「神の角度」2023年7月1日の日記
・舞台『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』を東京芸術劇場で観た。
・これはすごい。かなり食らってしまった。24人の中学生と3人の大人が登場する、ものすごく純度の高い群像劇。舞台の幕が開いた瞬間(慣用句的に言ってるので実際の舞台には幕はなかったけど)、その場に「教室」が立ち上がってゾクッとした。あの、好き勝手に動き回る意思を一つの空間に押し込めたときに生じる、ざわざわとしたゆらめきがそこにあって、一気に自分の中学の頃の記憶が引きずり出された。これはすごいものが始まったぞ、と思った。
・内容は苛烈だった。ままならない現実と不定形の自我を持て余し、格闘し、溺れる中学生たちの姿が鮮明に描かれていて、正面からその痛みを受け止めなければならない。本当に容赦がない。しかしそれでいて、ボケやカスやクズも含めた全ての人間を舞台という大きな腕で抱きとめる優しい眼差しがあって涙が出て仕方がなかった。私は「人生」というものが各個人それぞれに存在しているそのこと自体に"途轍もなさ"を感じて、時折その片鱗を日常に見出しては押しつぶされそうになるんだけれども、見事に押しつぶされた。ああ、人間がいる! 舞台に27人、地球に78億人……。
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