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【ダブドリ×JUBF 連動企画 インカレ2023インタビューvol.1】 佐賀バルーナーズ宮永雄太から角田太輝へ20年の系譜

12月2日、今年も大学日本一を懸けた戦いが始まる。

インカレの愛称で親しまれてきた本大会も75回目を迎え、本連盟((一財)全日本大学バスケットボール連盟)は、大会ロゴのリニューアルを始めとする様々な取り組みを推進。その一環としてバスケ雑誌『ダブドリ』とコラボさせていただき、これまで知られてこなかった新たな側面から、大学バスケの魅力を発信していく。

選手も、チームスタッフも、運営スタッフも。みんな、大学生。それぞれの想いで駆け抜けた4年間の全てを懸けて、大学生が創り出す、忘れられない戦いを皆さんにお届けします。((一財)全日本大学バスケットボール連盟一同)

学生達の熱い思いに触れ、ダブドリはインカレ2023の新しいチャレンジをご協力させていただくことになりました。今回はインカレ2023特別インタビューとして、宮永雄太ヘッドコーチが大学4年生として出場したインカレ2003を振り返ります。さらに白鴎大学でインカレ2021優勝を果たし、優秀選手に輝いた角田太輝選手(佐賀バルーナーズ)の当時の印象も語っていただきました。ぜひ最後までお読みいただき、このインタビューを通じて大学バスケの魅力が少しでも多くの方に届けば嬉しいです。(ダブドリ編集長 宮本將廣)

今回の登場人物について
宮永雄太ヘッドコーチ
1981年8月1日生。東海第四高校(現東海大札幌)でインターハイを準優勝し、大東文化大学に進学。インカレ2003にて、エースとして大東文化大学を準優勝に導き、自身も優秀選手賞を受賞した。現在はB1佐賀バルーナーズでヘッドコーチ兼ゼネラルマネージャーを務める。

僕らの頃は日大や専修にタレントが揃っていた

宮本 今年もインカレが12月2日から始まります。宮永さんは大東文化大学の4年の時にエースとしてインカレ準優勝、優秀選手賞を受賞されました。今回は、当時のことや今の大学生の印象などを伺いたいと思います。まずは宮永さんが大学4年のインカレ2003ですが、当時は決勝リーグがあって4チームで優勝を決める形でしたよね?
宮永 そうなんですよね。ベスト4まで勝ち上がったチームが決勝リーグを戦うという、今思うとちょっと特殊な形でしたね。
宮本 僕は当時高校1年生で、みんなで月刊バスケットボールの特集ページを読んで、「宮永さんすげー!」って言っていました(笑)。大東文化大学の同期には勝又穣次さんや西塔佳郎さんがいらっしゃって、とにかくすごいチームでしたよね!
宮永 懐かしいですね。春のトーナメントで2位だったのかな。リーグ戦は3位でした。どちらも優勝することができなかったので、インカレはなんとしても優勝したいと思って望んだことを覚えています。プレーに関しては、好き勝手にやらせてもらっていたので、どうやって点数を取ろうかなっていうことばかり考えていましたね。僕らの頃は日大や専修にタレントが揃っていたので、そういうチームを倒したいよねって話もしていました。日大は山田大治(元日本代表/群馬クレインサンダーズU18HC)がいて、個人的には柏木(柏木真介/シーホース三河 ※東海第四高校同期)が行った中央大には負けたくないとか(笑)。
宮本 やっぱりそこなんですね(笑)。専修は中川兄弟(中川和之氏は環太平洋大学のヘッドコーチとして今大会も出場)がいましたもんね。
宮永 そうですね。あとは波多野和也や長澤晃一がいました。本当にすごいメンバーが揃っていましたね。

トップリーグに行かない選手でも上手い選手がたくさんいた

宮本 今はBリーグができたり、女子はオリンピックをきっかけにWリーグも盛り上がってきて、学生たちの目指す場所がキラキラしてきたと感じています。宮永さん達が大学生の頃は、本当のトップ選手だけがトップリーグに入ることができる時代でした。当時、インカレに対するモチベーションはどんな感じだったんですか?
宮永 当時は8チームぐらいでトップリーグが行われていて、大学3年生の終わりか4年生の最初で、「彼はトヨタ(現アルバルク東京)に入る。東芝(現川崎ブレイブサンダース)に決まったらしい」という感じでした。インカレは最後の1枠、2枠を争う場所で、狭き門でしたね。トップリーグに行くことが決まっている選手は、「インカレ優勝して入社しました!」っていう実績というか。入社先への手土産じゃないですけど、そういうのがモチベーションでしたね。
宮本 トップリーグに入ることができなかった選手達のモチベーションはどういう感じだったんですか?
宮永 みんな就職が決まっていたので、それこそそこは今と同じだと思います。学生最後の大会だっていうところが大きかったですね。
宮本 じゃあ、就職活動をバリバリしながら、トーナメントやリーグを戦っている選手も?
宮永 いっぱいいましたね。
宮本 今だとB2やB3だとまだ可能性があるから、インカレで活躍すれば声をかけてもらえるかもしれない。チームの練習に参加できるかもしれないっていう可能性にかけて頑張る選手もいます。それを考えるとすごい時代になりましたよね。
宮永 本当にすごい時代ですよ。当時はシビアというか、トップリーグに行かない選手でもめちゃくちゃ上手い選手がたくさんいましたからね。

何かに特化している選手が出てきたら面白い

宮本 当時のインカレの話に戻りますが、印象深い試合とか覚えている試合などはありますか?
宮永 やっぱり最後の日大戦は印象深いですね。自分も調子が良くて、35点ぐらい取ったのかな?(インカレ最後の試合で34得点を記録した)あの試合が事実上の決勝みたいな感じだったんですよ。結果的には負けてしまったんたんですが、その時はやりきったなって感じでしたね。
宮本 当時の大東文化大学は勝又さん、宮永さん、西塔さんが40分プレーするのが当たり前でしたよね。まあ、大東に限った話では無いですが(笑)。
宮永 そうですね(笑)。それが普通でした。
宮本 だからって角田太輝選手(佐賀バルーナーズ/白鴎大学出身・インカレ2021優秀選手)に、「俺もそれぐらいの頃は40分出ていたんだから、40分頑張れ!」って言える時代ではないですけどね(笑)。
宮永 ハハハ。そうですね。太輝はインカレ2021ですごく活躍して、それこそ優勝しましたけど、大会前に佐賀との契約が決まっていたんです。だから、彼の活躍は本当に嬉しかったですね。
宮本 まさに先ほど宮永さんがおっしゃった、「インカレ優勝して入団しました」っていうのが角田選手ですもんね。今年のインカレは宮永さんが大学4年の時のインカレからちょうど20年です。大学バスケットボールの変化はどう見ていますか?
宮永 システムチックなオフェンスが増えましたし、スリーポイントのアテンプトもかなり増えましたよね。一番違うのはディフェンスの強度。僕らの時代はディフェンスはやってなかったですから(笑)。
宮永・宮本 ハハハハハ。
宮永 ディフェンスは適当に誤魔化して、どっちがシュートを決めるかみたいな戦いでした。そんな感じだと40分出場することができますけど、今のバスケットボールで40分出場することは難しいですよね。
宮本 ヘッドコーチ目線で今の大学生の凄さと魅力を感じるのはどんな選手ですか?
宮永 今の選手は細かい技術が本当に上手だと思います。その中で、何かに特化している選手が出てきたら面白いなと感じています。それこそ太輝を初めて見た時は、一歩目がかなり速くてインパクトがありました。佐賀に来て、プレーをした時にハンドラーとしてもそこそこプレーができたので、伸び代を感じましたね。
宮本 なるほど。基本的なスキルレベルが上がっているからこそ、何か尖った武器を持っているとヘッドコーチとしても使ってみたいと感じるし、こういう場面では活躍できるかもしれないというイメージが湧くということですね。
宮永 そうですね。大学生だから足りない部分があっていいと思います。それ以上に尖った部分があれば、伸び代を感じますよね。太輝の場合は、それにプラスしてシュートも積極的に打っていたので、すごく可能性を感じました。やはり試合に使うことで成長する部分もあると思うので、加入した時から試合に絡めて、今シーズンは最初から太輝を使っています。うまく行かないことは想定内で、彼自身も葛藤はあると思いますが、壁にぶち当たってもらって、成長してもらうことがベストだと僕は感じています。
宮本 試合に出続けたことで成長スピードがものすごいし、プロ2年目ですっかりチームの中心なりましたよね。
宮永 彼に関しては数字はどうでもいい。使い続けることで、「今シーズンは角田のチームだ」というメッセージを伝えています。個人的な考えを言ってしまうと、僕は「この選手が一押しです」とか、「〇〇のチームです」というのは正直作りたくはないんです。ただ佐賀の未来を考えると、今シーズンは角田太輝のシーズンにするべきだと感じたので、どんな調子でも彼を使い続けていきます。インカレでもそれだけの輝きを見せたので、きっとやってくれるんじゃないかなと思っています。
宮本 ありがとうございました。最後は角田選手の話も聞けて、宮永さんの考え方まで聞けて楽しかったです! もちろん全員が角田選手のような道を歩めるわけではないですが、頑張った先にこういう出会いやストーリーが待っている。今の大学生達の中には、インカレがその一歩目になる選手もいるはずです。頑張ってもらいたいですね。
宮永 そうですね! 楽しみにしています。

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