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自由連想法による文章練習【25】

 今こそが究極としたらぼくの頭はビレッジハウスが占めていながら新座の松屋の味を思いだした 予定は順調 東秋留のビレッジに引っ越すのが年内にしても現金払いが必要な退去費用を妻の貯金でやることにしたぼくは 松屋の牛丼にたっぷり紅生姜をいれて味噌汁も超美味かった そのかわり駅へ帰るために渡るべき道路のずっと先まで信号がなくて仕方なく歩道橋を渡りおりた目の前が整備されたちょっとした森になっていた ぼくはまだ仕事中だった 微妙な曇り空で 今の掃除の仕事をわりと長く続ける気がしたシロが階段の真下にいたのをぼくはさっそく妻にいった それから妻と二人で下におりてシロの頭の匂いをフガフガ嗅いだら妻が怒ったぼくは そのまえにシロの毛繕いをしていたおばさんの毛繕いの仕方が少し乱暴にみえた シロはでも何分もしつこく撫でる妻のほうを面倒くさそうだった ぼくはぼくを撮った動画を消したらシロの新しい動画がまた撮れるようになったもののなかなか進まないメルカリの準備や押し入れの整頓の一方 今日も元気に抗うしまるこさんがぼくをまた元気と嫉妬もさせた しまるこさんは寝ながらテレビをみたり一人しりとりをしていた しまるこさんの部屋にテレビはないはずで オーケーの金額が一万三千円ちかくと二カ月前の電気代が予定外の二つだったしまるこさんがまた少し小川さんをウザそうな気持ちはわからんでもなかった そのうちぼくがまた二人のあいだにはいるそれが今後もずっと続くかもしれないぼくは 畑の隅にゴザをしいて船じゃない絵を描いたときの窪みをなかなか思いだせない あるいは西国分寺の雲が異様に輝いてみえた新秋津から東所沢の途中の古民家や廃墟のうえの空の輝かしさもまたなかなか異様だった午後の歯医者は結局キャンセルして デッキーズのリュックが千二百円だったのと ニールバレットもどきのカーキ色のコートと変形ニットはそれぞれ二千円だったが 思いだした定期もスイカがなくて結局買わなかった というかどのみち払い戻しが決定しているのを素直にいうのをやっぱりやめたぼくは 団地西のバス停までなら共通の定期があるといったおばちゃんが前とちがうおばちゃんで ちょっと迷った末にその共通定期を買うのも薦められたパンフレットをもらうのもやめた 音楽はというと キングダムからセクシーゾーンのデビュー曲にかわって次の限界がくるまで妻を働かせる結果になった夜 こっそりまたシロのところにいった妻のその最後の様子あたりからずっとみていたぼくを妻はとても嫌そうだった しかもその翌日妻がまた死にそうになるくらい思いきり地面にぶっ倒れた妻は 絆創膏を買いにセブンにいったらレジの小僧にキレそうになったり消毒液は高くて買わなかったところ消毒液はむしろ必要ないらしいネット記事によって傷口は湿らせたティッシュでふくだけにした もう嫌だ死にたいとわめく妻に本当にその気になったらいつでも一緒に死んでやるといったあとも何度か妻に起こされたぼくは 妻の右目が翌朝パンパンに腫れあがって雄平の目もそうなったせいのぼくのパンチの連打はもう二度とおこなわれないことを祈った 薬局にもスーパーにも眼帯はなく マスクとメガネと帽子で腫れと傷口を隠して念願の東秋留のビレッジの一号棟の402は日当たりも眺めも最高で とくに眼下の桜並木が楽しみなそこがもしかしたら妻の終の棲家になるかもしれないとぼくはブログに書いた 近くの川も綺麗で図書館もちかい 畑もあるし 駅前の寿司屋とパン屋も気になった妻は総じてのどかだった しまるこさんにしろぼくにしろ少しでも創作物を金にするにはどうしても編集者が必要で ぼくは会うもう一人の小川と楽しみな夜にしまるこさんがやっていた鶴仙人みたいな仮装と対談などの動画を思いつきながらあらためてシフト表をみたら川島君の夜勤は5日で休みは十五日にもなっていた 朝の九時から翌朝九時までの二十四時間中休憩が調べたら七時間くらいのなかで寝てもいいだろうし書いたり動画を撮ったりするのを眠いながら思ったぼくは まさか降るだろう雨をこれからは肉のハナマサに慣れる練習をさっそく今日からすることにした とくにひどいのはジュース痕だった ハロウィンは前日のはずで つまり相沢と椎名のどっちかが屁をこいてドブにぶっ飛んでいった小川さんにぼくはとうとう思いきりブチギレてやった 関係の崩壊をぼくは恐れない 小川さんと出会って関われた事実はぼくの財産として一生残るぼくは晴れた日差しがまだ寝ている妻に覆いかかって八重田保育園だったときのぼくのエプロンはたしか茶色だった 隣にはショウジがいたり山内だったり松本コウヘイがいた 松本コウヘイはいつも腐った珈琲のにおいがした ぼくはそれから武井さんにも断罪の文章を送りつけたのをなかなか気にいって何度も読んでから目覚ましを六時にセットしたらけっきょく妻のほうが起きられなくて病院にいかないことになった妻はぼくにまた死ぬかもしれない話をした 骨はぜんぶ仙台の川に散骨して荻窪には一ミリもまかなくていいけどココの骨もぜんぶ仙台でいいと妻はいった ナミなみすけと空ジローたちもみんな一緒を希望した妻の指の紫はよりひどくなった一方の顔の紫は少しずつ治ってきたものの前歯は抜けたまま 誕生日ももうやらなくていいとフライパンにやり残したままのオリーブオイルと鷹の爪にニンニクを刻んでいれておけばむしろ妻はまたいっそう自分の不甲斐なさを思った だがぼくはそうするしかないと仕事前の朝のすくない時間にそうしたぼく自身もつい妻にわかるように妻のウンコがついたパンツを洗ってしまうなどする 妻はそれをみてまたより自分に失望するのをわかっているぼくはぼくへの労いや感謝をすこしでも感じたいだけがなかなか妻に伝わらない 妻が死んだら青梅か高尾あたりで母と暮らすだろうぼくはそのつまらなさを想像しながらそれはでもきっと楽ではあるだろう ぼくはつまり自分のやりたい放題といっても特別なにをやりたいわけでもないぼくは妻と温泉にいきたいことを妻にいうタイミングをはかりかねながらまたちょくちょく小川が頭にうかんだ 変人をきどっているのはお前のほうでみんな離れていく 誰も自分を理解しないとかの自分中心な物言いがとくにムカつく子供みたいだぼくは 妻にほうれん草とシメジのトマトパスタをつくってやった サラダも奮発して妻のすきなベビーリーフを買った そして明日もなにもしなくていいからとおでんの仕込みをしながらアド街で小平をみていた妻が小平にいってみたくなったからぼくは小平をネットで調べることをガラケーにメモした 妻はまだぜんぜん生きようとしているぼくは妻のために働き もう働かない妻にはたとえばモデルをさせてメルカリで妻の好きなディーゼルの服などを着せて売ってそれがぜんぶ妻の小遣いになり基本の生活費はぼくの給与でまかなえるような未来話を妻はとても喜んだ そのあいだ妻の目の周りのあざを人差し指でぼくがなぞっているあいだ妻はぼくのヘソに指を入れっぱなしだった小川がまた頭に浮かんだぼくは夜中にまたしまるこブログに書いた小川のコメントを容赦なくイチャモンした さらに自分のブログでも小川をけちょんけちょんにしたらしまるこさんだけが「スキ」を押してしまるこさんも自分と同じ気持ちなことがあらためて確認したぼくは歯医者で抜歯した歯をいれてもらった歯の形をしたケースに緑のゴムがついていたそれを手首に一度とおしてまたすぐはずした 思ったより痛みはなく麻酔をきれても酒ものみながら帰りのブックオフでみた財布をやっぱり買いたい気がしたガスタンクとセブンの交わる港町の交差点がその瞬間のぼくにとって青森の象徴だった ぼくは妻が好きだった豆腐屋をしょっちゅう往復した自転車がパンクしたのはタイヤのつなぎ目だからまたすぐパンクの可能性があるといわれたガスタンクとセブンの交わる交差点だったもう二本山手の国道を太一のサーフで上京した 東京は住めば住むほど思っていたのと違っていったぼくは太一のサーフで三和荘のまえを通過しながら約二十年後にその三和荘に住むとはもちろんまったく思いもしなかった それはまだ浪打のバス停前がマックハウスのもっと奥でアバンテジュニアの穴が本当に六個あいていたことに歓喜したぼくは クールギンのフィギュアは堤橋で買ったまさにその斜め前くらいの水たまりの中から雄平が一万円札をひろった 

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