「It’s the Economy, Stupid」(要は経済なんだよ、馬鹿者)

(歯科医院見学については現在動画を準備中なので今日は別の話題を)

「It’s the Economy, Stupid」って聞いたことありますか?アメリカ政治界でよく使われる言い方で「要は経済なんだよ、馬鹿者」という意味です。1990年代のアメリカ大統領選で既存のブッシュ政権に挑む新人クリントン陣営がスローガンに掲げていました。(ブッシュ陣営は経済政策がうまくいっていなかった)そして勝利はクリントンの手に。

若い先生や学生さんと話していると「経営に走っている先生」という言葉を聞きます。意味するところは「臨床をないがしろにして、経営ばかり追い求めている」となるでしょうか?何度もそんな言葉を耳にすると、何となく「経営」って眉をひそめるべき事のような気がしてきますよね。

じゃあ、本当に経営って汚くて見て見ぬふりすべきことなんでしょうか?

経営がうまくいかない事例を見てみましょう

●医院規模小さい
●スタッフ少ない
●設備貧弱
●利益少ない

●医院規模小さい

小さくてもいいんですけど、狭小医院だと充実した設備を置く場所がありませんし、院長もスタッフも患者さんも狭さに耐えなければなりません。
(院長、スタッフ、患者さん全員にマイナス)


●スタッフ少ない

2~3名のスタッフだと各職種1名程度しか居ませんので、スタッフは体調が悪くても出勤せざるを得ません。
また歯科衛生士が在籍しない歯科医院はあるのですがそこだと患者さんは予防という歯科において最も大事なサービスを十分してもらえない事になります。
患者さんは院長に直接見てもらえるというメリットはありますが、逆に言えば院長にしか見てもらえない、他の歯科医師の目がない環境で治療が行われることになります。複数の歯科医師が在籍する医院ではカンファレンスや相談などの形で院内セカンドオピニオンを得る事ができ、ひいては患者さんのメリットにつながります。
また、売り上げを立てる面においては、院長先生が削ってかぶせるしかなく、院長の体力を消耗させるのと引き換えに売り上げが上がります。それゆえ院長に過剰な負担が掛かります。そして、その結果として院長が体調不良にでもなったらあっという間に医院が倒産してしまいます。
(院長、スタッフ、患者さん全員にマイナス)


●設備貧弱

お金がないと設備が買えません。私たちの治療はほぼ全て機械や器具を通して行いますので、こんなことでは良い治療など望めません。特に経営が悪い歯科医院が真っ先に切ってくるのが滅菌関係です。患者さんの命を危険にさらす事態に陥っている医院もあります。スタッフに対する安全対策も後回しになり、中にはB型感染の予防接種を実施していない歯科医院もあります。
(院長、スタッフ、患者さん全員にマイナス)

●利益少ない

先生の生活は貧しくなり、スタッフさんに良い給与条件や労働環境を提供できず、患者さんのために良い治療を提供するための勉強も機材導入もできない。
(院長、スタッフ、患者さん全員にマイナス)


といった具合に経営から目を背けると全ての人が酷い目にあいます。歯科医院にお金がないことはみんなを不幸にするのです。お金儲けのためにいい加減な治療をする、感染対策をいい加減する、などは論外ですが、歯科医院がお金を儲けるのは全く悪いことではありません。

「It’s the Economy, Stupid」(要は経済なんだよ、馬鹿者)

みんなを幸せにするため歯科医院は絶対にお金は儲けなければならない。馬鹿者とまで言われる筋合いはありませんが、要はそういうことなんですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?