見出し画像

洋服のメーカーからヘルスケアのお店へ(前編)

私どもはこの9689というお店を始めて、はや17年目に突入いたしました。 昔も今も変わらずよくいただくご質問は、「お店の名前はなんて読むの?」です。意味のわからない4つの数字の羅列ですから、確かにそう思われますよね。

今となってはご存知の方も多々おられますが、9689と書いて「クロパグ」と読みます。お店の名前が9689になったのは、当時黒いパグを飼っておりまして、そのコがきっかけなんです。親バカながら、それはそれは愛おしいコでした。

画像1

17年前はパグという種類のワンちゃんを見かけることが少なく、コロンとしたその愛らしい独特のフォルムにぴったりの洋服があまりありませんでした。そこで、「あらゆる種類のワンちゃんにぴったりのサイズの洋服を全て集めたセレクトショップ」というコンセプトのお店を作ろうとしたのです。そして、「どうせなら自分たちのオリジナルの服を製造しよう!」と。

今思えば、これがなかなか無謀でした。笑
無鉄砲さが全開の性格で、深く考えずにやりたいと思ったらやる!という人間でした。いや、そうでなければ、正直今日までに何度挫折していたか分かりません。それがどれだけ大変か、一瞬でも想像しなかったため、頑張ることができたのでしょう。

なにしろ社内にアパレル経験者もいなかったし、無論、パターンを引ける人もいない。そんな会社が「ワンちゃんの洋服を一から作ろう」なんて、今思っても無謀そのものです。しかしその当時の私の ”ワンちゃんの着心地と動きやすさが最優先の洋服” への情熱は半端ないものでした。
何がなんでも完成させてみせる、メラメラと闘志が燃えていました。

当時は若かったからこんな挑戦が可能だったのでしょうか?
いやいや、年齢に関係なく熱い想いのアンテナが働いたら絶対にやり遂げる、それこそが自分の一番やりたいことだ、そう思えたからだと思います。それから17年、今でもアンテナが働いたら、きっとやり遂げようと頑張るんじゃないのかなと思います。

洋服を作るためにまず集めたのはサイズのデータでした。
ある時はトリミングサロンさんにお願いし、またある時はお散歩をしている飼い主さんに突撃でお願いし(まるで不審者。笑)、そしてまた別の機会には、ペットショップの方にお願いし、ついに何百頭ものワンちゃんたちのサイズデータが集まりました。

首まわり、胴まわり、背丈、前足の肩の角度、正面からの胸幅、前足・後ろ足の長さ、などなど。その膨大なデータをもとに、パタンナーさんのもとへ走りました。9689の洋服を語る上で欠かせない、とてもお世話になったパタンナーさん。腕が良いだけでなく、ペットボトルを立体にして組み立て、それをワンちゃんの体に見立ててパターンをおこし、グレーディングしてくださいました。なんとプロのお仕事の凄さよ。

1つめのTシャツのパターンが11サイズ。                 たくさんのご協力があって、やっとの思いで作り上げることができました。そこからサンプルを作り、実際のワンちゃんに試着してもらいました。


「肩のところの角度がよくないかなあ。もう一回修正しましょう」

パタンナーさんは何度も何度も、本当に何度も作り直してくださいました。       そして、ワンちゃんたちも何度も何度も試着に協力してくれました。

その時のモデルのワンちゃんたちは、みんなもうお空に。
ですが、今でも1頭1頭のお名前を忘れることはありません。
君たちのおかげだよ、本当に、本当に心からありがとう。

それから半年経ち、みんなの努力が文字通り形になった自慢のパターンが
出来上がりました。それは17年経った今も、様々なデザインの洋服になり、みなさまのもとにお届けしています。

洋服の形についてもこだわりがあります。
9689のオリジナルの洋服にはセットインスリーブがありません。     それはワンちゃんの肩の筋肉の動きを考えたとき、ラグランスリーブが動きやすいから。そして、極力やりすぎないデザインにしています。
ワンちゃんは洋服を着ていなくても、そのままで本当にかわいい。
洋服の立ち位置はあくまでサポートであり、主役はワンちゃんなのです。  何より着ているワンちゃんがいつもの動きができていること。
ここが私たちにとって、すごく重要なのです。
「これを着たらいつもより動かない」というものは、私どもの望むところではありません。ワンちゃん本人が「これなら着てもいいよ」と思ってくれたなら、本当に最高に嬉しいのです。

ありがたいことに、「9689の洋服なら嫌がって脱ごうとしない」と言ってくださる方も少なくありません。これは本当にいろいろな方々、そしてモデルをしてくれたワンちゃんたちのおかげですね。

こうして、9689はオリジナルのドッグウエアメーカーとしてスタートしました。そして17年経った今、ヘルスケアに力を入れるようになったのはなぜか。

中編では、そちらに焦点を当てていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?