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ドラマのない物語

ドラマのない物語に惹かれる。

厳密に言えば、ドラマ性の薄い物語に。

この世に完全にドラマのない物語は無いだろうから。

ただただ駄弁が繰り広げられる物語が好きなのだ。

特に演劇では。

90年代に流行した「静かな演劇」と呼ばれる演劇群に魅せられた。

舞台セットの中で登場人物達が入れ替わり立ち替わり登場し、ドラマ性から距離を置いた会話を淡々と繰り広げる。

そのような演劇になぜか惹かれるのだ。

もっと遡れば50年代の「ゴドーを待ちながら」だ。

演劇ではあるがそこにドラマは無く、「現れない神を待つ」という行為だけがそこに存在する。

冷静に考えれば神が「来ない」という状況は逆にかなりドラマチックではあるが、やはり「来ない」以上そのドラマ性は薄い。

なぜそのような物語に惹かれるのだろう。

恐らくはそのカウンター的な姿勢に魅力を感じるのだろう。

演劇なのに物語が無いという作家の姿勢に。

それはこれまでの演劇に対する大きなアンチテーゼだった。

物語があるべき演劇にそれが無い。

その強くしたたかな姿勢に魅力を感じるのだろう。

また駄弁の世界は面白い。

大きな構造的な物語的な笑いではなく、重箱の隅をつつくような小さな笑いがそこにある。

会話のずれから生まれる笑い。

そのような笑いにも惹かれるのかもしれない。

それはお笑い芸人のコントには無い笑いだ。

取り止めのない会話の中の笑い。

そのような笑いに美を感じる。

そのようなセリフを僕自身、今後も書き続けていきたいと思う。

今日はこの辺で。

駄弁のおもしろさが詰まった演劇をゴールデンウィークに上演します。

タイトルは「踊れない夜の嘘つき」。

おそらく踊れない人たちが夜に嘘をつくお話。

そこにあるドラマ性は薄い。

しかしありったけのくだらない駄弁がある。

会話の妙をお楽しみあれ。

以下、公演情報。

ダダ・センプチータ
「踊れない夜の嘘つき」

日時
2024年5月
4日(土)15:00/19:00
5日(日)15:00/19:00
6日(月)13:30/17:00

会場
カフェムリウイ
(世田谷区祖師谷4-1-22-3F)

チケットご予約フォーム
https://www.quartet-online.net/ticket/yiopgqv

作・演出
吉田有希
(ダダ・センプチータ)

出演
サトモリサトル
梁瀬えみ
(演劇ユニット マグネットホテル)
(以上、ダダ・センプチータ)

尾形悟
(演劇ユニット マグネットホテル)
宇都有里紗
大村早紀

制作協力・当日運営
木村優希
(演劇ユニット「クロ・クロ」)

音響・照明
小林和葉


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