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牧島かれんデジタル相が語る"人に優しいデジタル社会 "とは? 「CEATEC 2021」より

10月19〜22日に開催されている「CEATEC 2021 ONLINE」。15日のオープニングイベントでは業界関係者たちがメッセージを送った。その中で、牧島かれんデジタル相は、日本のデジタル改革について「温かいデジタル社会」を目指すと語った。

人に優しいデジタル化、温かさを実感してもらいたい

国内最大級のIT・エレクトロニクスの展示会「CEATEC 2021 ONLINE」が、2020年に続き完全オンラインで開幕した。10月19~22日の開催に先駆け、15日にオープニングイベントとしてキーノートを配信。主催となる電子情報技術産業協会(JEITA)の綱川智会長(東芝社長兼CEO)のあいさつに続いて、国内外からメッセージが寄せられた。牧島かれんデジタル相もその一人として登壇し、”日本のデジタル改革”への思いを述べた。

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冒頭で「コロナ渦によって、デジタルの遅れをさまざまな場面で皆さんも感じられたのではないでしょうか」と切り出した牧島デジタル相。「行政や地方自治体への申請がオンラインだけで完結できず、窓口にも行かなければならなかった」という声を多く聞いてきたと続けた。

20年前に施行されたIT基本法について「枠組みとしては社会に実装されてきたものの、十分に活用し、デジタル社会へと形を変えていくところまではできなかった」とし、その反省に立ち平井卓也前デジタル相からのバトンを引き継いだという。

デジタル庁の掲げるミッション「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。」については、「デジタルと聞くと『冷たい感じがする』という声もあるが、デジタルで温かさを実感してもらいたい。そのために一つ一つの政策を前に進めていきたい」と述べた。

社会課題に対し「デジタルに何ができるのか」

続けて、高齢社会、少子化対策、都心部と地方部の格差といった社会課題に触れ、「デジタル田園都市国家構想が示すように、どの場所からもデジタルの恩恵を受けられ、メリットを感じることができる社会にしていきたい」とした。また、国だけではなく地方自治体においても、生活の質の向上や安心・安全につながるために「デジタルに何ができるかが問われている」と受け止めているという。

デジタル技術という側面では、「霞が関、地方自治体、行政機関といった公共分野から、教育、医療、介護、健康、防災・災害対策といった準公共分野へと広げようとしている。力強く進めていきたい」。自然災害への大きな挑戦として「デジタルで一人一人の命を守ること」と向き合っていくとし、教育分野では、GIGAスクールの実装後、学びにつなげていくまでをフォローし、さらにはスタディログをどのように見ていくのかといったことも考えていかなければならいという。

日本発の概念として「DFFT」を世界へ発信

10月20日からマイナンバーカードの健康保険証利用が開始となったが、牧島デジタル相はこれに伴い、医療機関で行った自身の利用体験についても触れた。「受付でマイナンバーカードをかざし、顔認証システムによってマイナンバーカード上の写真が本人と確認され、ほんの1〜2秒で手続きができた」「特定健診のデータや薬剤履歴、薬歴を医師に見せることができた」と説明。これにより、医療機関をまたいで服用中の薬や検診結果などが共有でき、正確な判断の下で治療や手術を検討することができるといったメリットがあるとし、「準公共分野でのデータや情報の本来の使われ方が見えてくるのではないか」と期待を込めた。

また、岸田文雄首相が初会見時に語り話題となった「DFFT(Data Free Flow with Trust=信頼ある自由なデータ流通)」について、これもデジタル相が担うことになったとし、「信頼を担保した上でデータを使っていく」「DFFTという日本発の概念を世界に発信していく」といった考えを述べた。

デジタルデバイド対策には民間の力も必要

10月10日・11日に開催された「デジタルの日」についても言及した。デジタルの日は「定期的に振り返り、体験し、見直すことができる」、そんな思いを込めてつくられたという。デジタル庁がオンラインで開催したイベントには視聴回数が述べ250万回あり、多くの方に関心を持っていただいたとうれしく思う」と振り返った。

今年のテーマとなった「#デジタルを贈ろう」について、「デジタルを通じて温かい心も一緒に贈ってもらうことを目指したが、実際、離れて暮らす家族にパソコンを贈ったとか、パソコンの使い方に慣れない人をサポートしたといった話も聞いている。デジタルデバイド対策には民間の力も必要。一人一人の心の持ちようによって対策も進むと感じた」と語った。来年は、10月をデジタル月間にするという。

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「CEATEC 2021 ONLINE」は、9月から始まったプレイベントのセッションを含め、会期終了後もオンデマンドで、11月30日まで視聴が可能だ。*オンライン登録が必要

文:遠竹智寿子
フリーランスライター/インプレス・サステナブルラボ 研究員

編集:タテグミ
トップ画像:iStock.com/metamorworks

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