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追悼 デイヴィッド・サンボーン

ウッドストック系とかラテン系の人脈とも親密で、かつ都市生活者の哀愁を帯びた洒落たフレージングが魅力的なサンボーンの音色が、「平日はバリキャリ都会人、週末は高級リゾートにひとっ飛びしてテキーラとコケーンでハメをはずす」的な80年代のヤッピー幻想の象徴としてのSNLを体現する音になった。

“サタデー・ナイト・ライヴ”のスタジオセットが醸し出す“都会の秘密パーティ”的なしつらえと、あまりにも贅沢で洒落たハウスバンドの演奏は、今では「笑っていいとも!」のセットと同じ意味合いでしかないが。当初はカナダ人ローン・マイケルズが考える「こういうのがホントの洒落たニューヨーカーだよ」という提案としての番組コンセプトを具現化していた。

そんなことを、こないだのレココレのフュージョン特集(海外編)で『Hideaway』書きながらずっと考えていて、久しぶりにいろいろソロとか参加作を聴いていたところだった。フュージョンとかNYサルサを自分たちのパーティ・ミュージックとした80年代ニューヨークの文化人コミュニティに燦然と君臨したサンボーンの音色は、クールな都会人を気取る彼らの内側に流れる熱い郷愁にダイレクトに、こっそりと触れた。だから、女性たちのアイドルでもあった。ケニーGとは根っこから成り立ちが違うのだ。一瞬にして彼だとわかる音色とフレーズはワンアンドオンリー。デイヴィッド・サンボーンR.I.P.



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