ヨーロッパ学入門:4章ヨーロッパの神話と民話〜民話の復活か?

 前回ヨーロッパの思想の変遷を議論した。自分で自分の行動を決めていた狩猟民族時代から、農業・鉱業・製造業と我々の暮らしは飼い慣らされてきた。それによって、自分で自由と感じる時間が制限されてきた。それを救うのは、自分の暮らしの考え方の変容だろう。これを、今回のテーマの神話と民話から考える。

 下の図は、この章のまとめだ。各地にある神話は6つにまとめられ、多種多様な民話にも共通点があるという。その神話が組織化されたものが信仰であり、信仰が宗教として形作られる。ヨーロッパの宗教、キリスト教が誕生したのは、ローマが帝政に移行した直後の時期だ。元になったのはユダヤ教。イスラエルの民の歴史である旧約聖書に、メシア到来の新約聖書を追加した。それが十六世にはヨーロッパの宗教としての位置を確立した。

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 民話も神話も、日常生活と非日常生活が記述されている。神話がより広域に伝搬する宗教となったのに対し、民話は地域の生活に密着している。生活に対する教訓を含んでいるものも多い。それら習慣・道徳的な活動の延長で自己組織化された自治会活動も取られられるかもしれない。

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 地域を組織として考えると、自治会活動の中でこれまでの習慣的な活動や、新たな活動が提案される。企業では戦略的意思決定がなされるが、地域コミュニティではどうだろうか?観察された多くの事象から新たな見方、意味を導き出すためには、現場から離れることも必要であろう。それを考え、検証していく両方向の活動が可能なのは、民話の育った生活の場だ。

 このコロナによって、自分回帰した生活を取り戻してきた人たちのニュースを目にするようになった。これからは、新しい民話の復活の時代ではないか。

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