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体感

✳︎今日のひとこと

ありがたいことではあるのですが、よく「親ももの書き、姉ももの書き、才能を受け継いでいる、平和な家庭、貧困も知らない、ほんとうに恵まれている」と言われるのです。
が、もしもほんとうにそうだったら、小説家になんて絶対なってないと思います。

私も、別府倫太郎くんも、山田詠美さんも、村上龍さんも、村上春樹さんも…みんな、なにかどうにもならない欠落があって、現実に耐えられないことがあって、いろいろ考えざるを得なかったからこそ、書くようになったに決まっているのです。
みんながみんな「バチェラー」のシーズン3(今ちょうど観てるから例えに使っちゃうけど)の人みたいないい感じの、親もちゃんとしてよく稼いでるし、愛を持って子どもを育てて、よき社会の一員という感じの家庭に育っていたら(笑)、きっとこの世から芸術家なんて消えてしまうでしょう。
ものを創る人はいつも、世界の中でむき出しであるように感じている気がします。
そうでない人にはそうでない人の困難があり、悩みがあり、深みがありますから(バチェラーも泣いてたし)、他の世界を否定するわけではないのです。

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吉本ばななです。やがて書籍になるときにはカットされる記事も含めています。どくだみちゃんは散文、ふしばなはブログ風です。コメントはオフですが…