【50部突破】加重の教科書 〜物理で考える本質的加重論 〜
どうも、こんにちは
@DAI_vanillaです。
SNS経由で見てくださってる方がほとんどとは思いますが、一応自己紹介しておきます。
某スクールに所属しているスノーボードインストラクターで、全日本にも出場しており、某ショップのライダーもやらせてもらってます。
体育2の運動音痴がスノーボードで全国大会に行った話を書いた人です。
そして、前作であるハウツー第1弾
【 俺流角付け増強術 】を書いた人でもあります。
また、ネオグラトラー兼コブフリーライダーをやらせてもらってます。
カービングの人と思いきや、ターン中にグラトリもするタイプの人ですね。
さて、前回の角付け編に引き続き
今回は加重についてお話しします。
カービングターンの三要素は
角付け・加重・ローテーションですね。
加重はそのうちの1つです。
つまり、ターンにおいては言うまでもなく
当然、重要な項目というわけですね。
適切な加重方法を身につければ
ターンがスムーズになるだけではなく
ターンが更に鋭く、クオリティの高いものになるのは言うまでもありません。
このノートは
ターンにおける重要な要素であるが
感覚的なアドバイスとして
「こんな感じ」と言った具合にしか
語られてこなかった
『加重』
という概念に対して
物理学的視点からアプローチして
自らの感覚に落とし込んで行こう!
というコンセプトの上作成した
他にはない新たな方向性のハウツーです。
それでは、早速見ていきましょう。
角付けに関しては
目に見えて起こっている現象なので
比較的理解しやすい。
極論を言ってしまえば
要は板立てれば良いんや!
ってのは大体わかるだろう。
しかし、加重の話となると
こちらは『力』のやりとりであり
目に見えない現象である。
つまり、言及するのがかなり難しい。
というのも
俺自身、ターンを練習していく過程の中で
板を踏むとか、加重するとか、どこに乗るとか
人によって表現の仕方が様々で
かなり混乱してしまった。
俺に限らず、このような経験をして
混乱してしまった人は多いのではないだろうか。
言い方が違うだけならまだしも
同じ言葉で違うことを言っていたりするから
尚更厄介だ。
実際問題、今のスノーボード業界は
感覚論で物を語る人が多いから仕方ない。
当然一般人は勿論のこと
スクールに所属するインストラクターですら
ほとんどの人が感覚派だ。
実際それで上達していき
結果を出している人もいるから
それはそれで当然一つの正解
と言っていいだろう。
だがしかし
全日本の上位選手や検定員ですら
加重抜重について適切に理解していない人が
非常に多いのだ。
ターンの時は前に乗りましょうね〜
というのはよく言われます。
では何故前に乗るのですか?
答えられますかね?
ノーズドロップをしやすくするためですね。
ここまで答えられれば
普通にレッスンする上では困らないでしょう。
じゃあ少し質問を深掘りします。
なんで前に乗ると
ノーズドロップしやすくなるんですか?
答えられますかね?
というか、そもそもターンというものに関して
そこまで深掘りして理論的に考えている人は
どれだけいるんでしょうか。
深掘り(カービング)してるのは
ゲレンデだけですか???
はい。
話を戻しましょう。
例えば
物理的な観点から適切にターンを理解してたら
直滑降の時に板に圧を掛ける。とか
谷回りでは外力が弱いから〜。とか
前のターンの力を利用して〜。とか
物理的に見て、ちょっと突っ込みどころがある
言い回しをする事はないだろう。
この例に挙げたようなセリフは
みなさんもどこかで1回ぐらいは
聞いたことがある表現かもしれない。
実際、ある程度物理的に考える力がないと
感覚論でしか物を語れない
なんてことになってしまう。
かなり辛口の書き方をしたが
別に否定しているわけじゃない。
それで上達出来るなら全然良いのだ。
そういうアドバイスがすごくわかりやすい!
と言ってお客さんにガッツリハマって
上達へと導けるのであれば
理論を知らなくても良いかどうかは別として
まず間違いなく1つの正解だろう。
ただ、俺は出来なかった。
そういった理論を教えてくれる人が
周りにいなかったため
『正しい動きすら分からなかった』
という理由もあるかもしれない。
最初はYouTubeで色々なハウツーを漁ったりして
『この人が言うなら間違いない。』
この通りにしてみよう!
と思って忠実にその通りに実践していた。
そこで、違和感を覚え始める。
結局何が正解なのか
わからなくなってしまったのだ。
というのも
おそらくこのノートを見ている皆さんも
常々感じていることかもしれないが
人によって前に乗ったり後ろに乗ったり
板を踏んでるとか踏んでないとか
言ってることが全然違うのだ。
当時の俺は何も考えてなかったし
考える力もなかったのかもしれない。
結果、物理の知識を使って戦う事にした。
ほぼ0から理論を作るため
かなり膨大な時間がかかったが
この時はこう動くのが妥当ではないか?
という考察が出来るようになった。
そこからいくつかの仮説を作り、実験する。
という方法で
スノーボードを練習するようになった。
当然、100%物理的に考えて
明確な根拠を持って滑っているわけではない。
ただ
物理的根拠をもって導き出した仮説を
いかにして自分の滑りに落とし込み
『自分なりの感覚』として身につけるか
が最重要事項であると考えている。
俺は高校物理までしか勉強していないが
その範囲内で、ある程度妥当であろう結論を
導き出すことが出来たと思っている。
実際、結果として全国大会出場
フリーライディング種目17位
という成績を収めることができた。
というわけで、このノートでは
某旧帝大入試5位の俺が
スノーボードにおける"加重"について
物理的視点から考えた
大学6年間の集大成を記載する。
物理の話を書くと
どうしても話が難しくなってしまうため
結論だけ書こうかとも迷った。
だが、それではその辺の
感覚依存のハウツーと何ら変わりない。
正直誰にでも書ける。
そう考え、このハウツーでは
物理的視点から
『何故そうなるのか』
『何故その動きが妥当と考えたのか』
も含めて解説することにした。
そうでもしないと俺流のハウツーじゃないよな?
物理が苦手でどうしても理解できない人の為に
結論もちゃんと書いたので安心してほしい。
もし、やる気はあるけど理解できない!
という人は一旦結論の部分だけでも把握して
とりあえず練習してみてほしい。
出来るようになってくると
あぁ、なるほどそういうことか!!
と納得できてくる部分も多いはずだ。
つまり
結論が分かった上で練習し
後から自分の動作・感覚とリンクさせて
理論が理解できる
という使い方もしていただけるような
構成となっている。
ということで。
このnoteを読んでほしい人は以下のとおりだ。
・加重のメカニズムについて自信を持って説明できない。
・山回りで叩かれず、板をスムーズに動かしたい
・加重についての理論を理解したい
・俺がターン中何をしているか知りたい
・俺のことが好き
・ゲレンデで周りをキャーキャー言わせてモテるようになりたい
逆に
そもそも理論としてターンを理解しようとする気が全くない人にとってはただ眠たくなる話かも知れないから、読まないことをオススメする。
このノートを読むことで
以下の情報を得られる。
・『加重』とはどんな現象でどうすれば発生するのか
・ベーシック、ダイナミック、プレスから考える効率的なターンとは
・加重のタイミングとその物理的考察
・俺流丸秘テクニック【加重編】
・物理から考えるポジション作りの注意点
・山回りで板が暴れる現象の対処法
・『現象から物事を考える』とはどういうことか
対面レッスンでもないのに高いな〜
と思うかもしれない。
確かに対面レッスンでは
一人一人に合ったアドバイスができるし
いい点もたくさんある。
言ってしまえば、この値段で
回数時間無制限レッスン
受け放題コースと同じことだ。
つまり最強。
この値段で加重の本質を学べて
カービングが劇的に上手くなるのなら
安いもんだろう。
もちろん、価値を感じなければ
買ってもらわなくて構わない。
無料部分を読んでもらえればわかる話だが
内容に関してはかなり自信がある。
上手くなりたい人は
頼むから一回ぐらい飲みに行くのを
我慢してみてほしい。
角付け編に引き続き今回の加重編も
どこにもないハウツーに仕上がっていると自負している。
その辺のスクールで5.6000円払って
レッスンを受講しても教えてもらえないような
斬新的な内容を詰め込んだつもりだ。
この理論にたどり着くまでに
年数十回、雪山に向かう移動中(往復4時間)など
本当に膨大な時間を費やした。
周りとスノーボードの理論について話していて
そこまで考えて滑ってんの!?
と言われることは正直言ってザラにある。
このノートにはそんな生粋のカービングオタクの
6年間を詰め込んだ。
文字数はなんと28000字超え。
その辺の大学生の卒論よりも多いかもしれない。
スノーボードで学位が取れる勢いだ。
加重については自分で6年間かけて考えたい!
というバイタリティに満ち溢れた人は
買わないことをオススメする。
以下、モニターの方の感想を掲載する。
それでは始めよう。
その前に1つだけ。
このノートで使用する最重要の言葉を
最初にしっかり整理しておきたい。
誤解防止のためだ。
前作もそうだが、誤解させないように
言葉選びにはかなり気をつけてるつもりだ。
見る人が見ればすぐわかっていただけるだろう。
"かじゅう"と言っても様々な種類があり
色々な場面で色々な使われ方をしている。
荷重
→ 自分の重さにより掛かる重さ。
つまり、体重によってかかってくる力である。
要は重力。
加重
→ 自発的に板に力をかけること。
よく言うのは沈み込み加重とか
伸ばし加重とか言いますね。
スキーで言うストレッチングとベンディング。
果汁
→ 果物の汁です。
まず初めにJSBAで言うところの
ベーシックカーブ・ダイナミックカーブ
について理解したあと
それらを踏まえて
効率的なターンの為の加重について
考えていこうと思っている。
ベーシックカーブ
では普通の人がスノーボードをやり始めたら
まず一番最初に練習するであろう
ベーシックカーブからいこう。
大丈夫だと思うが、一応ベーシックって何?
ってことを簡単に解説しておくと
沈み込んで加重して、立ち上がって抜重して
エッジを切り替えるという滑り方だ。
ただ、ここで注意して欲しいのが
沈み込んでる最中は加重されないということだ。
へ?どういうこと?
お前JSBAに喧嘩売ってんの?
いきなりぶっこんでくるやんこいつ。
と思われるかもしれないが
まぁそう言わずにゆっくり読み進めて欲しい。
沈み込んでる最中というのは
言い換えれば脚の屈曲運動をしてるわけだ。
つまり、従来言われていた
沈み込み加重というのは
足を伸ばした状態から曲げていくことで加重
をするという事になるだろう。
普通に考えて出来ますか?
出来ませんよね?
だって関節曲げる動作って
自分の方に引き寄せる動作じゃないですか。
イメージ湧いたかな?
これでわからない人は腕に全く力を入れずに
手押し相撲やってみましょう。
衝撃を吸収しちゃって
相手のこと押せたもんじゃないですから。笑
要は
関節を曲げることによる加重
というのは出来ないんじゃね?
というのがわかればOKです。
というかそもそも
物に対して力をかける(圧をかける・加重する)
ってなったら、関節伸ばしますよね?
例えば、物を押して移動させるときは
手や足を伸ばす意識になるはずです。
つまり、その辺にあるものを押そうとしたら
関節は伸ばす方向に使ってるはずです。
まぁまぁ、騙されたと思って
机の上にあるコップでも押して
実験してみてくださいよ。
要は関節を曲げたら加重されるってのは
物理的にちょっと考えたらわかりますが
残念ながらウソです。(2回目)
イマイチ納得できない人の為に
物理的な解説もしておこう。
例えば人がしゃがむとき
かかっている力を図示すると以下の通りである。
下方向に向かってしゃがんでいる設定だ。
今後の考察のため
しゃがみ始め
つまり
しゃがもうとして下向きに加速してる状態
としよう。
赤が重力。青が垂直抗力。緑が慣性力だ。
慣性力は加速度と逆方向にかかる。
このノートは物理を教えるものではないので
詳しく知りたい人は運動方程式・慣性力について
勉強してみてほしい。
さて、式を見ていきますか。
わからん人は読み飛ばしてもよいからね。
興味ある人だけどうぞ。
結論はちゃんと下に書いてます。
体重→m、重力加速度→g
垂直抗力→N、加速度a
としよう。
ということで式を立てると
mg = N + ma ( →① )
言葉で説明すると
垂直抗力と慣性力の合計が
重力(荷重)に等しいですよー
という意味だ。
ちなみに、人が加速度を受けていないときは
以下のようになる。
こっちの方が単純で簡単だ。
式を立てると当然
mg = N ( →②)
である。
重力と垂直抗力の大きさが釣り合ってますね〜
という意味の式だ。
①と②の式を見比べてみてほしい。
mとgの値は絶対変わらないのでmgは一定だ。
つまり下向きの加速度aを受けると
慣性力maの分だけ垂直抗力Nが小さくなる
ことがわかるだろう。
垂直抗力Nが小さくなることが
何を意味するかわかるだろうか。
ボードは雪面から大きさNの垂直抗力を
受けているのはわかるだろう。
この時、作用反作用の法則で
雪面もボードから力を受けているわけだ。
そして、今の話は雪面に向かって沈み込むと
慣性力というものが存在することから
垂直抗力が小さくなるというものだったな。
まとめてみよう
垂直抗力が小さくなる
=雪面がボードに与えている力も小さくなる
=ボードが雪面に与えている力が小さくなる
=抜重されている
という結論になるだろう。
小難しい話を書いたが
今その場で立ち上がって
限界に近いスピードでしゃがんでみて欲しい。
そしたら足が浮きそうになるだろう。
もしくは浮いちゃう人もいるだろう。
そういうことだよ。
浮きそう
= 地面から圧が抜けてる
= 加重にはなってない
ということは感覚的にわかるだろう。
沈み込んだからといって
ボードに加重されるわけではない
と理解できただろうか。
厳密に言うと、上に書いた話は
沈み込みの初動のときの話だ。
沈み込みの終わり際は逆のことが起こる。
一応写真を使って解説しておこう。
ある程度しゃがみ終わって
動作が停止に向かって遅くなっていくときは
加速度はさっきと反対方向にかかる。
そう、上向き加速度だ。
動いてるものを止めるには
逆の加速度をかけるよね。
つまり、体に下向きの慣性力がかかってるので
この分だけ足元にいつもより多く
圧がかかってることになります。
これこそが『加重』だ。
つまり、加重には必ず加速度を伴う。
これめちゃくちゃ大切だ。
つまりこのとき、当然
体はまだ下向きに動いているため
見かけ上はしゃがむ動作をしているが
加重自体はなされていると言うことになる。
はい、難しい話だったね。お疲れ様。
手っ取り早く今の話を体験するには
体重計の上に乗って
勢いよくしゃがんでみるといいです。
そうすると
一度数字が低くなった後高くなると思います。
抜重された後、加重される
というのが数値化されてわかります。
さて、今の話から
沈み込んだからといって加重されるわけではない
というのはわかっただろう。
上に少し書いたが
しゃがみ込み=加重ではなく
身体が下に向かって加速している時は
逆に抜重されている。
つまり、加重されるタイミングというのは
その逆の状態。
身体が上に向かって加速している時だ。
物理的に言うと
上向きの加速度がかかっている状態だ。
話が難しくなったのでまとめよう。
理解するのを諦めてた人たちよ、戻っておいで。
つまるところ
物理的に妥当であると考えられる
加重されているタイミングというのは
しゃがむときの後半
立ち上がるときの前半
と思っておけば大体いいだろう。
当然、動作のスピードを変化される事で
加重されている時間と抜重されている時間は
変化させることができるし
動作を速くすることで
身体には大きな加速度がかかり
強い加重や抜重を生み出すことが出来る。
そういうわけで
加重のメカニズムは以上の通りである。
なんとなくでもご理解いただけただろうか。
これを理解した上で、この項の本題である
"ベーシックカーブ"について
少し解説しておこう。
とりあえず、簡単に考えるため
しゃがみ込む時は抜重されてて
立ち上がる時に加重されている
ということで考えてみよう。
大変恐縮だが
いきなり常識をぶっ壊させてもらおう。
基本的に、みんなが抜重!抜重!って言ってる
立ち上がりの動作は加重の動作になる。
だって足伸ばしてってるもんね。
これこそが加重だ。
沈み込み加重、立ち上がり抜重ってのは
半分正解、半分嘘だ。
勘違いをしないでもらいたいので
俺の口から世の常識に補足を加えさせてほしい。
沈み込み(をした結果その後に)加重
立ち上がり(をした結果その後に)抜重
だ。
ベーシックの時によく言う
『雪面グリップ』ってのが
立ち上がって加重された結果を
よく表してるということが理解できるだろう。
このベーシックと言われる滑り方が
カービングをするにおいて効率的か
と言われれば、YESという人はいないだろう。
じゃあ何の為の滑り方なんでしょうね?
検定の種目にあるから?
じゃあなんで検定の種目にあるんだろうか?
ベーシックに対する
俺なりの考えを書かせてもらった。
何故ならこれは
俺の俺による俺流のハウツーだからだ。
あまり大きな声では言えないが
ベーシックなんてあんなもん要らねえだろ!
という声はよく聞く。
確かに効率的な滑りとは言えないが
初心者が安全に簡単に滑りを習得する為の技術
としては有用なものである
というのは忘れてはいけないだろう。
長々と語ったので
話が逸れてしまった部分もあったが
ベーシックについて理解して頂けただろうか。
ダイナミックカーブ
さてさて、次はダイナミックカーブの
加重の仕組みについて見ていこう。
先程の理論ももう一度復習すると
基本的には
膝を伸ばすと加重、膝を曲げると抜重である。
ダイナミックカーブってどんなものかは
大丈夫かな?
教程本の文章はこんな感じだが
めちゃくちゃ簡単に言ってしまえば
ダイナミックは
膝を伸ばして加重、膝を曲げて抜重だ。
物理的にも加重という点においては
理にかなった動きである
と理解できるだろう。
加重という点だけで見れば
効率的なターンと言って言いだろう。
プレスカーブ
ちなみに、もう一つ、教本に出てくる
プレスカーブというやつがある。
これは、膝の曲げ伸ばしを可及的に抑え
上下動はそこまで行わずに滑っていく
というものである。
抜重という動作は大きく行わないため
切り替えの際に板に圧がかかったままになり
難易度が高くなるとされている。
JSBAの教程における3つの滑りがどんなものか
ある程度把握出来ただろうか。
次はベーシック・ダイナミック・プレスという
観点から見た『効率的なターン』
について考えていこう。
まぁまずは結論からいこう。
俺が考える効率的なターンとは一体どれか
それは
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