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身体障害者手帳の基礎知識:手帳のメリットと取得タイミング、取得方法について徹底解説

 お子さんの身体障害者手帳を取った方が良いのか、悩んでいませんか?そんな親御さんの気持ち、よくわかります。手帳の取得についての情報が少なく、判断に迷うことも多いでしょう。

 身体障害者手帳は、障害のある方が受けられる福祉サービスや支援を受けるための証明書です。手帳を取得することで、医療費の助成、補装具の交付、公共料金の割引など、さまざまなメリットがあります。小さなお子さんの場合、3歳を迎える頃が申請の目安とされています。

 療育センターで10年以上勤務し、整形外科クリニックでの経験も持つ私が、これまで多くの保護者や医師から聞いてきた実例を基に、身体障害者手帳の取得についてお話しします。

 この記事を読むことで、身体障害者手帳に関するもやもやが晴れ、適切なサポートを受けるための第一歩を踏み出せます。ぜひ、お子さんの未来をより良くするために、この記事を参考にしてください。

1. 相談内容の紹介

 理学療法を担当している2歳のお子さんについてのお話です。お子さんは脳性麻痺を持ち、一人で少し立つことができるようになりましたが、まだ一人で歩くことは難しい状態です。保育園にも通っており、知的能力の遅れについては今のところはっきりしていません。

ある日の理学療法の際に、お母さんから以下のような質問を受けました。 「もうすぐ3歳になるのですが、身体障害者手帳を取った方がいいですか?」
「身体障害者手帳はいつ頃取ると良いのでしょうか?」
「将来うちの子が歩けるようになったら、身体障害者手帳は必要なくなりますか?」

この記事では、これらの質問に対して具体的な回答を提供していきます。

2. 身体障害者手帳のメリット

 身体障害者手帳のメリットを紹介します。手帳を取得することで、医療費の助成、補装具の交付、公共料金や交通費の割引、税金の減免、娯楽施設の割引、各種手当の支給など、さまざまな支援やサービスを受けることができます。

2.1 身体障害者手帳とは?

 身体障害者手帳は、身体に障害がある人が取得できる手帳で、障害の程度や種類に応じて様々な福祉サービスや支援を受けるための証明書です。

 手帳には1級から6級までの等級があります。1級が最も重度の障害を示し、6級が最も軽度の障害を示します。等級が高いほど、受けられる支援やサービスの内容が充実しています。

2.2 身体障害者手帳の取得メリット

 身体障害者手帳を取得することで、以下のような様々な支援やサービスを受けることができます。

  • 医療費の助成:診療費や薬剤費の自己負担が軽減されます。

  • 補装具の交付:車椅子や歩行器、補聴器などの補装具を低価格で購入または修理できます。

  • 公共料金の割引:電気やガス、水道などの公共料金が割引されます。

  • 交通費の割引:電車やバス、タクシーなどの交通費が割引されます。

  • 税金の減免:所得税や住民税、自動車税などの税金が軽減されます。

  • 娯楽施設の割引:映画館や動物園、遊園地などの入場料が割引されます。

  • 各種手当の支給:特別児童扶養手当や障害児福祉手当などの手続きがスムーズになります。

3. 身体障害者手帳はいつ取ればいいの?

 身体障害者手帳を取るタイミングについては重要なポイントがあります。特に小さな子供の場合は、主治医と相談して適切なタイミングで申請することが重要です。

3.1 身体障害者手帳を取るタイミング

 身体障害者手帳は、障害が永続的であると判断された場合に交付されます。特に小さな子供の場合は、発達の状況を見ながら主治医と相談して適切なタイミングで申請することが重要です。

 厚生労働省の身体障害者障害程度等級表の解説によると、乳幼児の場合には障害の程度を判定することが可能となる年齢(概ね満3歳)以降に行うこととされています。したがって、3歳を迎える頃に申請を検討するのが一般的です。

3.2 身体障害者手帳の各等級が示す障害の程度

 身体障害者手帳の対象になるかどうかを判断するためには、どのような障害が該当するのかを知る必要があります。

 身体障害者手帳に該当する障害は、「視覚障害」、「聴覚又は平衡機能の障害」、「音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害」、「肢体不自由」、「心臓、じん臓若しくは呼吸器又はぼうこう若しくは直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫若しくは肝臓の機能の障害」の5種類に大別されます。

 この中で脳性麻痺の方に最も関わりの深いのは「肢体不自由」です。「肢体不自由」には上肢不自由と下肢不自由、体幹不自由、脳原性運動機能障害の4つの項目があります。

 どの程度の障害が対象になるのかをイメージしやすくするために、以下に肢体不自由に関する各項目における重度(1級)と軽度(5級又は6級)の等級の具体例を示します。

上肢不自由:上肢(腕や手)の機能に障害がある状態を指します。具体的には、腕や手の筋力低下や動作制限があり、日常生活に支障をきたす場合が該当します。

下肢不自由:下肢(脚や足)の機能に障害がある状態を指します。具体的には、脚や足の筋力低下や動作制限があり、歩行や立位保持に困難を伴う場合が該当します。

体幹不自由:体幹(胴体部分)の機能に障害がある状態を指します。具体的には、体幹の筋力低下やバランスの不安定さがあり、座位や立位の保持が困難な場合が該当します。

脳原性運動機能障害:乳幼児期以前の脳の損傷や疾患により運動機能に障害が生じた状態を指します。具体的には、不随意運動や運動失調があり、日常生活動作に著しい支障をきたす場合が該当します。

※紐むすびテスト
 両上肢の機能障害の判定に用いるテスト。5分間にとじ紐(長さ概ね43cm)を何本むすぶことができるかを検査する。

※5動作の能力テスト
 一側上肢の機能障害の判定に用いるテスト。次の5動作の可否を検査する。
①封筒をはさみで切る時に固定する。
②さいふからコインを出す。
③傘をさす。
④健側の爪を切る。
⑤健側のそで口のボタンをとめる。


4. 身体障害者手帳の取得方法

 身体障害者手帳の取得方法について解説します。手帳の取得にはいくつかの手続きが必要です。

4.1 取得手続き

 身体障害者手帳の取得には、以下の手続きが必要です。

  1. 主治医に相談:まず、主治医に身体障害者手帳の申請について相談します。

  2. 診断書の作成:指定医に「身体障害者診断書・意見書」を記入してもらいます。

  3. 交付申請書の提出:市区町村の障害福祉担当窓口で交付申請書を入手し、診断書と共に提出します。

  4. 審査:提出された書類を基に、障害等級が決定されます。

  5. 手帳の交付:審査が通れば、1~4ヶ月ほどで手帳が交付されます。

4.2 更新について

 身体障害者手帳は原則として更新の必要はありませんが、障害の状態が変わった場合や再認定が必要と判断された場合には再申請が必要です。再認定の際も指定医の診断書が必要ですので、障害の程度が変わる可能性がある場合には定期的に主治医と相談することが重要です。

まとめ

①身体障害者手帳とは?
 身体障害者手帳は、身体に障害がある人が福祉サービスや支援を受けるための証明書です。手帳には1級から6級までの等級があり、障害の程度に応じて分類されます。1級が最も重度の障害を示し、6級が最も軽度の障害を示します。手帳を取得することで、障害者本人やその家族が受けられる支援の内容が明確になり、日常生活の質を向上させるための様々なサービスを利用することができます。

②身体障害者手帳のメリット
 身体障害者手帳を持つことで、多くの支援やサービスを受けることができます。例えば、医療費の助成により診療費や薬剤費の自己負担が軽減されます。また、補装具の交付では、車椅子や歩行器、補聴器などの補装具を低価格で購入または修理できます。さらに、公共料金の割引や交通費の割引、税金の減免も受けられます。娯楽施設の入場料割引や各種手当の支給もあり、特別児童扶養手当や障害児福祉手当の手続きがスムーズに進められます。これらのメリットにより、経済的負担が軽減され、障害者本人とその家族の生活がより安定します。

③身体障害者手帳を取るタイミング
 
身体障害者手帳は、障害が永続的であると判断された場合に交付されます。特に小さな子供の場合、発達の状況を見ながら主治医と相談して適切なタイミングで申請することが重要です。厚生労働省の身体障害者障害程度等級表の解説によると、乳幼児の場合には障害の程度を判定することが可能となる年齢(概ね満3歳)以降に行うこととされています。したがって、3歳を迎える頃に申請を検討するのが一般的です。

④身体障害者手帳の対象となる障害の程度
 
身体障害者手帳は、さまざまな種類の障害に対して発行されますが、特に脳性麻痺の方に深く関わるのが「肢体不自由」というカテゴリーです。肢体不自由には、次の4つの項目があります。
上肢不自由:腕や手の機能に障害がある状態です。たとえば、腕や手の筋力低下や動作制限があり、日常生活で物を持つことが難しい場合が該当します。
下肢不自由:脚や足の機能に障害がある状態です。具体的には、脚や足の筋力低下や動作制限があり、歩行や立位保持に困難を伴う場合が該当します。
体幹不自由:体幹(胴体部分)の機能に障害がある状態です。たとえば、体幹の筋力低下やバランスの不安定さがあり、座ることや立つことが困難な場合が該当します。
脳原性運動機能障害:乳幼児期以前の脳の損傷や疾患によって運動機能に障害が生じた状態です。具体的には、不随意運動や運動失調があり、日常生活の動作に著しい支障をきたす場合が該当します。

⑤身体障害者手帳の取得方法と更新について
 身体障害者手帳を取得するためには、まず主治医に相談し、指定医の診断書を作成してもらいます。その後、市区町村の障害福祉担当窓口で交付申請書を入手し、診断書と共に提出します。提出された書類を基に障害等級が決定され、審査を経て1~4ヶ月ほどで手帳が交付されます。身体障害者手帳は原則として更新の必要はありませんが、障害の状態が変わった場合や再認定が必要と判断された場合には再申請が必要です。再認定の際も指定医の診断書が必要ですので、障害の程度が変わる可能性がある場合には定期的に主治医と相談することが重要です。

 身体障害者手帳を取得することで、日常生活がより快適になり、経済的負担が軽減されます。障害者本人だけでなく、家族全体の生活の質が向上するため、適切なタイミングで手帳を申請し、必要な支援を受けることが大切です。

参考資料
厚生労働省HP


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