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M-1グランプリ2023 準決勝所感と決勝戦展開予想

M-1準決勝、ライブビューイング(地方ガラ空き)で観戦し後日オンラインでも視聴したので、所感をつらつらと述べたいと思います。お笑いが大好きな素人があくまで個人的に感想を記してるだけなので、生意気なことも書いているかもしれませんが、色々ご容赦ください。
(※ネタの詳しい内容には触れていませんが、ニュアンスでネタの雰囲気や構造が伝わってしまう部分はあるかもしれないので、一切のネタバレを避けたい方はブラウザバックをお勧めします。)
決勝進出した組には☆を、個人的にファイナリスト予想した組には◎を付けています。


【Aブロック】

・ナユタ 『ハマっているもの』
ナイスアマチュア賞が準決勝でネタを披露するのは去年から始まった試みだと想うんですけど、去年の深海魚といい、ナイスアマチュア賞のレベル高すぎません?"M-1"をテーマにするのは運営側から課せられてるのか不明なんですけど、テーマを限定されてるのだとしたら、その中でこれだけウケてるのエグいと思うんですけど自分だけですか?来年以降のナイスアマチュア賞に対するハードルが上がりに上がってる気がするんですけど大丈夫でしょうか。

・ダブルヒガシ 『職業に貴賎なし』
今回大阪勢が多かったので最初に言っておくと、改めて準決勝は大阪勢に対して相当厳しいというのを全体的に感じました。
ダブルヒガシに関しては、ネタによってボケツッコミの比率が変わるというか、完全にボケツッコミで別れるネタもあれば、7:3のダブルボケのネタ、5:5でダブルボケのネタもありますよね。今回はボケツッコミが完全に別れるネタだったと思うんですけど、準々までがダブルボケだったこともあって、人によっては見方が少し難しかったんじゃないかと、ライブビューイング会場の反応で感じました。個人的に3回戦のダブルヒガシが一番笑ったので、ダブルボケの方が好みなのかもしれないですね。

・ぎょうぶ 『探偵』
ここはネタ巧者という印象で毎年面白いですよね。去年とか3回戦で落ちてたのが意外でした。大阪組の中では、比較的ネタのテイストが大阪っぽくないタイプだと思うんですけど、それもあってかライブビューイング会場でも、この出順の割にしっかりウケてましたし、個人的にも好みのネタでした。

・きしたかの 『娘の名前』
きしたかのは、ネタの構成がもう一捻りできれば爆発的に面白くなる、というのがこれまでの印象だったんですけど、今回のネタはそこが担保されてたというか、これまででダントツで良いネタだなと思いました。高野さんのキャラクターがこれ以上ないくらい活きるネタで、前の席のおじさんが一発目のツッコミからツボっていて微笑ましかったです。他人のツボが分かるのも、ライブビューイングの醍醐味ですよね。

・ドーナツ・ピーナツ 『舞妓』
ドーナツ・ピーナツといえば漫才コントの印象が強いと思うんですけど、今年は3回戦で確かしゃべくりのネタをやっていて、それが個人的に相当面白かったんですよね。"映画監督"のネタを観たときからドーナツ・ピーナツはずっと好きなんですけど、漫才コントよりしゃべくりの方が向いてるんじゃないかというのがとても個人的な印象です。今年の準決勝のメンツを見ても、漫才コント勢はやはり争いが熾烈なので、しゃべくりの漫才で勝負する2人も見てみたいです。

・ママタルト 『キャンプ』 ◎
個人的にはママタルトの最高傑作だと感じました。ママタルトは"焼肉屋"のネタでダダスベリしている頃から好きなんですけど、実は去年の"マクドナルド"ネタに違和感を感じていたというか、違うことをやろうとしすぎて本来の魅力が損なわれちゃってる印象で心配してたんですけど、今回は一昨年までのスタイルに戻ってしかも精度が上がっていて、ちょっと感動すら覚えました。会場的にも最初の爆発がここだった気がします。漫才のスタイル上、どうしても真空ジェシカと比較されてしまうと思うんですけど、今回は全然劣ってないと思いましたし、決勝ではむしろママタルトの方がウケるんじゃないかと思ったりもするので、ここは決勝で観たかったですね。ただ今年は敗者復活勝ち上がりも十分あり得ると思います。

・フースーヤ 『海賊』
めちゃくちゃ笑いましたね。終盤の畳み掛けとか涙出るくらい笑いました。会場的にもだいぶウケてましたし、同じような変化球のタイプが少ないことも踏まえて決勝あり得ると思ったんですけどね。香盤的に、直後にクリーチャーみたいなコンビが出てきたためインパクトが思いの外薄れてしまったのは2人にとって誤算だったと思います。決勝で中華コレクション観たかったな、笑

・トム・ブラウン 『スナック』
フースーヤからのトム・ブラウンはカロリー高すぎませんか、笑。ビッグマック食べた直後に牛丼特盛りを出されたような胸焼け感がありましたね。このおじさん達は完全にイカれてますね。もうほんとに8割方何やってるか分からないんですよ。それなのになんであんなに面白いんですかね。みちおさんが息切れし始めたあたりから信じられないくらい笑いました。ここもウケ的には全然決勝あって良いと思ったんですけどね。Aブロックから1組は行くと思ったんですけど厳しかったですね。


【Bブロック】

・華山 『金銭トラブル』
ここも念願の準決勝ですね。エンペラー時代から実力派という印象です。今年は3回戦のネタといい、特に台本が強い良いネタを揃えてきたなという感じで、今回も要所要所しっかりウケてましたけど、やっぱり大阪ならもっとウケてるんだろうなという印象でしたね。にこらすのキャラが関東でも浸透してきたら、もっと期待できると思います。

・スタミナパン 『Youtube』
今大会最大のダークホースですね。準決勝進出者一覧の画像で1組だけ素材が無くて1回戦の画像が使われていたのは笑いました。自分も恥ずかしながら今年初めて知りましたけど、3回戦のネタは全組の中で一番笑ったかもしれません。今回のネタは3回戦以上にバカに振り切ったネタで、尻上がりにウケていて終盤拍手笑いも起きてましたね。麻婆のボケ単体も下らないのに憎めない感じで最高なんですけど、何よりツッコミのトシダさんが、間合いの取り方から感情の乗せ方から声のトーンまで、とにかく上手くて一気に引き込まれるんですよね。ここも会場を巻き込めるタイプだと思うので、敗者復活戦に期待したいです。

・豪快キャプテン 『たばこ』
声に出して言いたい芸名ランキング1位でおなじみ、山下ギャンブルゴリラ喫する大阪のコンビですね。3回戦でも披露していたネタでしたけど、ギャンゴリの熱量が上がっていくに連れて笑いも増幅して、改めてとても良いネタだと思いました。ここも認知度が上がれば上がるほど、ウケが増えていくコンビだと思うので、来年以降も楽しみですね。

・オズワルド 『散骨』
過去の実績によりハードルが上がりに上がりきった結果、もはや走り高跳びの様相を呈してきた2人ですが、今回もさすがの調整力で準決勝に間に合わせてきたなという印象でした。自分は、POISON GIRL BANDから繋がる東京漫才の系譜にあるコンビは基本大好物で、2019年にオズワルドが頭角を現してきた時は涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。今回も畠中のサイコパス成分多めの彼ららしいネタで、準々決勝のネタより遥かに良い出来だと感じました。ただやはり過去の決勝で披露したネタと比較すると劣るかなというのが正直な印象で、過去の実績が壁となっている今の2人は本当に大変ですよね。自分は未だに2019年の『先輩をもてなす』ネタが一番好きなんですけど、個人的には畠中のサイコパス具合が行きすぎないネタが好きなのかもしれないですね。

・ヘンダーソン 『ドッキリ番組』 ◎
個人的には今回の準決勝で5本の指に入るほど好みのネタでした。2021年にも披露したフォーマット漫才を更に進化させて、そこにラストイヤーの熱量をこれでもかと乗っけてきていましたね。子安さんがバッキバキの目で出てきた時点でツボに入ってしまい、終始大笑いしてしまいました。体感だと、ライブビューイング会場のウケも上々でしたし、ここは確実に行ったと思ったんですけどね。ネタの構造上、どうしても話の本題から脱線しながら進んでいくネタなので、そこを冷静に評価された感じですかね。既報通り、今回は敗者復活戦のシステムが変更となり、人気投票の側面が薄れ、純粋に良いネタをした組が勝ち上がれるシステムになっているので、個人的に今回の敗者復活勝ち上がりの最有力候補だと思っています。当日を楽しみに待ちたいと思います。

・くらげ 『思い出せない』 ☆
Bグループ中盤にして初の決勝進出組となりました。くらげはネタ巧者というイメージで、毎年違ったフォーマットを作って勝負してきていて凄いですよね。今回のネタも、ミルクボーイを彷彿とさせるフォーマット漫才で、じわじわ笑いが拡がる小気味良さがあり、女性のお客さんにも良くウケていたのが印象的でした。個人的にもかなり笑いましたが、ネタの構造上どうして笑いの数が限られてしまうので、決勝はどうかなと思いましたが見事通過となりましたね。くらげは代名詞的なあのネタも含めて、過去の強いネタもストックがあると思うので、決勝戦でどのネタを披露するのか含めて楽しみですね。

・バッテリィズ 『世界遺産』
今回苦戦を強いられた大阪組の中では、ここは検討していた方でないかと思います。バッテリィズは去年の『北海道』のネタが予選の段階でかなり話題になっていて、自分も初めてそこでバッテリィズを知り好きになりました。今年も昨年同様のスタイルで、更に完成度を上げてきていて、ほぼ全ボケ外すことなくウケていたと思います。知名度的にはあまり高くない方だと思いますが、ボケのエースは出てきて数秒で馬鹿な奴だというのが伝わってくるので、初めて観る方にも笑いどころが分かりやすいのは、このコンビの強みだと思いますね。

・真空ジェシカ 『映画館』 ☆ ◎
圧倒的なウケ量で3年連続の決勝進出を決めましたね。今回準決勝を観た中でも一番のホーム感を感じたというか、観客の受け入れ体勢が万全に整っていて、このコンビに対する期待感の高さをひしひしと感じましたね。ネタのスタイルとしては昨年までと大きくは変わらず、圧倒的な大喜利力の高さと持ち前の知的なボケを詰め込んだストロングスタイルなのですが、今年はそれに加えて随所で下らないボケを織り交ぜていて、去年までより笑いに幅が出ているように感じました。ガクのツッコミの熱加減も、まっちゃんの指摘を受けてか、今までよりメリハリを意識してるように感じたので、今年は決勝でどう評価されるのかが楽しみですね。


【Cブロック】

・ナイチンゲールダンス 『ホスト』 ◎
準決勝通過率が高いで同じみ、中休憩明けのCブロック1番手ですね。神保町組は今回3組ともCブロックに配置されていて、その中から1組は決勝に行くんだろうと思っていました。そんな中でのナイチンゲールダンスでしたが、持ち前の圧倒的な手数のボケを序盤から惜しげもなく繰り出していて、一つ一つのボケのクオリティも高かったように感じました。自分の観戦したライブビューイング会場では、全体で5本の指に入るくらいよくウケていたように感じました。正直に書くと、今までナイチンゲールダンスの漫才がそこまで好みではないと思っていたのですが、今回はめちゃくちゃ笑ってしまいましたね。会場のウケも踏まえてここは決勝に行ったと思ったのですが、落選となりましたね。当落選上には絶対に入っていたと思うので、敗者復活に期待したいと思います。

・鬼としみちゃむ 『凄い話』
最初のツカミは反則でしたね。わざわざ準決勝を観に来るような客は、あの自虐のツカミは絶対に笑ってしまうと思います。しかもあの見た目でめちゃくちゃ作り込まれたネタをする所もギャップですよね。2人とも既婚者だし、笑  肝心のネタもだんだんと引き込まれる良いネタだと思ったんですが、普通に聞いてたら動物が1匹抜けてる事にほとんどの人が気づかないと思うので、そこをツッコミがすぐに指摘するところに少しだけ違和感を感じる人もいるのかもと感じました。それでも来年以降に期待したいコンビの1つですね。

・令和ロマン 『猫ノ島』 ☆
"吉本の宝"の呼び声も高い、界隈の期待を一身に背負うコンビがここで登場です。先述した神保町組の1角で、結果的に今年はここが決勝進出を果たしましたね。髙比良くるまの圧倒的なカリスマ感と相反する愛らしさは、多くの人を惹きつける力がありますよね。今回のネタも、特徴的な設定とくるまの演技力を存分に活かしたネタで、要所ではかなりのウケをもぎ取っていました。強いネタを何本も持っているコンビなので、個人的には他にもっと面白いネタがあると思ったのと、同じ神保町組のナイチンゲールダンスのインパクトがかなり大きかったので、迷った末に決勝進出予想からは外しましたが、納得の決勝進出だと思います。戦略的な戦いが出来るのはこのコンビの強みなので、決勝でどのネタを披露するのか、どのようにブラッシュアップしてくるのかが楽しみですね。

・ニッポンの社長 『コンプライアンス』
KOCの勢いそのままに、M-1でも準決勝まで駒を進めてきました。ここも多彩なフォーマットの漫才を持っていますが、今回はかなり攻めたネタを披露していましたね。昨年のウエストランドのネタがコンプライアンス的に物議を醸しましたが、個人的にはそれよりコンプライアンス的に危ないネタだと思いました。敗者復活ではさすがにやらないと思いますけどどうでしょう、笑  まぁ自分は性格が悪いので信じられないくらい笑いましたけどねはい。ライブビューイング会場では圧倒的に女性の割合が多かったので、めちゃくちゃ気まずかったですよ。

・ダイタク 『懐かしい話』
東京吉本の実力派双子コンビ。昨年の予選はかなり世代交代感が強い選考で、ダイタクも準々決勝にて敗退。今年も若手台頭が目立つ中、執念の準決勝返り咲きを果たしました。漫才の上手さと台本の強さには言わずもがな定評がある2人ですが、これまでの準決勝では何故か会場にハマりきらず敗退してきました。そんな中での今年、ダイタクの準決勝史上では一番ウケていたんじゃないでしょうか。ネットだとファイナリスト予想に挙げている人も多かった印象です。個人的にも、POISON GIRL BANDから連なる東京漫才の系譜が大好物なので、ダイタクは決勝の舞台で見たいと思っているのですが、なかなか難しいですね。ここも敗者復活でお客さんにさえハマれば勝ち上がりも十分あり得ると思います。

・20世紀 『居酒屋』
特徴的な設定の漫才コントを披露していましたが、これは良いネタだなと思いました。会場のウケも上々でしたよね。今回のファイナリストでは漫才コント勢が4組勝ち上がりましたが、ここも当落選上だったのではないかと思います。コントを主戦場としているコンビらしいですが、M-1で準決勝まで勝ち上がってきたのは凄いですよね。ウケ量だけで言えば決勝進出組にも負けてなかったと思いますが、漫才コント勢の中でも一際コント感が強かった気もするので、そこを審査員に見られた感じですかね。

・エバース 『たばこ』
今回2つあったネタ被りの内の1つですね。豪快キャプテンと題材が被りましたが、漫才のスタイルがまったく違うのでそこまで気にならなかったと思います。個人的に東京吉本の中でもトップクラスに推しているコンビです。神保町組の1角でもありますね。東京漫才の系譜を受け継ぐ正統派のしゃべくり漫才が魅力だと思います。いずれは決勝で観れると思っていたのですが、今年初の準決勝進出を果たしてくれました。今回のネタも目の付け所が絶妙なネタで、尻上がりにじわじわと笑いを取っていましたが、前後がインパクトの大きいネタだったこともあり、やや印象に残りにくかったかなと思います。オズワルドがあれだけ評価されている事を考えれば、来年以降、決勝での活躍も十分に見込めると思うので期待したいですね。

・モグライダー 『錦野旦』 ☆ ◎
ここに関しては、2021年に優勝するものだと思っていたので、笑神籤でトップバッターを引かれたときは青ざめたのを覚えています。結果的に今もM-1で観られるのは嬉しいんですけどね。今回も『美川憲一』ネタの発展型という感じで、さらに展開を工夫して飽きが来ないようなネタに仕上がっていました。会場のウケも上々で、終盤のとある箇所は準決勝全体を通して1番の盛り上がりだった気がします。
個人的は『美川憲一』のネタと比べるとやや劣るというか、入れ替わりの部分が少し見づらいかなというのが正直な印象なんですけど、それでも当日のパフォーマンス次第で大爆発も狙えるコンビだと思うので、今年は良い出順でネタを披露できるのを願っています。


【Dブロック】

・ダンビラムーチョ 『副業』 ☆ ◎
ついに最終ブロック、トリックスターのこのコンビからスタートです。この2人は自分達が何を求められているのかよく分かっていますよね。今年の予選は、特にこのコンビへの追い風というか、会場の歓迎ムードをひしひしと感じました。冷静に考えればなんでこのネタでこんなにウケているのか不思議なんですが、愛嬌の良い2人にピッタリのネタだと思います。絶対に変なことをやってくると分かってるはずなのに、これだけウケているのはこのコンビの地肩の強さだと思いますね。決勝でどう評価されるのかが特に気になるコンビですね。

・ヤーレンズ 『引越しの挨拶』 ☆ ◎
初めに個人的なことを書くと、現M-1戦士の中でも長年応援し続けている最推しのコンビです。2019年の予選で初めてネタを観て衝撃を受け、そこから毎年応援し続けています。2019年といえば、準々決勝で『自転車屋』を披露した年で、M-1ファンなら記憶に残っている方も多いと思います。毎月30本以上のライブに出演し続けるストイックな2人、その漫才のスタイルは多岐にわたり、雑談形式・エピソードトーク・社会風刺・歌ネタなど様々なスタイルの漫才を持っていますが、M-1に限っては、ここ数年は漫才コントをメインに戦っていますね。この2人の魅力は、頭の回転力を活かした即興性の高いやり取り・観客を惹き込む漫才のスキルと喋りの上手さにあると思っていて、普段の劇場では当然のように10分以上のネタを披露しています。そんな2人にとってM-1の4分はあまりに短いですし、最もM-1への適性が低いコンビかもしれません。彼らが磨き上げたキャラクター性の強い漫才コントは、観る人によってはもしかしたらチープに映るかもしれません。しかし、6度の準々決勝敗退という苦悩の末に2人が導き出した、M-1の舞台で最大限自分たちを映えさせるための手段であり、決して付け焼刃などではありません。そう思うと、今の2人の漫才もより様々な見方ができると思います。長々と小難しいことを書きましたが、何も考えないでも笑えるのが、今のヤーレンズの漫才だと思うので、やっと辿り着いた夢舞台でどんなパフォーマンスを魅せてくれるのか期待したいですね。

・ロングコートダディ 『腕時計』
一昨年、昨年と決勝進出を果たし、コントと漫才の二刀流を体現し続けている2人。昨年のネタも、コント師ならではの視点と堂前の大喜利力をこれでもかと詰め込んだオリジナリティ溢れる漫才でしたね。そんな彼らが今年選んだのは4分間マイク前から離れない“しゃべくり漫才“でした。兎の魅力を存分に活かした漫才で、随所では良いウケが帰ってきていましたが、昨年までのイメージを持って観ると、やはり少し拍子抜けしてしまった方が多かったのか、大ウケした前3組に比べると、かなり大人しく見えてしまいましたね。賞レースにおける、堂前の洞察力は確かなものがあると思うので、敗者復活戦でどんな戦い方をしてくるのが注目ですね。

・ななまがり 『気になること』
コント・漫才の二刀流で賞レースを沸かし続ける実力派。KOC、M-1ともに当然のように準決勝までは駒を進めてくる彼らですが、決勝進出を果たしたのは2016年のKOC1回のみ。毎回惜しいところで涙を流し続けてきた彼らが遂にM-1ラストイヤーを迎えました。そんな背景もあり、今大会は予選の段階から彼らへの応援ムードをひしひしと感じましたし、その期待に応え順当に準決勝まで勝ち上がってきました。今回のネタも、彼らのセンスがこれでもかと凝縮された代名詞的なネタで、どのコンビとも被らないネタを披露していました。会場のウケも上々で個性も際立っていたので、決勝進出も十分あり得るかと思ったんですが、これがM-1の厳しさですよね。平場の強さも彼らの大きな魅力なので、敗者復活戦でどのような爪痕を残してくれるか楽しみですね。

・シシガシラ 『合コン』
念願の準決勝初進出を果たした実力派は、初進出ながらDブロック中盤という要所に配置され、運営側からの期待を感じずにはいられない中での戦いでしたね。“ハゲ“という限られた笑いの種をこれでもかと多彩な視点から魅せて笑いを生む彼らの漫才には、毎年感心させられます。今回も特徴を最大限活かしたネタで会場も盛り上がっていましたが、過去にも予選で披露していたネタだったこともあり、やはり準決勝を観に来る客層にはネタバレがあったのか、決勝進出組と比較すると、ウケはやや大人しかったかもしれません。とはいえ、まだ何年もチャンスがある2人なので、これからに期待したいですね。

・さや香 『ホームステイ』 ☆ ◎
昨年、圧倒的な実力を見せつけ大会準優勝に輝いた大阪の実力派コンビ。今年も危なげなく準決勝まで駒を進めてきました。去年の決勝審査でも散々言及されていましたが、ここは数年前にボケツッコミを入れ替えてから抜群にネタが観やすくなったように思います。今年のネタも期待値の高さに引けを取らない仕上がりで、盤石といった感じでした。流石のウケ量で、ここは決勝進出を確信しましたね。決勝までに更にブラッシュアップをしてくるのか、2本目にどんなネタを持ってくるのか、期待して当日を待ちたいと思います。

・カベポスター 『おまじない』 ☆ ◎
昨年、念願の決勝初進出を果たすもまさかのトップバッターを引き、邦子に殺された2人ですね、笑 ここも毎年期待されながら確実に面白いネタを作ってくる安定感は抜群で、今回のネタも要所で大きなウケが返ってきていて気持ち良かったですね。良い意味で、昨年のネタよりも下らなくて笑える部分が増えていて、個人的には今年のネタの方が好みですね。過去の強いネタを何本も持っているという意味では、さや香よりも2本目のネタが見込めると思うので、今年は良い出順でネタをして、最終決戦まで行ければかなりアツいと思っています。

・マユリカ 『舞妓』 ☆
今年東京進出を果たし、メディアでの露出も増え勢いに乗る2人が、4度目の準決勝挑戦にして遂に決勝への切符を勝ち取りました。今回4組勝ち上がった漫才コント勢の中でも、1発のボケのパンチ力という点では分があると思いますし、違いを見せられると思います。M-1ファンとしては、決勝の舞台で阪本がどのように登場するのかが気になりすぎて、夜しか眠れないここ数年だったので、ようやくその答え合わせができるのが楽しみで仕方ありません。ここも過去の強ネタストックが溜まりに溜まっていると思うので、どのネタを掛けてくるのかが楽しみですね


《決勝戦展開予想》
最後に蛇足だとは思いますが、少しだけ決勝戦の展開予想をして終わりたいと思います。
まず戦いの鍵を握る笑神籤による出順ですが、今回は2021年・2022年のトップバッター経験者のモグライダー・カベポスターがいますね。ここ2組は今回理想的な4〜8番辺りで選ばれると予想します。そして優勝候補のさや香ですが、ここは過去出場した2回がいずれも順番に恵まれているんですよね。ですので今回は1〜2番辺りの厳しい出順になると予想します。そしてもう1組の決勝経験者の真空ジェシカ、ここは過去2回ともに前半戦での出番が続いているので、今回7〜10番辺りの後半で選ばれると予想したいと思います。
次に各コンビのネタの期待値についてです。M-1グランプリ最大の面白さは、KOCと違い、決勝戦において準決勝とは違うネタを選択することもできるという点です。このルールがあることで、2021年のマヂカルラブリーのように準決勝のネタを2本目に温存するといった、戦略的な戦いが可能になるんですよね。しかし、基本的には準決勝で披露したネタを決勝1本目に持ってくるのがセオリーとされているので、決勝でも準決勝のネタを披露するものとして予想したいと思います。
まず、決勝初進出の5組に関して、個人的に今回の準決勝のネタがキャリアハイだと感じたコンビが、ダンビラムーチョ・ヤーレンズの2組、逆に準決勝ネタが過去ネタには劣っていると感じたのが、くらげ・令和ロマン・マユリカの3組です。
次に決勝経験者の4組に関してですが、真空ジェシカは今回のネタが過去2回の決勝ネタよりも強いと感じました。過去2回ともにとにかく松本人志にハマっていないことは気になりますが、今回はツッコミの熱加減も意識してメリハリを持たせているいるように感じましたし、終盤の良い出順で出られる予想も含めて高得点が付くと予想します。さや香は今年に関しても、昨年の『免許返納』に大きく引けを取らないネタを仕上げてきたと思いましたが、前述した出順の妙も踏まえて思ったより点数が伸び悩むと予想します。カベポスターは個人的な好みでいえば昨年のネタより好きでしたが、過去のネタの完成度の高さを踏まえれば、客観的に見てこれまでのネタと同等くらいかと思います。しかし、"昨年の件"を踏まえて山田邦子氏から一定の評価が得られそうなこと、良い出順で出られそうという予想を含めて高得点がつくのではないかと予想します。モグライダーは今回のネタで2021年の『美川憲一』のネタにより展開を加えてきましたが、個人的には、複雑にした結果少し間が悪くなって観にくい部分があると感じたので、現状の期待ほどの高評価は得られないと予想したいと思います。
次に敗者復活の予想ですが、今回の審査方法変更に伴い人気投票の側面は薄れ、当日に面白いネタをしたコンビが順当に選ばれると思うので、ヘンダーソン・ママタルト・ナイチンゲールダンス・ダイタクなど、準決勝で当落選上にいたコンビが勝ち上がると思います。しかし、ファイナリストの充実ぶりを考えると、最終決戦には残れないのではないかと考えています。
これらの予想と個人的な思い入れも含めて、最終決戦進出はカベポスター・真空ジェシカ・ヤーレンズの3組で予想したいと思います。


ここまで長々と好き勝手なことを書いてきましたが、もし最後まで読んでくださった方がいたのならありがとうございます。どんなジャンルにしろ、オタクというのは往々にして語りたがるものなので、お笑い好きはこんな視点でM-1を観ているんだな、気持ち悪いなぁなどと思っていただければ結構です。なんとなく書いてみたnoteですが、また語りたいなと思うことがあれば投稿しようと思います。それではまた。


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