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僕たちはなぜ結婚したのか?

妻はまだ布団でゴロゴロ。そして、いつもの、赤だの青だの黄色だののヘンな丸い生き物を、上下左右にピコピコ動かしているだけにしか見えない、極めて単純そうなスマホゲームをしている。

そう、数日前、僕はTwitterにこんな投稿をした……。

ネットの世界に没頭していると、ものすごいスピード感を感じる。
現実世界の人間との進化の差異が、マジで恐ろしいレベル。
猿と人間以上のひらきを感じる。そう、僕の妻は猿以下。
で、その妻が大好きな僕もせいぜい猿、というオチ(笑)

そして、その猿と猿以下は、午後2時から2人で仲良く酒を飲みはじめる。なぜ2時かというと、毎日午後2時から、妻が大好きなサスペンスドラマがテレビでやるからだ。

                *

ていうか、これ以上差異を広げていいのか……?と、ぼく自身は思わない。なぜなら、ぼく自身はやれるだけのことをやっているつもりだからだ。これ以上は無理とまでは言わないが、毎日わりと規則正しくも生きている。

いや、妻にしても、何も考えていないわけではない。傷病手当金の支給が終わるまでには、ちゃんと働けるよう、心と体を整えようとしている。

そう、妻は、僕を当てにしていない(笑)

当然である。この年齢になってようやく決まった正社員の仕事を、「人間社会にはまったく不必要な労働だった」とか、わけのわからない理由で一蹴し、本当に一カ月で辞めてしまった人間の、一体なにを信用しろというのか??

しかも、このようなことは、今回に限ったことではない。僕のバイトバックレ歴を本気で書こうものなら、履歴書が10枚あっても足りないレベルにひどい(苦笑)

かといって、小説も売れない。ネットで小金を稼ぐのも無理。だから妻は、僕との結婚をずっと渋っていた。

しかし、僕としては、籍をいれないと、妻の社会保険の扶養に入らないと、保険料や住民税が余計にかかってしまう!と、ほとんど無理やり妻を説得して結婚した。もちろん結婚式など挙げていない。指輪もなし。

まして子供なんか、そんな余計な生き物をつくる金なんてどこにある?ていうか、産まれてくる子供が、俺より優れた芸術家になれるわけないだろ?そんな無意味な生き物のために金を使うなんて、絶対ごめんだ!!

そう、僕の卑劣さは、計り知れない……。

妻にお酌をするのも、妻の足つぼをマッサージするのも、妻の布団だけ優先して干すのも、妻の寝床だけ掃除機をかけるのも、妻にテレビのチャンネル権があるのもぜんぶ、僕のその卑劣を少しでも補うための行為であって、そのとおり僕が妻に虐げられているのではない。虐げているのは、むしろ僕のほうだ。

                *

やがて、寝転がりながら、そろそろ酒を飲みたいと妻がいった。しかし酒は2時まで我慢するようにいった。

そのかわり、今日のサスペンスは、「庶務行員・多加賀主水が許さない1 」で、主演は高橋克典――と、ヤフーの番組表で調べたそのことをいってやったら、不貞腐れはすぐに収まった。

明日は天気がいいらしいから、できれば多摩川まで連れ出したい。しかし、たぶん嫌がる。いや、絶対嫌がる。だったら一人でいって、帰りに妻の酒を買ってこよう。あと、大根と仙台味噌も。

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