存在しない回botが変わってしまった回
「存在しない回bot」というツイッターbotが存在します。
ミュージックステーションで、平井堅がマイクを食べきってしまった回
— 存在しない回bot (@naikaibot) December 3, 2019
ブラタモリで、タモリが車に4回轢かれた回
— 存在しない回bot (@naikaibot) October 15, 2019
ドリーム東西ネタ合戦で、厚切りジェイソンが東軍西軍のどちらでもないため「米軍」として参戦し、皮肉にも勝ってしまった回
— 存在しない回bot (@naikaibot) September 11, 2019
テレビ番組の「存在しない回」を淡々と書いていくというネタbotの一種で、地味に人気を博していました。
人志松本のすべらない話には「同じ話を何度しても良い」というルールがあるのだが、本当に同じ話を2回した回
— いろんな回bot (@ironnakaibot) April 21, 2020
ネプリーグの漢字書き取り問題で「いどむ」が出題され、堀内健が「桃む」と書いた回
— いろんな回bot (@ironnakaibot) April 20, 2020
元々は、テレビ番組などで実際にあった面白い出来事を淡々と紹介する「いろんな回bot」が先行して存在し、「存在しない回bot」はそれのパロディとして登場した形になります。
ツイートネタはDMで募集していて、ラジオのネタ投稿のような楽しみ方をされているアカウントでした。
しかしここ最近、この存在しない回botに変化が起こりました。
アイコンの変化
まず、アイコンの変化です。現在の存在しない回botのアイコンはこんな感じですが……
もともとはこのようなきなこ餅2コのアイコンでした。
これは元ネタである「いろんな回bot」のアイコンがサーターアンダギー2コであったことを意識していると思われます。これサーターアンダギーですよね……? 未だに確証が持てないんですけど。
きなこ餅、というわりとシュールな感じのアイコンが、文字画像というわかりやすい方向性に変わったわけです。
きなこ餅アイコンの存在しない回botを返して
— ドモン・ガンⅡ (@TH9000_evolved) February 20, 2020
反応をツイッターで検索してみると、アイコンが変わったのは2020年の2月19日前後だったようです。
ツイート内容の変化
また、ツイート内容にも変化が起こったように見受けられました。
Qさまで、宇治原がカズレーザーに負けた途端に狂気的な高笑いをしながら腹をかっさばいて死ぬ回
— 存在しない回bot (@naikaibot) February 4, 2020
ネプリーグでホリケンが祖父の命日に、全くボケずに全問正解を導き出してしまった回
— 存在しない回bot (@naikaibot) February 2, 2020
もともと存在しない回botのネタはナンセンスなものが多く、その突拍子のなさがウケていた印象があります。
そのネタの方向性が、ここ数ヶ月で様変わりしたように思えます。
検索しまくって大量にお金を
— 存在しない回bot (@naikaibot) March 10, 2020
被災地に送り付けて困らせる回https://t.co/fZGGAdcl1F
2月末~3月に入ったあたりからツイート数が増え、また内容も時事を取り入れたネタが増加しました。
「100日後に死ぬワニ」
— 存在しない回bot (@naikaibot) March 17, 2020
101日目
作者の意向で本当に見たい一人に見て
— 存在しない回bot (@naikaibot) March 20, 2020
ほしいと競売にかけられた
100日後に○ぬワニの最終話だが
落札した前澤社長が勝手に無料公開して
ぶち切れた作者が飼ってる
ワニに前澤社長を食べさせる回
ナンセンスというよりは不謹慎よりの時事ネタが増えたほか、
TOKYO 2020 pic.twitter.com/VtZHdTo1Vh
— 存在しない回bot (@naikaibot) March 25, 2020
TOKYO 2020 pic.twitter.com/kGxlsygVKv
— 存在しない回bot (@naikaibot) March 24, 2020
画像を用いたネタ、同じ内容のネタの複数投稿も目立ち始めました。
引用はしませんが、別人が投稿した動画をそのままアップする転載ネタも散見されています。
また、ツイート方法も変化しています。
2月19日まではtwittbot.netからツイートされていたのですが、
この日を境に、iPhoneからの手動投稿に変化しています。
19日はツイッターアイコンがきなこ餅から文字画像に変化した日です。運営体制に大きな変化があったのではと思います。
運営者が変わったのでしょうか?
そして、付近で少し気になる内容の投稿も。
存在しない回botは売却をしたり
— 存在しない回bot (@naikaibot) February 23, 2020
アフィリエイトをすることは一切ありません。 pic.twitter.com/ljAuvFztUh
2月24日に「存在しない回botは売却をしたりアフィリエイトをすることは一切ありません。」というツイートがなされたのです。貼られているのはツイッターDMのスクショ画像。
内容は、「Yahoo! 知恵袋名言集」というアカウントから、アカウントの買取を持ちかけられたというものでした。
もしこのツイート内容が事実であれば、「存在しない回bot」は売却されていないはずですが、この時期を境にアイコンやツイートの方向性、投稿頻度、投稿方法などが大きく変わっているのが気になりますね。
もともと「存在しない回」という虚構をつぶやくアカウントなので、この声明自体が虚構(=存在しない回botは売却された)と解釈することもできそう。
今までは返信も編集もなかったのに、アイコン等々が変わってからは「適当返信」と「微妙な添削」があったから中の人に何かしらの変化はあったっぽい pic.twitter.com/vtNRQ3GFzl
— 代打ロス (@iyokusosaku) February 24, 2020
ちなみに、これまでDMでネタを投稿していた人が「アイコンなどが変わってから、bot側から返事が来るようになり、ツイート内容も微妙に添削されるようになった」という旨のツイートをしています。
リツイートするようになった
また、存在しない回botは最近になってから、他アカウントのツイートをRTするようになりました。
それは影だよ!影!
— 動物・癒しbot (@iyashiworld) April 22, 2020
pic.twitter.com/NLMDZZZTjm
たとえばこの「動物・癒しbot」のツイート。
動物・癒しbotは、全てのツイートがペット動画の転載のようです。
なぜこのアカウントを急にRTしたのでしょうか。
転載アカウントによる相互RTネットワークの存在
ところで、存在しない回botにアカウント買収を持ちかけた(とされている)Yahoo!知恵袋迷言集とはどんなアカウントかというと、こんな感じです。
— Yahoo!知恵袋迷言集 (@yhcbr) April 22, 2020
ヤフー知恵袋の珍回答を掲載していくbotですね。
実はこちらのアカウントも、頻繁に他アカウントのRTを行っています。
これやってた人RT pic.twitter.com/xk2I6snBT1
— 平成を忘れないbot (@HEISEI_love_bot) April 22, 2020
そのひとつがこちらの、平成を忘れないbot。
これは平成に起こった面白いできごとを振り返るという趣旨のネタbotですが、全ての内容が人気ツイートの転載であるため、他の転載アカウントと同様にときどき問題視されています。
— Coffin Dance bot (@bot93290029) April 22, 2020
そして平成を忘れないbotもまた他アカウントのRTを行っています。最新がこちらの「Coffin Dance bot」。リズミカルに棺を担ぐバズ動画の改変ネタをつぶやくbotのようです。
新しいアカウント作りました😎✨
— 平成を忘れないbot (@HEISEI_love_bot) April 20, 2020
コフィンダンスbot
【@bot93290029】
to be continued的な海外で人気のフラグ系のアカウントです!
フォローお願いしますm(_ _)m pic.twitter.com/6uHoD0Bzor
実はこのアカウント、平成を忘れないbotと同じところが運営しているようで、自ら「新しいアカウント作りました」と宣言しています。
【速報】
— 令和速報 (@Reiwa_Sokuhou) April 20, 2020
今日の藤井アナウンサーの言葉が一番ひびく#拡散希望 pic.twitter.com/62guEI1EMd
日本で話題になった
— ツイッター迷言集 (@Tw_Meigen_bot) April 22, 2020
「金を払ったのだからいただきますは言わなくていい。残すのも勝手」
というアレどもにはペルーの料理人が蟹の処理を失敗した弟子に言った
「漁師が冷たい海で仕事にかけた命と、蟹がこの大きさに育つまでの5年間の命。二つの命をいま君は台無しにした」
という言葉を考えて欲しい
他にも「令和速報」や「ツイッター迷言集」などの転載アカウントも「Coffin Dance bot」の宣伝を行っていました。同一人物または団体が運営しているようです。
転載アカウントを複数作り、相互にRTをしあってフォロワーを増やしていく施策なのかなと思います。
新しいアカウント作りました😎✨
— Yahoo!知恵袋迷言集 (@yhcbr) April 20, 2020
コフィンダンスbot
【@bot93290029】
to be continued的な海外で人気のフラグ系のアカウントです!
フォローお願いしますm(_ _)m pic.twitter.com/wDJQ3NJDVP
そしてその中に、あの存在しない回bot買収を持ちかけた(のかもしれない)Yahoo!知恵袋迷言集の姿も。ここも運営元が同じなんですね。
確かに、アイコンの雰囲気や作り方がよく似ている気がします。
そして、新しくなった存在しない回botのアイコンも、随分方向性が似ています。
やはり存在しない回botの「買収」は実際に行われたのでしょうか。それとも偶然なのでしょうか。
(追記)「平成を忘れないbotのようなアイコンを募集しているのを見た」というコメントを頂きました。このアイコン変更自体が「存在しない回bot」による転載botのパロディである可能性もあります
なんのために転載アカウントを多数作るのか
存在しない回botの方向性が2月から変わったのは確かですが、運営元が変わったという確証までは得られません。もしかしたら単なる気まぐれかもしれません。
それはそれとして、ネタ転載によってフォロワーを増やしているアカウントがツイッターにはたくさん存在すること、そして、ひとつの運営元が多数のアカウントを動かして相互RTをしていることは確かです。
なぜそんなことをするのでしょうか。
転載アカウントを見てみると、ネタツイートにぶら下がる形で外部リンクが貼られていることがあるのに気づきます。
https://t.co/igOOOTjzpP https://t.co/bU2xeJPYJa
— 平成を忘れないbot (@HEISEI_love_bot) April 22, 2020
https://t.co/ZDr3VMjqfe https://t.co/mxS0igTwmi
— 令和速報 (@Reiwa_Sokuhou) April 20, 2020
動画サイトへの誘導となっており、動画の内容はいずれも転載物。そして、リンクはBuzzVideoというサイトに繋がっていました。
BuzzVideoは動画アプリで、手軽にたくさんの動画を見られるのがウリのようです。
レビューを見てみると、投稿されている動画の大部分が無断転載であることを咎める声が多数。実際にダウンロードして見てみましたが、たしかに転載動画が目立ちました。
調べてみると、このBuzzVideoを運営しているのはByteDance incという会社。
中国発のベンチャー企業で、ここ数年で急成長を遂げています。
あの人気アプリ「TikTok」も実はByteDance incが開発したものでした。いまはだいぶ改善されているものの、TikTokも初期は権利関係でいろいろと揉めていたことを思えば、それほど不自然ではないかもしれません。
(追記)BuzzVideoには動画投稿の視聴回数によって収益を受け取れるシステムがあります。BuzzVideoのいちユーザーであっても、BuzzVideoへ誘導することで利益を得ることは可能です。
まとめ
いかがでしたか?
・存在しない回botの方向性は2020年の2月ごろを境に変わった
・ツイッターには無断転載アカウントが多数あり、ひとつの運営元が動かしていることがある
・「令和速報」「平成を忘れないbot」「ツイッター迷言集」「ヤフー知恵袋迷言集」などはひとつの運営元が動かしている
・「令和速報」「平成を忘れないbot」「ツイッター迷言集」「ヤフー知恵袋迷言集」は、BuzzVideoというサイトへ誘導するリンクを頻繁に貼っている
・BuzzVideoを運営するByteDance incは、TikTokなどを開発した企業
ということがわかった回でしたね。
どういうことなんでしょう?
これからも存在しない回botは注目ですね。
最後に私の好きな「存在しない回」を貼ります。
ぶらり途中下車の旅で、ナレーターが「おやおや、267341629714さん、こんな所でどうしたんですか?」と阿藤快をマイナンバーで呼んだ回
— 存在しない回bot (@naikaibot) December 25, 2019
さようなら。