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エンジェルフライトと直虎から思うこと

Amazonプライムでドラマにもなった
エンジェルフライト国際霊柩送還士の原作となった佐々涼子さんの本をお正月のお休みで読んでいました。

能登半島地震や航空機事故も起きてこのお正月は、かつてないほどつらいことが続いています。

プライムドラマを見られた方は
その内容に驚かれた方も多かったのではないでしょうか。

原作者の佐々さん自身も
この題材を取材したいと思われた時
周りからではなくを題材にするものは
いかがなものかというお話しもあったそうです。

日本人は近来、核家族化して
身近に死を見ることがあまりありません。
死は病院で起こるもの。
けれど大きな災害が続いている日本では
決して他人事ではないことです。

わたしはこの数年間
ずっと死を見つめて生きて来たような気がします。
死を見つめることは生を見つめること。
生と死は隣り合っていて
生の続きに死はあるもの。
でも隣り合っている生死はその状況によっては
受け入れることがとんでもなくハードルが高いものだというのが実感です。

原作に戻りますが国際霊柩士とは、
海外で亡くなった日本人を現地の関係者と
交渉協力し国内に帰国させる方たちです。
いろんな紛争地域や
アメリカのように防腐や修復処理が
行き届いたエンバーミングの技術が
行き渡っている先進国だけではないので
遺体の状態もさまざま
彼らを日本に帰国させ生前に近い様子に復元させてご家族に会っていただくことが大事な仕事。

そしてXでもペットが貨物扱いされることが
大きく取り沙汰されていましたが
遺体も貨物で帰って来ます。

国際霊柩士の方がそこまでして遺体を海外から
帰国させ、ご家族に引き合わすのは
きちんと故人と向き合ってお別れをすることが
ご家族にとっても故人にとっても大事なことだと思っておられるからです。

外国で亡くなるという場合、
お元気で国外に出ておられる状態が
一般的なのでご遺族は突然に大切なご家族が
亡くなったと連絡を受けることから
その死を受け入れることになっていきます。

佐々さんの文章は、とても簡潔で冷静で
美しい文章です。
その文章の中の想いを届けたい熱さは
胸に届くものでした。
とても印象的な言葉をご紹介したいと思います。

『生命の失われた体をただのたんぱく質のかたまりだと済ませてしまうこともできるだろう。
しかし我々はいくら科学が進歩しようとも、遺体に執着し続け、亡き人に対する想いを手放すことはない。その説明のつかない想いが、人間を人間たらしめる感情なのだと思う。私には、亡くなった人に愛着を抱く人間という生き物が悲しくも愛おしい。亡くなったのだからもうどこにもいない、と簡単に割り切れるほど、人は人をあきらめきれないのだ。』

国際霊柩送還士

お葬式は、私の経験からしても
故人のためは、もちろんのこと
残された人たちのこの諦めきれない感情を
受け止めようとする儀式なのだと思う。

私たちは、3年半前に
家族ではないけれどとても大切な人を失った。

春馬くんを失った悲しみは自分の生きている限り無くならないと思って生きて来たけれど

生きていくことは
悲しみ抜くこと
悲しみ抜くことは、生きていくこと
と佐々さんは書いている

生きている限りは悲しみは無くならない。
それらは、心の中にずっと悲しみという言葉でありつづける。

けれど悲しみが心の中にあり続けることは
一緒に今を生きているということなのかもしれないとも思う。

おんな城主直虎のこと

年始に新しい大河ドラマが始まるということで
かつての女性が主人公の大河ドラマを取り上げた特集番組をNHKで見た。

ラストに取り上げてくれたのが
おんな城主直虎。その内容はほとんど春馬くんがした直親様がらみで直虎を取り上げてくださっていたように思った。

一年を通してリアタイで観た直虎だった。直親はドラマの前半部分で儚く散った直虎の大切な人だったけれどその後の直虎の生き様に、
ずっと直親はいて、直虎の人生を一緒に歩いているほどの存在感があったとわたしは思っている。

先日の「せかほし」でも感じたけれど
NHKの関係者が春馬くんの生き様に
哀悼を持って、その尊厳を大事にしてくれているように感じた。
家族ではない私たちが春馬くんを哀悼できるのは
そんな関係者の方たちのあたたかい心のこもった番組に触れた時に心が救われるような気持ちになれる。

一生懸命生きた人に届けたい言葉は、ありがとうしかない。そんな番組が増えていけば良いなと心から願っています。


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