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今年のダージリン、1stフラッシュ
スケバンおうち時間
紅茶好きの博多どんたく、と言っても過言ではない。
いちどは行ってみたい、阪急うめだ本店で年にいちど開催される“ワールド・ティー・フェスティバル”。世界の有名な、あるいは珍しいお茶の数々がずらりと揃い、プロフェッショナルによるセミナーの数々もおこなわれる。
今年は5月12−17日(オンラインは先行4月28日〜)に開催予定。会場も3か所に分散するなど対策を考えて準備を進めている模様だが、今日の時点ではデパートも休業要請が出るかもしれないとのこと。当然のことながら大阪には行けないとはいえ、茶を愛する者として、この数日はドキドキしながら様子を伺っている。安全第一で無理はせず、なんらかのよい形での開催ができますように。
昨年の場合はコロナ禍のため、うめだ本店での開催は実質的には中止に。ただ、その代わり、ショッピングを含めてオンラインに力を入れることになった。これが、いつも東京から羨ましく指をくわえていた茶好きスケバンにとってはまたとない幸運となった。現地での楽しい経験は味わえないものの、例年ならイベント限定で発売される銘茶の数々もオンラインショップで手に入れることができたのだ。中止は残念だけど、そこはありがたかった。
近所のスーパーに行く以外は買い物にも出かけないし、一部ではもりあがりつつあった“お取り寄せ”ブームも他人事だった。そんなわけで、このワールド・ティー・フェスティバルは、めっちゃ久しぶりに不要不急の嗜好品を買った感があったことを覚えている。
もとはといえば、とあるイベント限定の紅茶がお目当てだったのだが、まぁ、いろいろと素敵なお茶があるわけで。世界中のお茶を買ったよ。めっちゃ散財した。そして、なんとなく好奇心で買ってみた台湾のWolfteaがきっかけでずっぽりと台湾茶沼にはまった。以来、この1年はずーっと独学にて台湾茶を淹れ続けている。
初期衝動と物心両面における初期投資の大切さを大滝詠一さんから嫌というほど学んだ者としては(笑)、とりあえず膨大な茶葉を買い、茶器を揃え、毎日、毎日、いろいろ考えながら台湾茶をあれこれ試し続けるしかない。あっという間に1年。他のことを考えるひまなく、台湾茶で頭いっぱい。
そんなわけで、気がつけば1年ほど紅茶のことを忘れていた。
しかし、ダージリンの春摘みファースト・フラッシュが出てくると気になる。その年のファースト・フラッシュを淹れる時、これから夏、秋と続く収穫を思いながら、ああ1年が始まるなぁと思う。
つまり、その日がダージリン正月みたいな。
というわけで、ひさしぶりに紅茶。
今年の初ダージリンは、わたくしのバイブル『紅茶 味わいの「こつ」』の著者である3賢人のおひとりがオーナーをつとめるシルバーポットさんに入荷したリザヒル農園のもの。
あー、茶葉美しいー。
封を切った瞬間、あふれる青々しい香り。
なんか、春茶のイメージってティモテ。
ちょっと甘くて、青い香り。
私にとって、ハーブの香りというものの原体験かもしれない。
子供の頃、こんな素敵な香りがあるのかとビックリした。
♪ティモテ〜ティモテ〜
歌いたくなる。
で。リザヒル茶園。
クローナル種にこだわった歴史ある名門茶園。同じ茶園のものでも、収穫された区画によって、あるいは季節によって、全然印象が違うこともあるけれど。去年も一昨年もリザヒル銘柄はどれもこれもいい思い出しかない。
そういえば、去年、ワールド・ティー・フェスティバルの直前にシルバーポットさんのリザヒル茶園ファースト・フラッシュを買ったのが、ちょっと勇気を必要とするお値段の(汗)ダージリンを買った最後かもしれない…と思い出して、で、今年もここから始めようかなと。
いやー、やっぱり紅茶も楽しいなぁ。
最初は、ふつうのティーポットで淹れて。次は、これまた前述の3賢人のおひとりの真似をして、ちょっと大きめの蓋碗で淹れてみた。
よき。
とろけるー。
紅茶の中で、いちばん好き。ダージリンのファースト・フラッシュ。みずみずしい若葉の香り、上品な水色。”新茶”が好きな日本人のDNAも関係あるのかしら。
ひきこもっていたこの1年を振り返ってみて、自分が成長したと思えることは皆無に近い。が。ひとつだけ。とりあえず、蓋碗は上手に使えるようになりました。
最初は熱くて熱くて茶碗の縁を持つことができなくて、もう、我慢してがんばっていたら指先がカチカチに固くなって、ギターを始めたばかりの中学生かと言われたこともいい思い出(笑)。
そんなわけで、今、蓋碗で紅茶を淹れられる自分がうれしい。
先日、とあるお茶店の方に聞いたところ、この1年でお茶を始めた方、再開した方がすごく多いらしい。正しき茶道というのではなく、家にいる時間が増え、ゆっくりお茶を淹れることに目覚めた人、いかにおいしいお茶を淹れるかに燃えはじめてしまった人が多いのだとか。わかる。すごくよくわかる。
ていうか、それ、私です(笑)。
ひとりで、自分と向かい合う時間には、きちんとお茶を淹れるという行為がひとつの儀式というか、コンセントレーションのきっかけを作るいちばん簡単な方法じゃないかなと思う。
シングルオリジンティーの楽しさに目覚めてから、わかりづらいたとえですが「レコードを買うみたいにお茶を買う」面白さがわかってきたというか。そんな私にとっては、ほんとに目からウロコの本でした。
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