時が経てばどんな夢にも聖者が宿る
20代後半の頃、家から徒歩3分のBarに僕は入り浸っていた。家と職場だけを往復するだけの毎日の中でそれだけが唯一の癒しだった。マスターは中年男性なのにまるで10代のようにナイーブな人で、店は信じられないぐらい薄暗い店だった。そんな空間で一人でぼーっと飲んだり、マスターや他のお客様とぽつりぽつり会話をする時間が僕は好きだった。
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その頃の僕は自分を取り巻くあらゆる変化に戸惑い、塞ぎ混んでいた。仕事では若手から中堅へ移り変わり、これからのキャリアの行き先が微かに見え始めたこと。