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よなよな36 真のガテン

ばな子

残るもの

あの山岳料理人の歌、ほんとうによかった。そしてズバリ作る人の真実ですよね。
すごくいい顔をしていて、あれこそが料理をする人の顔なんだと思います。作ったものをどう食べてもらうか、相手の反応はどうかまで考えてしまうと、なにかが偏ってしまう。食事って自分にとって毎日の小さな作品だし。かといって、相手の反応を見ていないわけではない。彼のそのさじ加減がまさにさじ加減で。相手が日本人だからと出汁やお醤油やわかめを入れたり、工夫もしてるんですよね。
あんなたいへんな環境に食材を持って上がるわけだから食材が限られていて、でもただひたすらあるものでできるものを作るだけって本気で思ってて、なんとかしてバースディケーキまで作ってくれるっていう。そしていちばん過酷な日のお弁当には、粉とナッツだけの非常食。でも、ちゃんと目に美しいようにマドレーヌ型で抜いてあるの。
山の上のごはんがおいしいことが厳しい道のりの中でどれだけ励みになるか、観ているとわかります。食が人間を支えるっていうほんとうの意味がよくわかります。
前に冒険家の石川直樹さんが「食べものは僕にとってカロリーを摂って動くためのエネルギーを作るためのもの、おいしいとかまずいとか一切関係ない」と書いていたけれど、それは違う〜!あのごはんを過酷な山の上で食べさせてあげたい!パフォーマンスが絶対変わるって!と思ってしまいました。

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よなよな、人生について意味なく語り合うばな子とまみ子。 全然違うタイプだからこそ、野生児まみ子の言うことを聞くとばな子こと小説家吉本ばなな…