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No.6 ファインダー


今は液晶パネルが当たり前のようについているビデオカメラ。でも、私の修行時代はファインダーしかなかった。で、よく言われていたのは「ファインダーで絵を探すな」ということ。「ファインダー=探すもの」なのに。プロカメラマンは右目をファインダー左目は外の状況をみるべき、と教えられました。状況がわからないと、何を狙うかを決められないからです。逆に、状況が見えていれば、次に狙うべきものを予測し、先回りできるからなんですね。まあ、ブライダル撮影とか、ドキュメンタリーの撮影ではとても重要なことです。

けれども、状況がよく見えない、ということもままあります。動物が相手のときがまさにそうです。ただの林にしか見えない中で、鹿を見つけること、水面を見て魚を見つけること等々、案外難しい。ところが、しばらく見ていると、なぜか突然見えるようになる。鹿を一頭見つけると、いるわいるわ、周りに何頭も見つかる。水面を覗いて一匹でも魚が見えると、あとはどんどん見えるようになる。これは本当に不思議なことです。

で、やっとそこで撮影ができるといった具合です。

動物的本能が蘇るのか、単に目の焦点距離が合うのか、科学的な説明は私にはできません。ただ、そんな経験がたくさんあって、野生のニホンザルだとか、鹿、天然記念物の魚(ハリヨ)、夕暮れのヨシキリの群れなどを撮った経験があります。だから左目の役割は、非常に重要なんですね。とにかく両目をあけて撮影する、それが基本です。

もちろん、左目と右目の視覚を同時に認識するのは無理です。ただ、いつでもどちらかを確認できるというのは、重要なこと。「スマホ歩き」が危険なのと同じで、ビデオカメラの液晶モニターだけに集中していると大変危険です。人にぶつかるかもしれないし、車に轢かれるかもしれなません。

というわけで、初心者の方は特に、冷静に状況を把握してから撮るようにしてくださいね。(2023年8月7日)

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