悲しいから泣くのかな。泣くから悲しくなるのかな。

文通をはじめました。言いだしっぺはわたしなのに、相手に1通目を書いてもらいました。わがままに対して、あふれんばかりの愛で受容することを試みてくれて、もし拒否することになっても、いつもゆたかな返しをしてくれる友人がいるというのは幸せなものですね。

言いだしっぺのわたしは、最近食器用洗剤の容器に対して考えていたこととか、ひとり暮らし6年目にしてやっとわが家の洗濯機の真の力を知った話とか、そういうとるにたらない話を大真面目に書こうと考えていました。でもあなたの1通目にしてやられたよね。お返事になるようなならないような、わたしの最近の日々を書こうと思います。

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最近、急に涙もろくなりました。

なんて書いたら心配されるかな、とも思ったのだけど、午前0時の電話に「きみからの連絡は安心する面もあります」と書けるあなたなら、かえって安心するんじゃないかしら。

そもそも昔はよく泣く子どもでした。悲しさより、うれしさより、怒りとか安堵感で泣く子どもでした。いつしか全然泣かなくなって、うるっとはなるんだけど涙をこぼせなくなって。大人になったつもりでいました。

いろんなことが重なって、こころが壊れてしまって、頭も壊れてしまってからは、泣けない自分を不思議がる日々が続きました。こころが壊れてしまったら、おんおん泣けると思っていたのに。毎日泣いて暮らすものだと思っていたのに。ごくたまに勝手に目のところに液体が分泌されるだけでした。それすらも不思議だなとぼんやり思うだけの自分がいました。

月日が流れて最近は、なんだかすぐにうるっとくるようになりました。あなたからの手紙は、夕暮れ時に公園のベンチで気づいて読んだのだけど、そのときもうるっとなりました。今まで本を読んで泣いたことなど無かったのに、最近はやたら泣きながら本を読んでいます。この前なんか「このままだと書店で号泣してしまうから」という理由で本を買いました。不思議な変化です。

わたしが前にあなたに薦めた、東畑開人さんの『居るのはつらいよ』。

あの本に「こらだ」という言葉が出てきたでしょう?(たしか元は中井久夫先生の言葉だったかしら。)

精神疾患を抱えた人は、こころとからだが分かちがたく結びついていて、こころの動きがからだに強くあらわれたり、からだの動きがこころに強く影響したりしてしまう、という話(……だったよね?違ったら訂正して)。「こころとからだ」じゃなくて「こらだ」になっている。

いまのわたしは「こらだ」がとても敏感です。悲しくなったり、つらくなったりしたとき、急に涙があふれて、わーっと泣いて、そのうち悲しくて泣いてるんだか泣いているから悲しいんだかわからなくなって、泣き止みます。そのあとは自分でもびっくりするくらいケロッとしています。

きっとみんなそうなんだよね。人によって、同じ人でも状況によって程度が違うだけで。「こころとからだ」の人もいれば「ここらだ」くらいの人もいれば、「こらだ」の人もいる。

思い返すと、わたしはこころとからだのことを無視して生きていたふしがあるなって。特にからだは無視していた気がする。もともとちょっとした持病があるから、サインは出やすくできていると思うのだけど、それに甘えて、まあなんとかなるでしょうと放置して。使い物にならなくなってはじめて、もうどうしようもないから対処するか、と。

悲しくなったら泣きましょう。なぜか泣けてきたら悲しみましょう。何が悲しいのか、ゆっくり探しましょう。いまはもう、そんな気分です。からだの聲をきく練習。からだを信じる練習。頭でっかちなわたしが、からだを取り戻す練習。

「こらだ」の動きを精一杯味わって、でもどこか醒めた目で、ああわたしは揺れ動いているのだな、と見守っていければいいなと思います。

いまわたしに、人にやさしくするエネルギーがあるか、気づけるように。

ではまた。お返事楽しみにしています。

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文通の相手は大学入学以来の友人のみさきちさん。noteで文通です。みさきちさんからの1通目はこちら。↓

さとうさんご名答。きっかけはその企画会議です。↓


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ダー子さん、こうやって相手のnoteを貼って通知で知らせる仕組みはどう?素敵じゃない?

わたしもそう思ったよ。なんかポストに届くみたいでワクワクするよね。でもわたしはみさきちさんのTwitterちゃんと見てるからそっちから知ったのでしたーー!それもまたよいのだ。

と、いうわけで、このnoteを貼ってみさきちさんからの3通目を待つことにします。

実はわたしこのnote好きなのよ。
わたしたちが友人になったのは、よく似たスプリングコートとロングの黒髪のおかげだった、って思い出したから。たとえ量産型女子と誰かが言おうと、あのスタイルはわたしにとって素敵な出会いのスタイルです。




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