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ハクセキレイが死んだ

野鳥の類は結構好きで、身の回りにいる鳥なら名前と姿と鳴き声が大体一致している。
先日たまたま見かけた大河ドラマで、鳴き声からこの鳥は何だ?と問いかけるシーンがあった。私が即座に「ウグイス!」と答えたら、夫が驚いていた。私は自転車で通勤しているのだが、毎朝大きな公園の前を通る。前日までホケキョ!と鳴いていたウグイスが、ある日からチッチッという地鳴きに変わっていたので、あー季節が変わったのだなと思ったものだ。
電線の上でわきゃわきゃ騒いでいたツバメはいなくなっちゃったし、そろそろモズやジョウビタキやツグミが見られるかなと思う。

で、最近じゃスズメよりよく見るんじゃないかと思うハクセキレイ。白黒の体で尾を上下に振り振り、ちょこまかと歩き回り、ピピッピピッと鳴きながら飛ぶ小鳥である。いつだったか、玉川上水駅のホームでちょこまかと歩きながらピーヒョロコロコロとさえずっているやつがいて、あんたそんな鳴き方もするん?と驚いたことがあった。

ある日の出勤途中に2羽のハクセキレイがもつれるように飛び回っているのを見つけた。縄張り争いかなと思って見ていたら、もつれあいながら車道に飛び出してしまった。ちょうどそこへ一台の車が…瞬間、

バン!

と音がしてそいつらがぶつかった。

私は声にならない悲鳴を上げた。

実際にぶつかったのは1羽だけだったようで、道路に落ちて羽をバタバタさせていたが、2、3秒のうちにひっくり返ったまま動かなくなった。もう1羽は飛び去っていったが、その時にピピピピピピピッと激しく鳴いたのが聞こえた。ケンカ相手に何が起こったのか、理解したのだろうか。

ひっくり返った1羽を見ながら、車に潰されちゃうの嫌だな、でも拾いに行けないしな(片側二車線で車通りが多くて無理)、こうなっちゃったらカラスに持ってってもらうのもありだなと思いつつその場を通り過ぎた。時間にして10秒かそこらだと思う。
私は老眼だけど視力は良いので、視界はクリアなのだ。こういうの、全部遠くから見えちゃう。朝っぱらから結構ショッキングな出来事なのであった。

だけど、こういう出来事には何らかのメッセージがあるのだろうと考える。あんなに動体視力が良くて敏捷な野鳥でさえ、何か別のことに気を取られていると不慮の事故で命を落としてしまう。ちょっと事故には気をつけなさいよ、という警告かもしれない。私はやらないけど、ながらスマホとかね。この記事を読んだ方は気をつけるんですよ!

この日、夕方から雨になってしまった。私は合羽をかぶり、いつもよりゆっくりと注意深くペダルを漕いで帰宅した。朝の現場には何も見つけることはできなかったけれど、ここを通るたびにこの出来事を思い出すだろう。この先ずっと。

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