住む世界を考える
✳︎今日のひとこと
お金持ちになりたいなと無邪気に思うことは誰にでもあると思いますが、お金持ちにも種類があります。すごいざっくりさですが、不動産、財閥、実業などなど。
それぞれはゆるくつながりあっていますが。
そしてそれぞれがそれぞれの歴史あるクラブのようなもの(ただし明確にあるわけではなく、空気が決めている)に入っていて、ライフスタイルはきっちり決まっています。
新参者でもその中で信頼がおける人とみなされれば、子どもや孫の代まで互助会のような(決して陰謀論でもなく、いやらしくもない、当然の人づきあいとして)システムがあり、だれかが困ったらだれかが助ける。その代わりに狭き門ですし、あまり外れていたら追い出されるようになっています。ここで保たれている大切な文化があるのです。
帆帆子ちゃんの日記本を読むと実感できるかもしれません。成金ではない代々のものであるところのあの階層を、あれほど自然に文章に表せる人を他に知りませんし、どういう感じなのかが実によく描かれています。お母さまもお父さまも周りの人たちもほんとうにすてきで、まさにあの階層のいい面が(だから私はその階層の人たちとある意味つきあいやすい。絶対初対面で仕事を頼んできたりしないから。そしてもの書きのたいへんさをちゃんと理解し、リスペクトしてくれるから)。
彼女のことをすっとんきょうでローラのような感じの無邪気なお嬢さまだと思っている人は多いと思うけれど、実際にとんでもない変な人たちにいっぱい会った後で彼女に会うと、「この世でいちばんまともだな」と思うのです。育ちがいいってやっぱりすごいなと。そして変な人たちが彼女につけ入ろうとしても、一族郎党そしてご先祖さまががっちり守っていて近づけないし、彼らの「自由に遊んでどんどんやりなさい、でも、変なことにはさせないぞ」という願い、その迫力を感じると思います。
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どくだみちゃん と ふしばな
吉本ばななです。やがて書籍になるときにはカットされる記事も含めています。どくだみちゃんは散文、ふしばなはブログ風です。コメントはオフですが…