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パートナーストラテジ備忘録2023 #パートナーセールスアドベントカレンダー2023

クラウドサインではリリースして8年経った今、恐らく100社近くのセールスパートナー様、同じく100社近くのプロダクトパートナー様と共に電子契約市場を創り上げてきて、様々遠回りも近道も責任者の立場から経験した。

現在会議DXソリューション「MeetingBase」では全く異なるアプローチのパートナーストラテジで挑戦している。要するにプロダクトの性質によりチャネル攻略は異なり、絶対の正解などない。だから自分の見た景色からのパートナー戦略をつらつら備忘的に書き残していく。

本記事はパートナーサクセス社のイベントで軽返事で記事書くことを了承してしまったので後悔しながら書いております(イベント連動URLは、こちら)。

リセラーが販売するSaaS製品の特徴

様々パートナーセールス企業が販売しやすい企業とはと論考が書かれることはある。身も蓋もない話をするが、そんな製品は簡単で、直販でも販売することが容易で顕在市場となっているSaaS製品である。

直販で受注率が高くない製品を間接販売で販売することなど更に困難な道であるし、顕在市場となってない市場の製品をビジョンセールスで販売(そういう時期は必要で直販中心で実施すべき)するなら間接販売など逆に非効率であろう。

基本的には直販でもグロース可能な状態であるときに、パートナーセールスは成功する。

Day1からパートナーセールス前提で実施する製品も例外的にはあるが、大体が外資系で圧倒的カテゴリリーダーが日本市場を利益率高く、米国が要望するスピード感で成長を目指すときや、顕在市場に新規参入するときに後発で参入しブランドが高い製品の場合には例外的に成功していることはある。

或いはファーストプロダクトでパートナー網が構築された後のセカンドプロダクトを載せるときで、サイボウズ社のkintoneなどはこの事例であろう。

それ以外は大体が直販で成功を納めた後に初めてパートナーセールスは成り立つモデルとなる。

たまにSaaSスタートアップを見ると早い段階でパートナーセールスを検討し始め、リセラーにアクセスして販売検証が行われるが、営業が担がずに販売本数が増えず、ゆえに各営業拠点でも戦略商材に取り扱われずに処理されていることがある。もう少し顕在市場化した後に持って行った方が注力されたであろうと思うことがある。

スタートアップ側からすると、商材化自体はしてくれカタログにも載るので、超有名キャリア企業、複合機メーカーとアライアンスが成立し社内的には期待値が上がるものであるが、実績化するのはそんなに容易なことではない。

プライシングモデル

SaaSベンダー側から見た時のプライシングモデルは一考に値する。大体は直販が販売する価額の25-30%あたりで設定するものであるが、当該企業の営業にとって何が販売インセンティブになるのかを構造的に理解する必要がある。

結局営業からすると今期の営業成績にヒットする製品選定をするので、初年度料率は90%に設定し、2年目以降を10%に設定するなどの手法も、まま取られる。最終的な利益率は永年で30%とするよりも高くなり、初年度はある種CACだと割り切れば他のチャネルよりもむしろ効率的なROIとなるという判断も取れるであろう。

販売代理店サイドからするとネット計上される粗利額での評価指標となるためにその90%となれば実質的にグロス計上される自社商材のような取り扱いになる可能性もあり、支店によってはより戦略商材化しやすいプライシングとなる。

パートナー専門のプライシングなどを実施する例もある。ESBセグメントや、或いはエンタープライズ向けは完全にパートナーの実質独占権(契約上そうするわけではない)扱いにして、パートナーが取り扱うインセンティブを握るなどの手法も取られることもある。

営業リソースの考え方の違い

商談供給に対する考え方もパートナーセールスで結構差が分かれる。スタートアップ企業から見たときのパートナーセールスは直販営業でリソースを投下せずに受注できるスケーラビリティ施策だと捉えられることも多い。

しかしながら商談にベンダー側が同行し、クロージングまでを行うことがほとんどであり、当然ながら販売代理店からすれば数ある商材を全て知識までカバレッジすることは不可能に近く、クロージング支援をしてくれるSaaS企業が選ばれることになる。

そのためパートナーチャネルが増加すればそれに合わせて同行営業するリソース量を増加させる必要があり、理想的なスケーラビリティ施策だと考えない方が近道となる。

むしろパートナーセールスをうまく活用できている企業は直販マーケティングにより商談創出を行い、それを販売代理店側にパスすることも少なくない。スタートアップ企業の場合はむしろ逆で販売代理店側で商談創出していただくことが前提の戦略になっていることが多いように認識している。

その辺の双方の考え方の差が如実に出やすく、マーケティングファンドなどを活用できているかの施策にも考えが現れることになる。

MeetingBaseのコミュニティパートナー戦略

そんなクラウドサインで培ったパートナー戦略も、結局は製品がもたらす雰囲気やブランドによってチャネルグロースの方法は異なるので、次なる製品であるMeetingBaseの責任者の今は積極的にアンラーニングしている。

10月から事業開始したホヤホヤの会議DXソリューション(初速の受注良くて手応え掴んでいます!!)なので、日本中のコミュニティの力を活用するパートナー戦略を置いています。ちょうど先日アンバサダープログラムを発表しました。


クラウドサインでは成り立つことが難しいアンバサダー戦略をMeetingBaseのブランドなら可能で、効率的なマーケティングパートナープログラムだと判断して、ここに投資していく予定です。NotionやSlackが採った戦略です。

結局プロダクトがもたらす雰囲気によるし、実際国産SaaSの上位は直販を中心に営業網を拡充しているし、パートナー戦略自体に正解はない。パートナー戦略を考えるには結局プロダクトに向き合うしかないのだ。

お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ