSに翻弄されるとお金が掛かる

顔も本当の名前も知らない方の素敵なSNS投稿を見て、自宅に取り入れてみたという方もいらっしゃると思います。

一概には言えませんが、
SNS投稿で見栄えがするものと言うのは、私の実感で言えば、大体はいわゆるオプション品である印象です。
良く見る商品ではないから、人の目を惹くのです。

ですから、当然、そのまま採用すればコスト増です。
人真似をし過ぎると、知らぬ間にコストが積みあがっていきます。

3 トレンドは大きな組織が造っている?

陰謀とかではなく、
一般論として、小さな工務店が発信した新しい取り組みよりも、
大手企業が莫大な広告費用を投じて発信した情報の方が拡散しやすいですよね。

また、個人が発信していそうなSNSについても、組織立って発信・フォローしていけば、そのSNSは拡散しやすくなります。

そんなことは建築業界に限らず、
当然のように使われている手法ですので、皆さんも理解されているとは思いますが、なぜか費用が嵩むような高い性能の住宅、デザイン性の高い住宅、設置費用もメンテナンス費用もかさむ設備機器、などがあたかもトレンドのように扱われている場面をこれまでもずっと見続けていました。

もちろん、真逆のローコストのトレンドも同じくらい拡散され、ローコスト住宅でも、さも、長持ちして性能も高い住宅が造れるかのように受け取られそうな印象も拡散してきました。

情報が発信しやすくなった時代、
情報が溢れ、
何を信用するかは、完全に自己責任になりました。

■値段を上げる要因

1 性能数値の追求

住宅の性能は高いに越したことはない・・・
それは何でもそうですよね。

A5ランクのお肉がおいしいのは当たり前ですが、
A4ランクでもおいしくないわけではないですし、何なら、普段食べるならA4ランクのお肉の方が食べやすいかもしれません。

高い性能の家がどうかと言うことではなく、
ある程度、要望やご予算に応じて、目指す性能を選べる事が出来るのが望ましいと私は考えています。

数値に囚われ過ぎれば、分厚い壁、重い窓、機械管理の空気、人の暮らす家と言うよりは、実験室のような無機質な家になってしまうのではないでしょうか。

2 とにかく機械が多い

昔は通信設備と言えば、固定電話が1台ある程度でしたが、
現代では、一人一台のスマートフォン、PC、タブレットなどが複数台ある家も珍しくありません。

また、家電製品などもWIFIで操作することが出来ます。
換気、空調、給湯、施錠、開閉、様々なシーンで機械頼りな家が多くなっています。

機械のメリットは、とにかく便利なことです。
ボタン一つで操作出来たり、現代では、ボタンすら押さずに事前の設定に合わせて自動で使うことも出来ます。

機械のデメリットは、とにかく壊れやすいことです。
機能が付加されるほど、機能が繊細であるほど、機械は壊れやすくなるという実感があります。

そして、メンテナンスが決して安くないこと、交換部品の供給期間が短いこと、も後々効いてきます。

3 引き算が出来ない

前述した機械でも言えますが、
現代製造されるものたちは、消費者がその機能を全ては使いこなせていない事が多くはありませんか?

スマートフォンなどは最も顕著なものですが、
家に設置されている機器なども、せっかく付いていた機能を結局使わずに交換したなんていう方も多いと思います。

また、家づくりにおいても、SNSなどに感化され、採用してみたが全く使わない、使えなかった事があるのではないでしょうか?

家づくりには足し算よりも、引き算の方が重要だと思います。
「ここぞ」という箇所に足し、
「ここはそんなでも」という箇所を引く、
それがうまいバランスにつながるのではないかと思います。

■最後までお読みいただきありがとうございます