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【小説】男女の友情 1-1

「え? ああ、かけうどんだったの? やだ、声が小さいから聞き違えちゃった。ごめんなさいね、じゃあこれ、サービスだから」

 勘解由 愛[かげゆ あい]は小さな溜息をついた。目の前の盆には「かき揚げうどん」が乗っていて、ほかほかと湯気を立ち上らせている。

 また水が濁る。

 愛の頭の中にはいつも仮想的な壺があって、中で仮想的な金魚が4匹泳いでいる。壺を満たす水が徐々に濁っていくのを感じた。

 また水が濁る。

 また仮想の金魚が弱っていく。


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1,863字
品田遊が本を無理やり書くための買い切りマガジンです。本1冊分に相当する「10万文字」が貯まるまでは続きます。

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