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オレンジ色のふたり

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今まで僕は恋物語を多く描いてきたけど「愛とはなんぞや!?」といったテーマからは避けてきました。思い切って自分なりの愛情物語を描こうと気合いを入れたのが【オレンジ色のふたり】です。

結婚式というのはドラマがあります。そこにいたるまでには様々な出来事があったでしょう。しかしながら僕が目をつけたのは結婚式の前日でした。あらためて距離をとってそれぞれの悩みに向き合う夫婦がどういう答えを出すのか。いうなればそれだけの物語です。その愛は本物か?そこに愛はあるんか?本当に後悔はしないのか?ひたすら自問自答しながら書きました。

【優等生と不良は交わらない】との違いは軸である夫婦二人の内面を本人には語らせないというところですね。あくまで夫婦をよく知る相手からの主観でしかありません。夫婦二人の真実を知るのは本人だけなのです。

・一条美弥(佐藤茜)

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妹の元に家出をする奥さん。美弥さんはバツイチで旦那より年上なのでしっかりしなきゃいけないという意識が根付いています。もう失敗はできない。離婚という二文字が常に彼女を苦しめています。あえて暗くは描かなかったのですが作中一番傷が深く、悩み苦しんでいるのは圧倒的に美弥さんなんですね。旦那のことは大好きでそこに疑いはありません。彼女の本音は「幸せになるのって、こわいよね」の一言に集約されています。妹に甘えてはいけないとわかりながらも踏ん切りがつかない。「愛とか恋とか信じられなくても、旦那さんのことは信じてあげてもいいんじゃない?」という妹の言葉でようやく顔を上げます。「旦那のことを信じてみよう」それが美弥さんのたどり着いた愛情というゴールでした。茜さんの落ち着きのある清楚な外見と花のような明るさにより、とても温かみのある美弥さんになってくれました。

・一条陸(寺島八雲)

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家出した美弥さんをひたすら待つ男。ある意味誠実だけど、ある意味狡い。何を考えてるのかわからないけど、優しい人。そんなイメージで書きました。一条陸という男がどう映るかはおそらく人によると思います。ただ一つ言えるのは彼の優先順位は美弥さん一択なんですね。他の入り込む余地はない。自分の気持ちより愛する人の気持ちを優先しています。それが時には残酷に映るかもしれませんね。当初僕は霧のかかったような捉えどころのない柔らかな人物像をイメージしていたのですが、八雲君のひたすら不器用で気持ちが伝わらない男象も面白いなと思い、そちらの方向に乗っかりました。陸にとっての答えは「美弥さんが帰ってきたときに自分がいること」なんですね。そばにいて支えになる。寂しい思いをさせない。不器用な彼なりの愛情表現。ラストに美弥さんと一緒に帰るシーンが年下相応に無邪気な笑顔で幸せそうなのが特によかったですね。

・秦野碧(水星七星)

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陸君の結婚の障害となる元カノ。最初はそのくらいの軽い配置として考えていました。蓋を開けてみたら今作人気ナンバーワンだったのですが、当初はかなり悪い女として書いたつもりです。「彼氏の隣にいたら嫌な女」がコンセプトでした。んー僕はなんというか、振られる女性が好きなんですよねーーー。ついつい演出も変なこだわりを出しました。演じる水星七星さんとも何度も現場を共にしているのもあり「もっとやってほしい!」と他の誰よりもダメ出しをしていた気がします。碧は愛を知らない人です。いつまでたっても恋愛をしているのです。碧が陸君に選ばれなかったのは「恋心では夫婦愛には勝てない」というだけです。決して彼女に魅力がないわけではないのです。【オレンジ色のふたり】は【愛情物語】というテーマを象徴してくれる子でした。他の男と出会って幸せになってくれ。水星さんは他の現場もある中、無理をいって出演してもらったんですが彼女がいると安定感があるんです。蘭舞の作品やってる感といいますかね。どの役を当てはめても毎回結果を出してくれる。今回も彼女にはたくさん感謝です。

・平井七海(角掛みなみ)

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美弥の妹であり、既婚者でもあるので、唯一確かな愛情を知っている人。碧は陸の障害だけど、七海は美弥の味方です。陸側とはアプローチを変えてるんですね。七海は姉のことを本当に大事に思ってるからこそ優しくしすぎないし説教もしないんですね。適度な距離で元気になるのを待ってる。きっと大丈夫だろうと信じている。結局結婚というのは本人の遺志が大事だってわかってるんですね。角掛みなみさんはドライだけど仲良しでもある姉妹ならではの距離の取り方が上手でした。きっと七海は旦那さんともドライで気楽な結婚生活を楽しんでいるのでしょうね。

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僕が思い描いた夫婦の幸せは【スーパーのビニール袋を手に、夕焼け空の中、一緒に歩いている後ろ姿】なんですね。その絵が浮かびました。そんな話しを書きたいなと思いました。劇的でなくてもいい、あたたかい時間を夫婦でゆっくり過ごしていければいいなと思います。これからも一条夫婦の二人に何かしらトラブルは起きるかもしれないけど、仲直りして一緒に帰り道を歩ければそれで大丈夫なんじゃないかな。

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