【決意】何でもかんでもコロナや円安のせいにするのはやめます
今年も桜の木の下で存分に羽を伸ばすことも叶わず、仕方がないので休みの日には左右交互に親知らずを抜いて過ごした春が、あっという間に終わりました。(痛かった。。。)
春が明けると、世間は値上げムード。
私たちが扱うワインも、この記事を書いている時点では大幅な値上がりはありませんが、もしかすると今後、プライスカードの数字を差し替える日が訪れないとも限りません。
政治経済についてとやかく語るのはタイトルにとどめるとしても、本音としては、売り手としても買い手としても、「値上げは勘弁」と思うのが正直なところです。
コーヒーショップの値上げに自分の仕事の意義を考える
大手各社、一斉に値上げの報道がありました。
「仕方ないよね」と思う一方で、「やっぱり嫌だな」とも当然に思うわけで。
お店で過ごす時間そのものが好きなので、外でのコーヒーブレイクを完全にやめることはありませんが、確かな感情として、「お店選び、さらに慎重にシビアになっていくなぁ」という思いを抱いています。
もはやコンビニエンスストアやハンバーガーチェーンの珈琲が驚くほど美味しく、何なら「お気に入りの豆を家で挽いて淹れる方が愛着もあるし美味しいじゃん」と自己愛に満ちる昨今の私。わかっていても、その事実をすんなりと受け入れることができないでいます。
ほんの数十円の価格改定でも、体感的にはもっと強いショックが走っているし、いざ自分の仕事に置き換えてみると背筋が凍ります。
「ごめんなさい、やむなく値上げに踏み切りました。でも変わらずご愛顧くださいね。」というのは極めて危険なスタンスなのだと思います。
たとえお値段が上がる日が来ても、「それ以上の何か」をやらなくちゃ
ちっぽけな私にはお値段を操作する裁量はありませんが、
それでも「よし、あのお店にワインを買いに行こう!」と選択肢に挙げ続けて貰うためには、「現状維持」の意識だと足りません。
たとえお値段が上がっても、それ以外のところでお客様への還元を目指すお店が続々と現れることは想像に難くありませんし、どうせなら自分たちも、そちら側の世界線を生きていたいとも思っています。
時に逆境は思わぬ力をもたらしますが、今回も今一度襟を正すきっかけと捉え、お仕事の価値観を高めていくための転機と捉えねば!です。
最近、胸にぐっと来た店員さんの対応
とあるお洋服屋さんでのこと。(誰もがご存知の量販店です。)
急に夏日が続いたこともあり、夏用のスラックスを手に取って試着室へ向かい、裾上げをお願いしたんですね。自分の中で「2本お願いするから1時間ぐらいはかかるかな」と予測を立てつつ。
したらば予測に反し、30分で出来上がるとのこと。それだけでも、「さすが世界企業は違うなぁ~」と感心してたわけですが、店員さんが申し訳なさそうな表情で、「お待たせして申し訳ありません。」と引換証を渡してくださいました。
こちらの「ほんの30分」を大切にして下さったわけです。
この所作、販売経験のある方ならお分かりになると思うのですが、恐ろしく難易度の高い振る舞いでして。毎日、数えきれない程の裾上げを引き受けているはずの方が、こうして一人一人に丁寧に対応されているかと思うと、頭が下がります。
学生の頃、レストランで前菜をお皿に盛るアルバイトをしていたのですが、クリスマスディナーの夜、料理長から言われた一言を思い出しました。
「今出した一皿は、山本くんにとっては数あるオーダーの中の一皿だったかもしれないけど、今日来てくれている人たちにとっては年に一度の大切な夜の一皿だからね。気持ち込めて丁寧にね。」
きっと忙しさにかまけて手を抜いたのが見透かされていたのだと思います。
当時18歳だったので、あれから10年以上が経ちますが、時を経ても本質は何ら変わってないのかもしれません。
というわけで最後までご覧いただきましてありがとうございました。
勢いだけで前のめりに生き続けるには苦戦を強いられる年齢に差し掛かってきましたが、感謝の思いを胸に携えて、これからも仕事にも向き合っていきたいと思う今日この頃です。