見出し画像

ある救急医の備忘録 カルテ4 / 19の夜

いつもと変わらない夜。
いつもと同じように救急搬送依頼の電話が鳴る。

XX年YY月ZZ日 21時
「19歳 男性 発熱・嘔吐の方の受け入れをお願いします」
「大学生で一人暮らしをされている方です」


救急室で救急車の到着を待った。
15分後に到着し、" さて、ストレッチャーを運ぼう " と救急車の後部ドアを開けたところ… 歩いて降りてきた…

一瞬 看護師さんと目が合った。
歩けるのであれば救急室で診察することもないため、点滴室へ移動して診察を開始した。
脈拍や血圧も問題なく、診察上も大きな問題はなかった。
症状は朝からで、特に大きな変化はないが 夜になって悪くなったら心配で救急要請をしたと。

点滴をして症状が軽くなったため、救急車の適正利用をお願いして帰宅とした。


一息ついたところで、次の救急搬送依頼の電話が鳴る。

XX年YY月ZZ日 22時

「19歳 男性 発熱の方の受け入れをお願いします」
「発熱以外の症状はありません」
「大学生で一人暮らしをされています」


デジャビュかと思いつつ、救急車の到着を待った。

そして、やはり歩いて降りてきた…
脈拍も血圧も問題なく、熱以外の症状はなし。
診察上も のどが少し赤い以外は問題なし。
熱は 2時間くらい前からで、解熱鎮痛薬の処方のみで経過をみて頂くこととした。

聞けば、『 熱が出たら救急車を呼ぼうと決めていました 』と…
熱だけであればタクシーなどの利用や友人に送ってもらうなどの方法で受診するように、インフルエンザの心配をされていたが 例えインフルエンザであっても熱だけでは救急車を呼ぶ必要はないことを説明し、タクシーで帰宅して頂いた。


これだけでは終わらず、" 2件続けば3件目も " ということで、救急搬送依頼の電話が鳴る。

ここから先は

419字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?