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よなよな47 よなよなよな!


ばな子

しのぐ

私はまみちゃんと正反対で、下から家族に大声で「ごはんだよ〜!」と叫ぶタイプですが、私が私の個性を持ってそれをやっても、まみちゃんの「起こさない、叫ばない」となにも違いがないんですよね。
行動をまねてもしかたないというか、大事なのはその人のペースやテンポなんです。周りの人が肌で感じているその人の気配。
それに逆らうと、小さな逆らいが大きな面倒になってやってくるので、人生ってよくできてるなあと感心します。
私がけっこうな大声で子どもを起こすとき、いつも私の耳には父が私を起こすときの大声が聞こえてきます。なぜか「起きる時間だよ」と言わないで、「起きだよ〜」って言うんですが、それが今も聞こえてくるんです。
だから、私の大声は光の粒をつぶしてないなって思います。
その、それぞれの「なにか」ほど大事なものってこの世にないです。
今、裏の家の奥さんが思いっきり歌を歌っています。
窓が開いていて、ここまで聴こえてきます。なんか、いいなと思います。
騒音ではない。
彼女が今歌いたいと思って、スピーカーから流れてくる音に向かって晴れた日、気持ちよく歌っている。それだけのことで、騒音じゃなくなるんですよね。たとえ私の好みの音楽ではなくっても。
そんな音を出してるかどうか、それをのんきに受け取れる自分であるかどうか。それがだいじなことなんだと思います。

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よなよな、人生について意味なく語り合うばな子とまみ子。 全然違うタイプだからこそ、野生児まみ子の言うことを聞くとばな子こと小説家吉本ばなな…