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讒文芝居

●最近の此のバンド弩豪い

■Yellowjackets(イエロージャケッツ)

音楽好きも長じて来るってえと胸倉を摑み心臓劈く
ハーコー(所謂、広義のハード・コア)
喃もんは、中年が味が濃い物脂っ濃い物を成人病予防では無いにしろ
めいて段段飽きる、辛く為って来る。

上方の饂飩の如く薄口だのに旨味確乎(しっか)り
優しい御味のドナルド・フェイゲンボビー・コールドウェル
ジョージ・ウィンストンやらシャカタク……等等。
みてえ喃本当の玄人の仕事に自然と惹かれ

御子様の頃にゃあ舐めて掛かって、面白く無い等莫迦にし勝ちの
「スーパー・マーケットで掛かって然う喃、
イージー・リスニング系の音楽」
と謂う「大人心に邪魔に為らぬ奴」が好きに為って来るたあ
御釈迦様でも気が附くめえ。

燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らん哉
(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)
将又、若気の至りもイイとこで在る。
マジで穴が在ったら這入った儘、面壁九年でもせぬと
凡夫には解らぬ赤面物の浅薄さで在る。

で、今バンド。

星野源並に「響きを短くタイトに」し、
「間近の距離で私的に演奏するが如くする」
様式に近く捌けの素晴らしい雑味の全く無い絶対的確の音群は
「巧さ」とは鷺巣詩郎仰るとこの「自室に招いた暖か味」を帯びる。

即ち誰しも「好い」と謂うのは「貴方の為に」と謂う
奥底からの真心が伝わる乎否乎で在ろう。

聴くだに矢張り此の手の至宝に附き物の
身体の裡からじんわり温まり、御為倒し(おためごかし)では無い
勇気をこっそり貰えるので在る。

極端や強烈、一か八か、聴こえは恰好宜しいし解り易いが
危険且つ、鬱の温床で在り煙草等の毒をばら撒いて居るのと大差無い。

丸で清水湧水の様に平易且つ、なだらか。駘蕩する自由とは此の事。
だのに断じて、光らかし押し附けもせず、適度に緩く、
聴取者を弛緩然せるのみ。
破茶滅茶に不羈奔放するのは、決して自由では無いのだよと
優しく耳許で囁かれる様だ。

聴く人に後後、何んな影響を及ぼすの乎。サカナクション
山口一郎さんの仰る様に可惜中毒に陥らせる丈では無い、
「自己責任と乎嘯いて卑怯姑息に遁げ無い創作者」の矜持が在る。
其処迄責任と取ってこそ大人。大人の音楽此処に極まれり。

■「Rush Hour」

■「Matinee Idol」

■「It's Almost Gone」



Glass Houses【グラス・ハウス)

ビートルズYMOは親しんで居れば勝手に人物相関関係や歴史が知れるが
其の他は却って音楽性のみを愉しみ度いので全く調べぬ。

けれど、CD帯惹句に拠れば
如何も彼の有名喃「モータウン」の流れを汲む一派らしい。

多分R&Bやソウルだのだが、只今の流行の其れとは違い、
恰好宜し過ぎず泥臭く汗の匂いがする。
素朴喃味わいの裡に身体が勝手に踊り出し、明日の活力を呉れる。
深い、賦活の心意気がブチ籠って居る。

歴史上、暗黒に近い迫害対象だった
黒人さん達が、何故に安易に比較的パンクや暴力的頽廃音楽に奔らぬの乎。

其れは、彼等は賢しく靭(しなやか)。
柔靭(じゅうじん)且つ縦横無尽なので、短絡喃事をしても
始まらぬ事を識って居るからで在る。

哀しみを通り越し、最早笑うし乎術の無い境涯に屈する事無く、
胸を張って前を見て、先ずは歩き出す事。
屈託なんて衒いなんて後廻し。

此の世は暗黒だからこそ、己で行く手を照らす必要が在る。
其ん喃凍て附いた心を融かし、解す。自尊心や尊厳を見失わず
「持た然る者が、己が実力選りも計り知れぬ力を発揮する」
其れを人は「祈り」と呼ぶ。他人が遣れば「応援」だ。

当たり前の事の為に音楽は、日日の挨拶や儀礼、詩や小説は在る。
泪は流れる。夜露に冷えた地表を暖める為に陽は又昇る。

誰乎がやっとの想いで、明日を手摑みにする日日に在る。

音楽が無くても全き死にゃあせぬ。だが、音楽が無いと只生きるのに
世知辛過ぎる。味気無さ過ぎるんじゃあ在るまい乎?

「 I Surrendered」

■「 Crumbs Off The Table 」

■「Bad Bill of Goods」