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ハーンマスターを遊んでみる

 中世風ファンタジーRPGという言葉は、様々なTRPGの謳い文句として選ばれたりしていますが、そのほとんどが騎士が登場して王様が領地を治めているという背景世界を持つだけで、それほど中世では無いことが多いかもしれません。

 そのような中で「ハーンマスター」は中世イギリスを下敷きにした独自の世界をTRPGだと言われています。もちろんヒストリカルなゲームでは無いので、何から何までその時代のイギリスと同じというわけではないのですが、現在、日本語版が手に入る中では、最も中世色が強いゲームですと思います。

 それと同時に、最近はあまり使われなくなった言葉であると思いますが、第二世代RPG でもあります。日本のTRPGの黎明期に邦訳されたスペースオペラのTRPGである「トラベラー」や同時代に邦訳され、さらに最近日本語版でスターターセットが発売された「ルーンクエスト」と同じ括りです。「ハーンマスター」は「ルーンクエスト」の影響をシステム面で強く受けています。D100を基本とする行為判定や生まれや職業遍歴によるスキルシステム、身体部位別の命中判定など様々な類似点があります。逆に部位別ヒットポイントというかヒットポイント自体がありません。ヒットポイントの代わりに各負傷はそれぞれ別々に扱われて、個別に回復したり悪化したりもします。そして何よりも一度負傷すると回復には非常に時間がかかり、数週間を要することも珍しくありません。回復のための魔法や薬もありますが、それらは自然治癒を促進するようなものがほとんどで、いわゆる回復職が回復しながら戦い続けるというようなことは不可能です。また、一旦外傷を負うと感染症から命を失う可能性もあります。こうしたシステムの特徴から、戦闘をどんどん行うようなハック&スラッシュなゲームプレイにはあまり向かないかも知れません。

 「ハーンマスター」の特徴は何よりもその背景世界の設定の精緻さにあります。主な舞台となるハーン島では各荘園の管理者、世帯数、面積、土地の豊かさまでがデータとして与えられています。また主な町や都市では主要な建造物のフロアプランもあります。
 しかし「ハーンマスター」は決して重すぎるゲームではありません。背景境の設定は色々ありますが、ゲームシステムそのものは単純な%ダイスの下方ロールですので、おそらく日本で一番遊ばれているTRPGである「クトゥルフ神話TRPG」とあまり変わらないでしょう。

何を買うべきか?

それでは「ハーンマスター」の世界で遊びたいと思った時、まずは何を買うべきか?
実は「ハーンマスター」は二つの会社から出版されています。一つが日本語版も出版されているcolumbia Gamesの「ハーンマスター第3版」でもう一つが日本語版のないKeléstia Productionsが出している「ハーンマスターゴールド」です。どちらも基になるゲームシステムは同じですがゴールドの方が若干詳細です。また、出版されている背景世界のサプリメントは同じ世界の別の地域を主な舞台としています。
 columbia Gamesの「ハーンマスター」は地球のイギリスの当たる位置にある「ハーン島」を中心に大陸のごく一部についてだけ細かな世界設定を持っています。
 対してKeléstia Productionsは大陸側の様々な地域や国家についての設定が中心です。なお、Keléstia Productionsの「HârnMaster Gold」のコアルールはもうすぐ新版の「HârnMaster: Kèthîra」が発売予定になっています。

それでは、「ハーンマスター」を試してみるためには何を買えばいいのかについてですが、日本語版のみを対象と考えるならば、DLsiteで販売されている「雛菊の野 『ハーンマスター』アドベンチャー&クイックスタート」でしょう。

これはハーンマスターの公式シナリオとクイックスタートルールがまとめて一冊になったもので、これだけあればとりあえずハーンマスターの世界を楽しむことができます。

シナリオが必要なく、クイックスタートルールだけが必要な場合は、columbia Gamesのサイトで無料ダウンロードできます。(なお、このクイックスタートルールは私が翻訳した物なので、先の「雛菊の野」のしなりをとセットになっている物とは翻訳が異なります。)

https://secure.columbiagames.com/product/4001QS-J-PDF

クイックスタートルールにはキャラクター作成に関するルールは含まれませんので、自分でキャラクターを作りたい場合はサンセット・ゲームズが出している「ハーンマスター第三版」を購入する必要があります。

キャラクターを作る際、いわゆる魔法使いを作りたい場合は「ハーンマスター・マジック」が、聖職者を作りたい場合は「ハーンマスター・レリジオン」が必要になります。


また、キャラクターを作る場合、出生地を無作為に決定するためには「ハーン・ワールド」が必要になります。また、「ハーンマスター」のコアルールにはこの世界に関する記事は殆どないので、シナリオを作るためには「ハーン・ワールド」はほぼ必須になります。(「雛菊の野」のような既製シナリオを遊ぶ場合はなくても大丈夫です。)

さて、ここまでで、現在入手しやすく日本語で読める出版物はすべてですが、個人のWEBサイトや同人誌で多少「ハーンマスター」関連のものはあります。

英語版にも手を出す。

さて、上記以上のものを求めるとすると英語版に手を出すことになります。まず、Columbia Games版の「ハーンマスター」の英語版を手に入れるには前述の Columbia Gamesの公式サイトで購入するか、DriveThruRPGで購入することになります。どちらで購入しても、良さそうですが、いくつかのサプリメントのPDF版を購入するのであれば、公式サイトのHarn Questというサブスクリプションに加入するのが一番お得になるかもしれません。Harn Questは年に4回でるハーンマスターのサプリメントの定期購読契約ですが、随時契約解除できます。このサブスクリプションに加入すると既存のハーンマスターのPDF版がすべて半額で購入できるようになります。Harn Questのサブスクリプションの代金は1回が$19.98になっています。ですから大体$40以上ハーンマスターのPDFこ購入するのであればHarn Questに入ってから購入した方が随分得になります。

Keléstia Productionsの製品に関しては、今までセールになっているのを見たことはありませんので、ひょっとすると常に定価販売かも知れません。
なお、Keléstia ProductionsのハーンマスターのコアルールはD&Dの様にプレイヤー用とGM用で別れたいます。(次の版では統一されるかもしれません)

最後に英語のハーンマスター関連のファンサイトとしてLýthia.comがあります。ここにはファンメイドの多数のハーンマスター関連のコンテンツがあります。シナリオやNPC集などの実用記事も多く、「ハーンマスター」を遊ぶ上では非常に役に立ちます。


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