関節内インピンジメント

今回は野球に関する専門用語の解説です。
専門的な内容になるのでセラピストやトレーナーの方の用語の整理、確認のために辞書のように使って頂ければ幸いです。

肩関節における投球障害の代表的なものには以下の二つがあります。

1.上方関節唇損傷(SLAP損傷)
2.インピンジメント症候群

そして、インピンジメント症候群は二つに分類されます。

1.関節内インピンジメント
2.関節外インピンジメント

関節内インピンジメント=肩甲上腕関節内
関節外インピンジメント=滑液包側

さらに、関節内インピンジメントは二つに分類されます。

1.後上方関節内インピンジメント
2.前上方関節内インピンジメント

本日は
1.後上方関節内インピンジメントについて解説します。

後上方関節内インピンジメント=posterosuperior impingement:PSI

投球動作のlate cocking phaseにおいて肩関節の外転外旋位が最大となったときに、上腕骨頭と肩甲骨関節窩後上方部の間に腱板が挟み込まれること。
これにより、棘上筋や棘下筋の関節包側不全断裂と関節唇損傷が生じる。
要因としては肩甲骨の不十分の後傾と肩関節後方構成体の柔軟性低下が挙げられる。
特に肩関節後方構成体の硬さがある場合には、肩関節外転外旋した際に肩甲骨関節窩に対して上腕骨頭が前方に押し出されることにより、上腕骨頭-肩甲骨関節窩後縁の骨間距離が短くなり腱板の挟み込みが生じやすくなったり、前方関節包が伸長されやすくなる。

悪循環イメージ

繰り返される投球動作→肩関節外転外旋可動域の増大→上腕骨頭-肩甲骨関節窩後縁の骨間距離が短くなる→関節内インピンジメント→後方組織の炎症→後方組織が硬くなる→肩甲骨関節窩に対して上腕骨頭が前方に押し出されることにより、上腕骨頭-肩甲骨関節窩後縁の骨間距離が短くなる→繰り返される投球動作→肩関節内インピンジメント→……………

対処法は後方組織の柔軟性の改善や、late cocking phaseにおける過度な肩関節外転外旋位のフォーム修正などが挙げられます。フォーム修正に関しては、いわゆる"クセ"によるものか、身体機能低下によるものかを見極める必要があります。
これに関してはまた後日説明したいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。