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日本のSDGsローカル&ビジネス指標を簡単検索「SDG Indicator DB」

SDGsでは、世界共通の「SDGsグローバル指標」に基づいて進捗を管理している。同時に、国や地域ごとの実態を考慮した「SDGsローカル指標」も活用することで、誰もが具体的に理解かつ実感できるようにしている。今回は、日本国内のローカル指標やビジネス指標を調べる際に便利なデータベースサービス「SDG Indicator DB」を紹介する。

SDGsローカル指標

以下の記事では、世界共通の「SDGsグローバル指標」と、それをベースにして作られた日本国内向けの「地方創生SDGsローカル指標リスト」について説明した。

この中で紹介されているデータベースサービス「ローカルSDGsプラットフォーム」は、法政大学デザイン工学部教授でローカルSDGsに詳しい川久保俊氏の研究室が開発と運用を行っている。

川久保氏は、『SDGs白書2020-2021』の「より良い未来へ向けて行動変容を促すSDGs指標」で、SDGsグローバル指標をはじめとする指標活用について解説している。ローカル指標がなぜ生まれたのかやその重要性についても触れているので、ぜひご一読いただきたい。

その川久保氏が中心となって進めている「ローカルSDGs推進による地域課題の解決に関する研究」では、指標活用のためのデータベースサービス「SDG Indicator DB」を公開している。

4つのローカル&ビジネス指標をデータベース化

SDG Indicator DBは、名前のとおり「SDGs達成に向けた取り組み状況や進捗を計測する指標(インジケーター)のデータベース」だ。

日本のローカル指標として先に紹介した「地方創生SDGsローカル指標」と「総合計画・総合戦略のKPI」、ビジネス指標として「Inventory of Business Indicators」「サステナビリティレポートのKPI」の4つの指標をカバーしている。

ユーザー登録が必要だが、無料で利用できる。スタート画面で、どのデータベースを利用するかを選択する(画面上部のメニューからも選択可能)。

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「地方創生SDGsローカル指標」は、先述のリスト(PDFファイル)の内容をデータベース化したもので、SDGsの目標で絞り込んだり、指標名(に含まれる文字)で検索したりできるので非常に便利だ。

例えば、「目標14(海の豊かさを守ろう)」で絞り込むと、次のような結果が表示される。

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「総合計画・総合戦略のKPI」は、全国の都道府県・市区町村が定めている指標で、「総合計画」や「まち・ひと・しごと総合戦略(第1期・第2期)」などの計画書ごと、自治体やSDGsの目標ごとに絞り込んだり、指標名で検索したりできる。

総合計画

「Inventory of Business Indicators」は、グローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)、国連グローバル・コンパクト、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が発行する『SDG Compass』の指標だ。

SDG Compassは、SDGsを企業はどう活用できるか・すべきかという企業の行動指針をまとめたものだ。SDGsの目標や発行年ごとに絞り込んだり、指標名で検索したりできる。

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「サステナビリティレポートのKPI」は、企業が公開しているサステナビリティレポートの内容を基に、SDGsに関連していると思われる指標をAIが判断して抽出したデータベースだ。SDGsの目標や産業分野ごとに絞り込んだり、企業名や指標名で検索したりできる。

サステナ

指標を知ることでビジネスにつなげる

開発と運用に携わる川久保氏は、『SDGs白書2020-2021』の中でSDG Indicator DBを次のように紹介している。

SDGsの達成に向けて取り組む全ての関係者を支援するため、SDGsマネジメントの協力を得てSDGs指標のデータベース(SDG Indicator DB)を構築した。指標を目標別や気になるキーワードで検索することも可能であり、SDGsアクションを展開する上で参考にしていただきたい。

(『SDGs白書2020-2021』、p.178、インプレスR&D、2021年5月)

SDGsは関係する領域が広大で、背景、定義、指標についても詳細かつ緻密に説明されている。関連文書や資料も多く、すべてを正しく把握するのは容易ではない。

SDG Indicator DBを使えば、指標をさまざまなキーワードや条件で検索できるし、他の企業や団体がどのような指標を定めているのかを知ることもできる。

特に「Inventory of Business Indicators」と「サステナビリティレポートのKPI」は、企業でSDGsに関わっている人には有用だろう。また、自治体の取り組みが分かれば、その地域でのビジネスにつなげられるかもしれない。

個人としても企業としても、SDGsに取り組む際のツールとして役立ててほしい。


文:仲里 淳
インプレス・サステナブルラボ 研究員。フリーランスのライター/編集者として『インターネット白書』『SDGs白書』にも参加。

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インプレスホールディングスの研究組織であるインプレス・サステナブルラボでは「D for Good!」や「インターネット白書ARCHIVES」の共同運営のほか、年鑑書籍『SDGs白書』と『インターネット白書』の企画編集を行っています。どちらも紙書籍と電子書籍にて好評発売中です。