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自由連想法による文章練習【11】

 そら豆をさがす旅はかなりの暴風で しかし天気は良く ローソンで4千円をおろしたぼくは 一応そのあとメガに入ったものの 黒霧島の値段を一目みたきりさっさとメガをあとにした その前に通りすぎた八百屋もその後すぐに通りすぎた八百屋もその日は微妙で だからほぼすべてを託したといっても過言ではないヤオケンで 日本人向けにつくられたという台湾産の枝豆を1つだけ買ったが 妻はそれをあまり美味しいとはいわなかった その枝豆の値段はぴったり100円で そのあとセブンで買ったオールドファッションも税込ぴったり100円で つまりまだ200円しか使っていない喜びにプラスして さらによりほんの少しでも楽しい気分を膨らませたい感じもあって 寺の向こうのタンポポ畑のほうまで遠回りをしたぼくは 明日もまたこのあたりを妻と一緒に散歩しそうな気がした スマホゲームをしながら「うんうんうん」と急かす感じの相槌でぼくの話に応じる妻の態度が少し癪だったぼくは だからマッサージをしてやらないところだったが 妻が帰ってくるまでにたまたま何度か繰り返しみていた妻のあくび終わりの写真を頭に思い浮かべるなどして マッサージへのモチベーションをなんとか振り絞った ところが妻の足はいつもより冷たく いくら揉んでもなかなか温かくならなかった その原因を近頃の変わりやすい気温のせいにしたぼく自身もなんとなく少し体調がおかしい気がした ただ立ち上がるとそうでもなく 歩くのもそれほど苦ではなく しいていえばわりとすぐ眠くなるのが気になったものの そもそも季節の変わり目だからそんなくらいのことは当然だろうと結論したら なんかもう酒でも飲みたくなってしまったが とりあえずテレビでもみながら髭をぬくことにして ついでに乳首のまわりの毛も抜いて エノキのためだけに買い物へいくことの面倒をつくづく思った いや 昨日一昨日の食べすぎを取り返すために どうせなら八重田のコープまで歩くつもりも実は少しあって しかしだんだん眠くなり 左の人差し指で左足の脹脛をぽりぽりかきむしっているうちに エノキなしのキャベツのみのペペロンチーノでも問題ないと返事をした妻のその返事の仕方が 本当に問題ないというニュアンスだったはずだと都合よくぼくは解釈した そのくせパソコンを完全に消して 着替え 一応携帯のメモ欄に「エノキ」「バター」と書いたぼくは しかしバターについては給料日後に買うつもりだったから 2つの間を1マス空けた ほかにカイワレと見切り品のプチトマトとガーナチョコレートのブラックを買い けっきょく頑張っていった八重田のコープをあとにしたぼくは いつものようにその周辺でのいろいろな思い出で頭のなかを満たしながら しかしそうすることにもすでにかなり飽きているのを繰り返し思った そのかわり雲は新鮮で ただしそれはベンチに座りながら仰ぎみた動く雲限定だった というかこれ以上ぼくは何をしたいわけでもやっぱりないような気がした だからということもあって 威嚇してきたカラスに従い ぼくはわりと遠回りをした そして今度また東京へいったらもう二度と青森には帰ってこないだろうと思った途端に力がぬけた感じになり 相変わらずの左の首から肩と腕にかけての痛みへの意識が強さを増した そう ぼくはもうこれ以上書けないかもしれない気が一瞬した いや 最近ときどき本気でそう思うことがまあまああって かといってあまり無理に書こうとするつもりは今のぼくにはないというか 書けない時間をむしろ大事にしたいという小奇麗な理由でもたぶんなく とにかくぼくは徹底して自分の生理に従おうと思っていて そもそもぼくを縛っているのはぼく自身だけで ぼくは誰からも自由なかわりに 金が人より少ないという小さな代償しか負っておらず だからぼくの財布には今2千円しかはいっていないが ぼくはその2千円に今日まったく手をつけずに済んだことにけっこう満足している さらにそのおかげで母の日用のプレゼントを 最初の「200円まで」から300円も多い「500円まで」に引き上げることができたのにも一方で満足している また 仮に淳からもう二度と連絡がこなかったとしても それはそれでもう仕方ないと結論した そのかわり今日の海はそれほど良くもなかったというか 海にはやっぱり朝日か夕日が必要だと思った ともあれ何よりぼくが嬉しかったのは 妻と買いにいった妻の靴を妻がすごく気に入ったことだった だからぼくはめでたくてよけい飲みすぎたともいえる ぼくはサントリーのウーロン茶でつくられたウーロンハイを黒霧島に混ぜて飲んだところ その美味さになかなか感激した だから来週も絶対同じように飲もうと決め それはそうとやっぱりぼくは最近なんとなくつまらないと思っていて それはつまりもっと何かの刺激がほしいわけでもないどころか あらゆる小さな刺激もことごとくぜんぶ排除することでこそ もっと新しい世界がのぞき見られるような気がしていて だからそれをじっと待っている状態にあるともいえるぼくは かといって特別焦っているわけでもなんでもなく もしも仮に今後なに一つ書けなくなったとしても そうなった状態のぼくが紛れもないぼく自身であるなら むしろまったく何の問題もない そう 妻と帳尻を合わせるだけで精一杯な感じでもまだあるぼくは そもそも渋の話でさえまともに聞くことができず だからもうとっとと青森からいなくなってしまったほうがよく まして一太なんかとはもう一生会おうとは思っていない とにかくこの頃のぼくは今までになく厄介で 「そろそろ鉛筆を削らなければ」と思ったら もうすぐ19時で嬉しかった このようにでも何でもとにかく前進しているぼく自身にぼくは笑った たぶんぼくはもう一皮剥けつつあって その速度をはやめるためには一太ごとき連中と会うのはまったくダメなことだとあらためて思っているのだろう 一太がぼくにエロビデオの延滞料を払わせた日は大雨だった いや そんなことはだからもうどうでもよくて 明日の飯田の誕生日におめでとうメールを送るついでに電子本をどしどし発売していることも一緒に伝えることにしたぼくは しかしそれを忘れてしまいそうな気がしたが忘れなかった ぼくはむかしの飯田の家をもうかれこれ何度もわざと通りすぎていて 高校をやめる直前の飯田が「軽々しくやめるなと言ってくる奴はむしろムカつく」みたいなことを言っていたのと同時に 飯田がまだユキちゃんと付き合っていた頃の 雄二もいれた4人で王味にいったときのことを思い出した 一方で妻といった2回目もまた王味にはいることができず 「じゃあもう青森から出ていけってことだね!」と不貞腐れた妻をよそに 見事スイカを割ってみせた雄二とは 今さらながらあらゆる面で埋めがたい差があると思った そして松森はやっぱり珈琲くさく ぼくはというと家が恋しくてやっぱり泣いた 確かにいろいろな思いはあって しかもその思いたちのほとんどはかなり複雑に絡み合っていて しかし結論を出さなければいけないとしたら それは残念ながらマイナス寄りの結論で あとはだから母がそのマイナスをどこまで忠実に実行できるか?だけだと思うに至ったぼくは 母をそう後押しするための決意をあらためて固めた そう やっぱりどう考えても父にはもういい加減本気で死んでもらわなければならない しかし父はまだ死なないのか?もうすぐ死ぬのか?何より家は無事に残るのか?のどれもはっきりわからない現状をつくづくもどかしく思ったぼくは 電線でまったりくつろいでいるカラスをみて少しほっこりした 

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