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魔女会、カンガルー肉、魔界、フランスパンと洗礼。クライアントさんが沖縄にやってきた!✨





「だいさん!最後のセッションを沖縄でやるってアリですか!」


約半年間、僕のセッションを受けてくれたクライアントさんからそんなメッセージが届いた。


「もちろんです!!」


僕のホームグラウンドである沖縄。

あそび屋の庭である沖縄での対面セッションはこれ以上ない提案だった。

無双します。




クライアントさんが沖縄にやってきた!



GWの忙しなさも過ぎ去り、静かになってきた5月の中旬。



「おひさです~!」

「久しぶり〜!


僕の地元沖縄に、クライアントさんであるりーさん(仮名)が遊びに来た。




「…だいさんチャラいっすね」


金髪長髪に色眼鏡とスリッパでペタペタ歩いてきた僕をみてりーさんは苦笑した。(人と会うの久しぶりすぎて外見気にしてなかった…)



彼女とは東京で遊んで以来、会うのは2度目。
それでも約半年間のコーチングセッションで気心は知れていた。


とはいえ、実はクライアントさんが沖縄に来てくれるのははじめてだった。

僕の地元にりーさんがいるのはすごく不思議な感じ。遠かったろうに勇気を出してこんな南の島まで遊びに来てくれたことがすっごく嬉しい。



梅雨入りの沖縄には珍しく、ド晴天の水曜日。晴れ乞いが効いたのだろうか。暑苦しいほどの日差しが僕と彼女に降り注いでいた。


「んじゃ!いきましょー!!」



挨拶もそこそこに車に乗り込む。
有り余るほどの時間が目の前に広がっていた。これから話なんていくらでもできる。



あそび屋だいの沖縄ツアーがはじまった。






僕らが向かったのは沖縄北部にある国立公園にも指定された大自然「やんばる」北部の森一帯が保護地区になっている。


簡単に言うと亜熱帯のジャングル。イノシシが横切り、エビとウナギが泳ぐヤンバルの森へ。


「海きれいすぎーーーー!!やばーーーー!!」



道中はあえて高速道路を使わず、西の海が見える国道58号線を走る。透き通るエメラルドグリーンの水面がキラキラ光っていた。


道の駅で買ったおやつを頬張りながら、北部の海に向かう。海岸沿いでキャンプをする予定だ。



「ねえ聞いてーーー!」


「なにそれやばいんだけどーー!」



ほぼ女子会のノリでなんの脈絡もない話をしながらヤンバルの森の道を抜けていく。


次々と飛ぶ彼女の話。マレーシアで出会った常識外れの人たちの話、1ヶ月でコミュニティを渡り歩き100人の同志に会いに行った話、

詐欺師にマチアプにマレーシアのバリキャリ…


聞けば聞くほど面白い引き出しをどんどん見せてくれる。人生何周目なのだろうか?



僕がコーチングでやったことといえば、そんな彼女の心の枷を外しただけだった。


「これまでの力は封印されしお前の力のほんの一部にすぎん…。」


とんでもないフッ軽モンスターを生み出してしまったかもしれない。



かたや僕は、トルネードシャークって映画知ってる?空飛ぶサメだよ!とか、チーズって牛乳振り回せば作れるんだっけ?という話をしていた気がする。よく覚えてない。




「あ!!イノシシ!」


「ラッキーだねえ!あれはリュウキュウイノシシ!レアだよ〜」



ちなみに僕が彼女を拉致って無理やりキャンプに連れてってるようにみえた読者さんは誤解なきよう。やんばるの森でサバイバルキャンプをしたいと言いだしたのは彼女だ。
ということで、何が起きてもどんな獣が出てきても文句はないはず。


とはいえ、前日に『ゆるキャン△』を一気観して、「世間一般のキャンプ」を履修してきた僕に死角はない。ふふふ





そしてなんと!今回は食事にもこだわります!


閉店5分前のパン屋さんに文字通り走り込んで、息も絶え絶え、
店員さんにガチで引かれながらも手に入れたフランスパンとチーズ。そしてオリーブオイル。

このラインナップ!そう!


みんな大好き、アヒージョをつくります!



焼いたフランスパンをアツアツのオリーブオイルに浸して、とろけたチーズを乗せて食べたら、もう、最高なんす…

シーフードはもちろんブロッコリーや魚だっていけますぜ…へへへ




さらに!今夜は念願の、念願の「アレ」を開催します。2年前から楽しみにしていた「アレ」です。


後部座席の食材たちをみて、僕はそう密かにほくそ笑んでいた。





夜会のために食料を追い求め、店員さんを怖がらせ、寄り道に寄り道を重ねた結果、目的地についたのは日暮れだった。

暗くなる前にテントを建てないと何も見えなくなる。

初手からハード。


「さて、まず火を起こします。ライターはないので流木を拾ってくるぞ。」



ゆるキャン△とは…??








夜は月明かりと、先ほど彼女と起こした焚き火。そして手持ちライトをちょうどいい流木にくくりつける。


周りは真っ黒な森。遠くから波の音。
そしてときおり聞こえるギャオォンと謎の鳴き声。やんばるにきたなあ。ニコニコしてしまう。




「それでは!!アレをはじめます!✨」



「えーー本当にやるんですかあーーー」



めちゃくちゃ嫌そうに、しかし少し楽しげなりーさんがいそいそと肉を取り出してくれた。


鹿、カモ、そしてカンガルーの肉。なぜかトリュフ。




僕には夢があった。

2年も前からやりたかった念願の夢。



「気心知れたクライアントさんと沖縄で魔女会(サバト)がやりたい!」



沖縄にりーさん(クライアントさん)が遊びにくる。
ずっと思い焦がれてきたシチュエーションがついに揃ってしまった。


やりたいやりたいやりたいと僕が駄々をこねて、ついに!!沖縄で!!魔女の夢が叶います!



彼女には申し訳ないけど、最後のセッションで魔女会をやり始めるコーチを選んでしまった自分を悔いてほしい。

嘘です。付き合ってくれてありがとう。マジ感謝。





さて、魔女といえば「内容物不明の鍋をグルグル煮てるよね!」という安易な発想の下、今回の夕食は「魔女が作ってそうな闇鍋」に決定しました。


すっごい嫌そうだったりーさんも雰囲気に圧されてなんだか楽しくなってきてる様子。ランランで鹿の肉を切り分けていくりーさん。ほぼ魔女。




鍋にブツ切りにした肉たちを放り込む。ついでにそのへんから採ってきた野草(食べれる)も放り込む。


いいぞこの大胆さ!素晴らしい闇鍋感!全く味の予想がつかない! 




それらをまとめてグツグツ煮込む。もうすでに禍々しい。




そして、魔女の鍋といえば…


買ってきた魔法の粉をサラーーー


緑の発光体の出来上がり!!!



これぞ魔女鍋!!




しかし、そんな緑になる???深緑の深みエグくない?

鍋の素入れたけどほんとに鍋の味になってるのか??

恐る恐るかき混ぜながら、緑の発光液とその他内容物をおわんに入れる。



ライトで照らしてみる。

グリーンのお肉がこんにちはと顔に反射する。


ピッコ◯の肉?





えーい!ままよ!!

パク!!



「お!!!おお!!!」



…美味しくはない!!!!


うん…肉の味かな!ちょっと仄かに草の味!

りーさんも無言でもぐもぐし続けている。わかる。


是非ともつけがたい、うっすーーーーい味。闇鍋の反応でこんなことあるんだ。

いや、これはきっと噛んでるうちに、何かうまくなったりするやつだな。味の向こう側というやつが起こるかもしれない。

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ…


「…マキシム入れよっか」(美味しい調味料)


マキシム入れたら普通に美味しかった。
謎の敗北感。

そりゃあ肉にスパイスかけたら旨い。
くそ…悔しい…。


「うまい!」


「カンガルー肉はあんま味しない!!」


「鹿肉はうまい!」


「カンガルー肉は硬い!」


「カモはさすが!!煮ても焼いても旨い!」


「カンガルーだけ残さないで!!」



味がついてからはちゃんと会話が弾みました。美味しさ、大事。

その後は残ったお肉たちを焚き火で焼いたり炙ったり、


食べきれないものは表面を焼いて保存用にして過ごしました。
やってることが火を使いはじめた港川原人なんよ。


はるか昔のご先祖たちに思いを馳せながら、ふたりは手を合わせ夕食をあとにした。


「ごちそうさまでした!」




月夜の森で占いの館、開館🔮




りーさん!魔女といえば〜〜〜〜!??


「、、、、、魔女といえば?」

「占いです!」


急なコール&レスポンスにとまどうりーさん。

「あ、ああ、たしかに??」

魔女といえば占いです!占い!そしてなんとあそび屋だいは占いも始めました。あなたを占います!


「え?あ?ありがとうございます?よろしくお願いします。」


魔女会の締めは魔女の占い講座!こんなこともあろうと彼女のホロスコープ(占星術のチャート)も丁寧に印刷して持ってきました。

そしてそのための机もバッチリ!
うっすらさっきの鹿の血がこびりついてるけど。


ちなみにこんなにテンションが高いのは、僕の大好きなヤンバルの森で大好きなりーさんと念願の魔女会ができて、
ついでにガッツリお酒が入ってるからです!

アルコールに漬かった脳で人の命運を占うな。



「では、まず月と太陽、火星からいきましょう〜!」


とはいえ、僕のやっている占いは西洋占星術。データから導き出すものなので割といつやっても同じ解釈ができる。あと普通に昨日ちゃんと出したものをスマホにまとめていた。それをりーさんとの会話で微調整しながら解説していく。

まあ、あれだ。古代からスピリチュアルとお酒は切っても切れない関係だった。歴史を尊重した伝統主義というやつだ。月の下だし。焚き火もあるし。

界隈から絶対怒られるな。


でもりーさんとの占いはマジでやりました。
僕の理論と西洋占星術の伝統解釈を使って、これまでのことやいまの彼女の状況を占っていき、これからどう動いていけば良いのか約2時間ほどかけてお話させてもらいました。



それでも面白いことに、

「そうだよねえ〜!わかるーー!」

僕のコーチングセッションを受けてくれて自分を見つけた人たちは、占いの結果とほぼ同じ方向性に辿り着くんです。

彼女も例に漏れず、初めて占いをするはずなのに、出てくるデータは僕とのセッションの答え合わせのように同じキーワードが並んでいました。


「やっぱりそうだよね〜!」

「この方向性で間違えてなかったなあ」



彼女は「体験と変容」の人。

人に会いに行って、話を聞いて、新しい価値観に触れることで世界を広げていく人。個人で力をつけてのし上がって社会的地位を獲得していくような世間とはある意味真逆をいく人。

自分にぴったりな感覚や価値観を探しながら、この世界を縦横無尽に歩きながら、そこで出会う人たちに勇気を与えていくひと。出会いから色んなものを受け取って生きていく人。

でも、だからこそ社会的な価値観には合わず、これまでは親や周りの声に縛られてもがいていた。


「頑張らなきゃいけないと言ってるその声は誰の声ですか?」


そう尋ねてから自分の本心に気づいた彼女は、自由になった。

それからの彼女は、自分の頭で考え、自分の意思で決め、自身の赴くままに彼女の世界を組み立てていった。

目を見張るほどの、そして楽しそうに笑う変容ぶりだった。



そして、導かれるように目の前の占いにもその姿は現れていた。

ホロスコープを一緒に見ながら2人で笑ってしまった。






月も高く、夜が深くなってきた。

お腹もふくれて、酔いもちょうどよく回ってきた頃、僕はああそうだ…と

「そういえば、この半年間の僕とのセッションはどうでしたか?」


そう彼女に聞いた。なんだかんだ聞けなかったことだった。


「んー!そうですねーー!なんだろう…」

彼女は少し考えて、言葉を選ぶようにゆっくりと話し始めた。



「そうですねー、

はじめは1人で生きていくために個人ビジネスでギラギラ生きていくぞー!みたいに思ってたんですが、なんか全然合わなくてブレブレでなんでコーチング受けたんだろう…って自信なくしてましたね。

でも、だいさんと話していくなかで、これは自分の声じゃなかったんだ!と気がついてから、
私は本当は色々やって体験したかった、自分に正直に生きていきたかったんだ!と気づけてすごく生きやすくなったかも!

そこはだいさんと話さないとホント気付けなかった。

今でもときどき
不安だからやらないといけない!みんなからどう思われるかな?って気にしたりするけど、自分の好奇心は受けて入れていいんだってわかってから、自分を否定しなくなってきたのが一番大きい!

あと、やっぱり文化の話かなあ。私の文化は『体験と変容の人』ってわかってからすごく軸がはっきりした!


これからどうなるかわからないけど、肩書がなくてもそのままの自分に自信が持てるようになってきたら何でもできるじゃん!って思えてきたかな。」




彼女は、酔いが回って眠そうにぼんやりとしながら、それでもこの半年間を振り返ってそう話してくれた。


僕も手元の火を眺めながら、うんうんとこの半年間を電話越しで話してきた時のようにただ静かに頷いていた。

伝えられることは全部伝えてきたつもり。


6ヶ月前のセッションの初めは「んー?どういうことですか?」と実感なさげだった彼女が、「わたしそのままでもちゃんと愛されるし愛されていたんだ!」とニコニコ話してくれるようになって、彼女の変化がすごく嬉しかった。

ちなみに文化の話というのは、僕の理論で「その人だけの生きる生存戦略」を作っていこうというお話。

価値観、人間関係、お金の稼ぎ方、衣食住、遊び方、その5つをまとめて「文化」と呼んでいる。

その自分だけの文化を探して「遊んで生きていく暮らし」を作るのが僕のセッションだ。そのために約半年間かけて、刷り込まれた値観を壊して新しい文化を2人で作り上げていく。


彼女は「ちゃんとしなきゃいけない」と刷り込まれた価値観に気づいて、自分の生きる動機は何か?心がワクワク踊る瞬間は何か?をこの半年間向き合ってきた。そのための生活を作る手段を一緒に考えた。


まだまだ不安はあると思う。走り出しは誰だって不安だし、これまで使ってきた価値観を覆すのだから生半可な勇気ではなかったはずだ。それでも、今の彼女なら僕は「大丈夫。」と断言できる。


それだけ彼女には生きる力があるし、これまで培ってきたスキルも経験も人間関係もある。長い長い大変だった時期は何も無駄にはならない。その資産は確実に彼女のこれからの世界を助けてくれる。これからは、報われるターンだ。



両親や人の気持に応えて生きてきたこれまでの資産を使って、
今度は自分のためにこの面白い世界を遊び尽くしてほしい。




赤く燻って灰になってきた薪を見ながら、僕はそう彼女に伝えた。


彼女はもう夢うつつで、ぼんやりしていた。
心配しなくてもこの半年間、ずっと伝えてきたことだからきっと伝わっている。

そう思いながら僕は最後の残り火を消した。



チーズのせアヒージョフランスパン!!




眩しい光で目が覚めた。

テントを開けると、快晴の青空と澄んだ川の反射がキラキラと眩しい。

小鳥がこれでもかと元気に鳴いている。


朝が来た。


ゴソゴソとテントからでて、伸びをしながら涼やかな空気を肺に入れる。この瞬間が大好きだ。



晴れやかな気持ちで、フラフラと調理台のそばを横切る。


「…あれ?」


なんだか荒れてる?風に飛ばされたかな?


まあいいか。片付けながら朝食を作ろう。今日はお待ちかねのフランスパンとアヒージョだ。ふふふ

ニヤニヤしながら袋を漁る。


「…まって、パンないんだけど。」


どゆこと?フランスパンって風で飛ばされるほど軽くないはずだけど。逃げた?

キョロキョロと辺りを見回す。それらしきものはない。


りーさんは遠くの砂浜で散歩してるようだった。フランスパンは彼女がかじってるのかな?


そう思いながら、きっとそうだろうとちょっと川べりに沿って歩いてみる。

そのとき、

「いや、いやいやいや…!!」


そこには無惨に食いちぎられ、袋だけになったフランスパンの残骸。中身は跡形もなく、ただ「フランスパン」の値段表記が彼だと証明していた。


獣に食われとるやないかい!!


そういえば昨夜、外でゴソゴソ音がしてた気がする。きっと風だろうと気にしてなかったけど…ケモノか!!

うわあああ迂闊だったああ


沖縄には熊のような大型動物もいないし、北部だから猫もあまりいないと高をくくっていた。くそ!やられた!!


うわああ…僕らのアヒージョチーズのせフランスパン…優雅な朝食…

悔しすぎる…!!イヤだーーーーー!!


「だいさーんおはよ〜!

ねえ、なんかフランスパンがないんだけど。」



りーさんがのんびり戻ってきた。

この事実を伝えないといけないのか…



「フランスパンさんはこうなりました。」


ヒラヒラとフランスパンの残骸(ビリビリの袋)を見せる。


「僕らの朝食は無しです。」


膝から崩れ落ちる2人。


「これがキャンプなのかあーーーーーー」



そうして北部の洗礼を受けた僕らは、シヨシヨと心が折れそうになりながら野営地をあとにした。

(※ちゃんと綺麗に片付けしました)




モーニングはあの肉です。




北部から南に向けて走る白いアルト。

RADWIMPSの曲が流れる車内に、窓から森の木漏れ日が差し込んでくる。風が気持ちいい。



「お腹減ったーーーー」

「だねえええ」


シチュエーションはこれ以上ない朝だが、北部の洗礼を受けて朝食を失った僕らは腹をすかせていた。
でもこの辺りは、まだまだ保護区でご飯が食べれるところなんてない。


どうしたものか…。 



「あ、、、、!」


そういえば。
僕はおもむろにゴソゴソと後部座席のクーラーボックスに手を伸ばした。この中に確かアレがあったはず…!


…あった!!!

「はい!りーさん!これ朝食です!」


「…なんですかこれ???」


訝しげに見てくるりーさん。
僕の手にはアルミホイルに包まれた黒い塊。


「カンガルーの肉です♪」


「カンガルー…の肉…です…か」


昨日食べきれなかったカンガルー肉を表面を焼いて保存しておいたんだよね。良く言うとローストビーフ!!
美味いかは知らんけど!



りーさんが微妙そうな顔で、マキシムをちょっと振りまいたカンガルーローストニークにかじりつく。


ムグムグムグムグ


「…!!!」

「どう?」


「美味しい!!美味しいですよ!!」


マジか。僕もかじりついてみる。


「…!!!え!?めちゃくちゃ美味い!」


表面はパリッとしてるけど、中は程よい柔らかさで肉の旨味が詰まっている。噛めば噛むほど溢れ出てくる。スパイスをかけるとさらに野性味をうまく引き出してくれてクセになる味。美味しい!!


「カンガルーの最適解はローストビーフだったのか…」


「朝食カンガルー肉て…」


異世界に迷い込んだような不思議な表情をしながら、ムグムグと僕らはのんびりと南へ車を走らせた。

途中で寄った海の見えるお洒落カフェ🍰




魔界



那覇の国際通りにある飲み屋街。

最後の打ち上げはりーさんの要望で、夜の国際通りで飲むことにした。


シャッターで閉まりきっている商店街を少し奥へ入っていく。

地元の人達しか知らない、せんべろ(1000円で飲める露店)が立ち並ぶエリアだ。


僕はここを「魔界」と呼んでいる。
提灯の灯りと飲み屋街独特の騒がしさが千と千尋の神隠しの世界に迷い込んだ感覚になるからだ。


そこで僕らは気が済むまで飲み屋を渡り歩き、食べて飲んだ。酔いが回って提灯の光もゆらゆらと幻想的に見えてくる。   



楽しげな大人たちを見て、自分ももう子供じゃないんだなあと嬉しくなる。目の前のりーさんはずっと爆笑している。


そんなせんべろで最後のジョッキをあおっていたとき、りーさんがメニュー表を見て唐突に笑い出した。


「ちょっ!!だいさんっwwwこれみてwww」


腹抱えて笑っている。

なんだ?飲みすぎて壊れた?


「んー?」

僕もメニュー表を見た。そこには手書きで、



『アヒージョ・追いフランスパン半額!』



フランスパンっwww


風で飛ばされていくフランスパンの袋。噛みちぎられた無残な姿が脳内をフラッシュバックする。

伏線回収が過ぎるだろ



「…これは頼むしかない。」

「それな。」



10分後、定員さんが持ってきてくれたそのアヒージョは、それはもうアツアツでオリーブオイルの香りが食欲をそそった。



スキレットのアヒージョに、切り分けたフランスパンを浸し、具を乗せて、口に入れる。


ハフっハフっ!!



「…んまああああああ!!!」


「やっばあああああああ!!!!」




恐ろしいマッチング。一緒に酒をあおる。
幸福感。口の中に広がるオリーブととろけるカマンベールチーズ。そしてフランスパンのもちもちした食感。


「文明、すごい!他人が作る飯はうまい!!」


「マジそれな!!!」


サバイバル明けの二人の身体に文明の味が染み渡っていく。
北部で負った心の何かがファーと成仏していった気がした。

ごちそうさまでした!




あそび屋の沖縄ツアーを終えて




満足げに帰っていったりーさんから、後日こんなメッセージが届いた。

一部抜粋




あそび屋の沖縄ツアー、楽しんで頂けたようだ



とはいえ、あれだけの内容を詰め込んでも全部楽しんでニコニコ帰っていけるのは、彼女の雑食性とさえ言える好奇心、そして楽しもうとする姿勢があってこそだと思う。僕もあんなに詰め込む予定はなかった。


彼女はこれからもだれかを巻き込んで、みんなを笑顔にしながら未知の世界に飛び込んで行くのだろう。

その姿を発信していると、きっと勇気づけられる人たちが現れて彼女の元を訪ねるかもしれない。そうやって自分の好奇心を軸に人と繋がっていくその世界観こそが、彼女がこれから生きていく世界なのかなと。


焦りと不安でいっぱいな心を埋めるためにバリキャリで頑張り続けていた彼女は、
弱いところもさらけ出してあらゆる人に助け助けられて、みんなと一緒に世界を広げていく彼女になった。


半年前に僕の元を訪ねてきた彼女の陰りは晴れやかに変わったように見える。



そんな姿をこれからも陰ながら応援しています。


約半年間お疲れ様でした!!


たまにはまた遊びにきてくださいね
つぎは海でも潜りましょう!


楽しかったっ!!!✨





ーーーーーFINーーーーーーーーー



あそび屋だいは今年も『遊ぶ暮らしの作り方』を発信しています。


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