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★まついなつきさんを偲んで

漫画家でエッセイストで占い師のまついなつきさんが亡くなった。ええ、まだそんな歳じゃないのに、とショックだ。
まついさんは出産や育児をテーマにした、コミックエッセイの先駆けの人だったけど、私には占い師としての印象も強い。もう20年近く昔に、占いの講座を受けたときの記録を発掘したので載せてみる。

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★まついなつきさんの「子連れ占星術講座」★2001.6.9 千駄ヶ谷区民会館(和室2号)14:00~16:00
 三年ぶりの原宿、駅前の人混みをかき分け、会場の千駄ヶ谷区民会館へ。部屋は和室で長机が口の字に並べてあった。その奥であぐらをかいてB3くらいのイラストボードになにやら描き込んでいる女性。もう一人スタッフとおぼしき女性。長髪の男性。小学生くらいの女の子。…うーむ。
 予想通り、イラストボードに描いていた女性はまついさんであった。もう一人の女性は占星術師の池田えみさん。女の子は池田さんの娘さん。男性もスタッフの方だった。
 まついさんは、髪をポニーテールにし、頭を幅広の紫色のヘアバンドで包んでいた。それに眼鏡をかけている。グレーのTシャツにジーンズ、短めのビーズのネックレスと石のついたチョーカーをしていた。なにやら描いていたのはフリーハンドの円に、12サインを入れていたのだった。
 参加者はネットでこの講座を知った人たち。事前にあまり宣伝をしなかったということで私を含め5組しかいなかった。子どもを連れてきた人が二人いた。もう一組、スタッフらしい女性が赤ちゃんを連れてきた。私は二人ともダンナに預けて、スターゲイザーで出したチャートだけを持っていった。
 本題に入る前にまついさんは、子どもというものは母親が産むのではなくて、母親の体を借りて自分で生まれてくるものだと話した。そのタイミングもすべて自分で決めるのだと。たとえ陣痛促進剤を使ったとしても、帝王切開になったとしてもやっぱり誕生の瞬間は子どもが決めるのだ。私も同感である。下の子を産んだときは本当にそう感じた。予定日を何日もオーバーしても出てこない、出てきたら出てきたでお天道様が真上にあるときだった。お前~、と思ったものだ。(松村先生によると、天頂に太陽がある人は運が強いのだそうだ。余談だが)

 今日の講座は子どものチャートのアセンダントと月に注目して、行動を読みとろうというもの。まついさんによると、子どもは月でいろんなことを吸収して、アセンダントで出す(行動する)とのことだった。
 たとえば月双子の子どもは、うろうろと徘徊していろんなことを拾う。月蟹だと感情の拾い方が特別で、他人の感情も自分のものとしてとりこんでしまうそうだ。魚サインより蟹サインのほうがホロスコープの下側、個人的な部分なので12サインの中で一番傷つきやすいのだそうだ。悲惨な事件のニュースを聞いて、オイオイともらい泣きしちゃうのかな?
 アセンダントは自分では気づかない特徴として表されるけれど、こと育児に関してはしつけのきかないポイントになるそうだ。活動宮のアセンダントを持っている子どもは落ち着きがない。逆に不動宮アセンダントは行動がゆっくりになる。柔軟宮だと特徴が出にくくて、ディセンダントの特徴のほうが目立つ場合もあるとのこと。
 まついさんは三人の男の子のお母さんなので、具体例として息子さんたちのことを取り上げていた。真ん中のお子さんはアセンダントが獅子なので、とにかく母親の気をひこうとあれこれするそうだ。で、てっとりばやく裸になっちゃうとか(笑) まついさんはそういうのが大嫌いだと(笑)
 でもアセンダントばかりで行動していると、ディセンダントから締め付けがくる。アセン牡羊で好き勝手にやってると、ディセン天秤でもっと他の人のことを考えろ、となる。そこらへん行ったり来たりしながら学習していくんだね。

 参加者の子どもたちのデータも取りながら、講座は進む。
 隣にいた親子。一歳半くらいの男の子はアセン天秤ということで、人見知りするでもなくうろうろと歩き回り社交性を発揮している。もう一人いた子どもは小学三年生の男の子。アセン乙女だそうで、きちんとしていて育てやすいのでは?ということだった。
 うちのは上のがアセン山羊、月獅子。下のはアセン蠍、月牡牛。蠍と牡牛じゃ相当頑固だろうねえ、ということだ。私も頑固だと思うなあ。うちの子は二人とも不動宮が強いから…。
 「月が牡牛ということは、うんと抱っこしたりしたほうがいいのか」「月が獅子ということは、オーバーなくらいにホメたほうがいいのか」という質問をしたら「OK」の答えを頂いた。そこらへん、サインの特徴を利用して子どもの教育に使えないかという話も出た。公文とかで(笑)
 子どもの月の在処は母親にとっては欠点に見える。しかし、同じサインでも太陽がそこにあれば、それはその子の輝かしく、誰にでもほめられる部分になるのだそうだ。

 ところで、尋ねられたので私の月は水瓶と答えた。するとやっぱり水瓶月の池田さんが、「月が水瓶のお母さんならホロスコープをそのまま受け入れられるから楽でしょう」と言った。子どものチャートを見て、この子はこういうチャートだから、こういう行動をするんだと納得できるのである。でもまついさんの意見はちょっと違った。
 その子のチャートを納得して、そのチャートを外れないようにしつけてはいないか、ということである。社会に出ればいろいろある。障害だってたくさんある。だからお母さんがチャートをはみださないように対応していたら、発展がないのではないかと。その子のチャートを納得したうえで無理難題を課すのもまたしつけではないのかと。
 なるほど、と思った。まるごと容認してはいけないのだ。池田さんも後で「さすがまついさんだなあ…」と言っていた。

 どのサインにあっても子どもの月を癒すには、こんなホロスコープ云々ではなくてとにかくお腹をいっぱいにさせ、清潔な環境を保つこと。危険なことから身を守ること。これは、あたりまえだね。偏った思想や習慣で生きてる母親を持つことほど、子どもにとって悲惨なことはないのだと。それで出てきた言葉が「命を守れ、歯を磨け」(笑) 名言である。
 他には「名は体を表す」ではないけれど、「名はアセンダントを表す」という話題も出た。これ、結構納得した。うちの上の子(山羊アセン)の本名は「〇子」なのだが、なるほどこいつは「〇コ」であって、最近はやりの「レナちゃん」とか「アヤカちゃん」ではないなあと思う。なんか親が子どもの名前をつけるんじゃなくて、子どもが自分にあった名前を親につけさせるって感じだね(^_^;)

 とにかくまついさんの講座はおもしろくて、充実した二時間であった。サインの説明も具体的でわかりやすかった。12サインは常に対向のサインとセットで考える。乙女と魚の説明がなるほどと思った。乙女が受付の看護婦さんで魚がお医者さん。診察時間は終わったからダメ、というきっちりした看護婦さん(乙女)に対し、ああいいよいいよ、と受け入れるお医者さん(魚)。ふーむ。
 今回は子どものチャート読みだったけど、お母さんがこれで自分自身のチャートにも興味を持ってもらえればもっといい、ということであった。ただ、ある程度占星術の知識はあったほうがいいかな。まるっきり素人の人が参加したのではちょっと難しいのではないかという気がした。まついさんの「しあわせ占星術」をあらかじめ読んでおいたほうがいい。
 占星術がどうのというより、母親として主婦としてのまついさんの話題も楽しかった。まついさん自身はアセンも蟹、太陽水星金星も蟹という方である。育児雑誌等、その仕事は家庭生活や他者との共感を表す蟹サインの特徴をはっきり打ち出していると思った。
 で、この講座。評判が良ければシリーズ化しようかという話も出ている。子ども連れOKで育児学級のノリで楽しい。ちなみに会費は2000円。私はまた参加したいと思う。


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結局、この講座はこの回限りだったと思う。でも、まついさんの考えはその後「ムーンチャイルド占星術」という書籍になって世に送り出された。「しあわせ占星術」も新版が出ているので、占星術に興味を持った方におすすめしたい。

まついさん、ありがとうございました。子供たちも大人になりました。もう一度お目にかかってお礼を言いたいです。



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