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感情と無感情の同居(ドラクエウォーク)

言われていることが、どうしてもイメージできない、ということはよくある。

パワポを作っては音声を吹き込み、を繰り返す乾いた毎日のなかで、

「ドラゴンクエストウォーク」

が合間合間に私の心の癒しになっている。これを何時間やっても何の技術も上がらないし、びた一文の得になるわけではない。癒しとはそういうものだ、損得とか無駄とか有益とか、そういう話じゃない。

仕事が一段落する。疲れる。手をだらんとする。

「あー」とか「だーっすっ」とか言ってみる。

意味はない。冷蔵庫を開ける。何か飲み食いしたいわけじゃないので閉める。

そして思う。

「あ、レベル上げよ」


スマホをとって、ドラクエウォークを立ち上げる。

MPがなくなるとまたPCにもどる。

そういうサイクルだ。


最近はこういう世の中でなので家の中だけでもかなりいろいろなプレイが可能になっているのだ。遠くに行かなくても、ダンジョンにも行けるしボスも倒せる。強敵もいるが、他のプレイヤーのキャラクターがたまに「お助け」をしてくれて、やりこみ度の高い人のキャラだと一撃のインパクトがすごいので、本当に助かって感謝している。


戦士という職業と武闘家という職業を一定レベルまで上げると

「バトルマスター」という職業に転職することができて、これがかなり強い。このバトルマスターは時折、「怒り」の状態にランダムに突入し、攻撃力がグッと上がるのだ。もともとが強いうえに怒りの状態でお助けをしてくれると、強い敵と戦っているときはかなり重宝するのだ。


ただ、戦闘に参加してくれたからといって、毎ターン攻撃してくれるとは限らないのがこのお助けシステムの特徴だ。攻撃してくれるかと思いきや、ただ「おうえん」するだけだったり、ときには「ぼ~っと」しているだけのこともある。ちょっとイラッともするが、AIのくせに人間らしく憎めない。このシステムにはとても満足していて、これがずっと続けばいいのになーと思っている。


ただ、「おい、ちょっと、それどういう状態なのか、ちゃんと考えたのか?」と製作者サイドに問うてみたいことが1つだけある。


それが、怒りを発動させながら、ぼーっとするバトルマスターだ。


バトルマスターのAIが100回戦闘に参加すれば少なく見積もっても10回はこの状態を見かける。

人間は、そういう状態に陥るのかどうか、ちょっとこっち来て話さないか。悪いようにはしない。怒ったりしない。人間の心理と身体について面白い考察ができそうじゃないか、な?「な?」っていうこともないのだが。


眉間にはしわがよっている。青筋も立っている。怒りで目には力が入っているが、よく見ると焦点が合っていない。ぼーっとしているからだ。

だが、口はだらしなく開き、時にはだ液が垂れてしまうこともあるだろう。

腕はぶらんぶらんだ。だってぼーっとしているんだから。でも怒っているから拳は強く握られているかもしれない。でもぼーっとしちゃって立っていられないから座りこんじゃうかもしれない。


一旦ここまで破綻してしまった人間の情緒は、突如として正常に戻ることができるのだろうか。


昔、竹中直人の「笑いながら怒る人」というギャグが人気を博したことがあったが、この「怒りながらぼーっとするバトルマスター」は芸としてその上を行くのではないかとささやか期待感を抱いてしまうほどだから、私の情緒もそろそろ限界のお時間のようだ。



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