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シュルレアリスムの楽しみ方


シュルレアリスム、最大の魅力とは余白が大きいという事です。

フランシス•ポンジュ

『ドアの愉しみ』(邦題)
内容は、長ったらしくフリが長いので、端的に説明します。 

でもぉ!王様はぁドアに触れられない!
ドアを開けたり、閉めたりするのは、最高に楽しいよ!

《解説》王様は使用人が付いて、使用人が王様の代わりにドアの開け閉めをするので、王様はドアの開け閉めという体験が出来ない。

相手が不可知な事に対しては、価値を釣り上げられる。体験のパノプティコン。

パノプティコンとは、権力が発生する時に、視覚の非対称性が存在する事の比喩です。円形の牢獄の中に監視塔が存在し、囚人からは、監視塔を見ても今現在、監視されているのかどうか分からないのに対し、監視者からすれば、見ていなくても見ているかもしれないと思わせる事が出来るので構造的な上下が生まれるのです。

私は最初、パノプティコンを題材にした本の帯に現代にも通用すると書いてあったので、円形の監獄を見た時に、囚人同士がガラス張りの牢獄に入れられ、相互監視をする物だと勘違いしました。
囚人が正しい密告をすれば、減刑するというインセンティブを与える事で、囚人のジレンマによる相互監視を行わさせるという物だと思いました。そちらの方が、一億総カメラマン(盗撮犯)時代である現代にも当てはまっていると思います。
しかし、囚人側に追いやられた被支配層が、経験のパノプティコンによる価値の釣り上げによって、既得権益に植え付けられた価値の転倒を計る事ができます。

王様は、使用人がドアの開け閉めに大きな価値を感じているという事を知れば、ドアの開け閉めをしたくなる筈です。勿論、使用人一人がそれを行っただけではその嘘の効果は薄いでしょう。しかし、人は他者の欲望を欲望するので、より多くの使用人がドアの開け閉めが素晴らしいと言えば、
王様にドアの開け閉めという労働を押し付けることも可能なのです。

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