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臓器を切除された文章(日記の練習)

2023年7月11日(火)の練習

 日記を書いていると、そのうちのひとつの話題が長くなって、これでひとつの文章にまとめてしまったほうがいいような気がしてくる。そうして日記から切り離してみると、始まりも終わりもない文章の断片が横たわっていて、それらがすこしずつふえていく。

 気になったのでUrsula Kroeber Le Guinの日本語表記について調べる。日本国内での最初期の紹介はやはり早川書房(『風の十二方位』など)となるだろうが、早川書房では現在に至るも「アーシュラ・K・ル・グィン」と表記している。これがある時期から「アーシュラ・K・ル=グウィン」がスタンダードになった。岩波書店(『ゲド戦記』など)を始めとして河出書房新社、講談社(『空飛び猫』など)、青土社(『現想と幻実 ル=グウィン短篇選集』)、白水社(世界の果てでダンス)、みすず書房(『いちばん美しいクモの巣』)などは「ル=グウィン」表記を採っている。一昨年『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』を出版したフィルムアート社も「ル=グウィン」表記だ。
 しかし、これがサンリオSF文庫(『マラフレナ』など)では「アーシュラ・K・ル=グイン」と表記されるからややこしい。さらに、あかね書房(『どこからも彼方にある国』)と平凡社(『オールウェイズ・カミングホーム』)では「アーシュラ・K・ル=グィン」となってくる。
(サンリオSF文庫から岩波同時代ライブラリーを経由して岩波現代文庫に移った『夜の言葉 ファンタジー・SF論』や同じくサンリオSF文庫からちくま文庫に移った『コンパス・ローズ』は「ル=グイン」から「ル=グウィン」へ、サンリオSF文庫からハヤカワ文庫SFに移った『ロカノンの世界』『辺境の惑星』『幻影の都市』は「ル=グイン」から「ル・グィン」と各版元が採用している表記に揃えられている)
 そうして日記に残るのは、こういうどこにも行くあてのない文章だ。

 今日は吉屋信子の命日だった。六十年前の今日、亡くなった。

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