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再び人間中心時代:『地中海世界』フェルナン・ブローデル編 - つなぎ ヨーロッパ学入門 ヨーロッパの思想

 今回は、大胆にも古代ギリシャから近世までの思想について大きな流れをつかんでみたい。

人が主人公:古代ギリシャ

 古代ギリシャは人が主役だ。直接民主制による都市国家が花開いた。自由な時間を持つ人と、その生活を支える奴隷から構成される都市文明だ。その時代の思想は、存在論・目的論・機械論など多様な哲学が花開いた。同時に、それらは政治にも影響を与えた。

世界が拡大:アレキサンダー時代

 古代ギリシャの思想が東方、アジア・アフリカに広がり、ヘレニズム文化が作られた。都市の人達が地域に広がり、融合した。その中でコスモポリタン的見地が生まれた。ギリシャ文明は、地域にある迷信や占星術などあまり良い影響はなかったようだ。また、古代ギリシャの多神教よりも、地域のもっていたより洗練された一神教、キリスト教との融合が始まった。

 古代ギリシャで一体化していた哲学と政治は、アレキサンダー時代になり分離し、哲学は政治については関与しなくなる。さらに、占星術への信仰に陥ったという。これは知的弱体化とともに、道徳的退廃をもたらした。

ヘレニズムとヘブライズムの融合:中世と反発:近世

 その後の千年にわたるキリスト教支配の後に、ルネッサンスと宗教革命が起こった。イタリアの裕福な商人や貴族が中心となったルネッサンス、一方ドイツで始まった宗教改革。以下にまとめを示す。


歴史

 直接民主主義による都市国家で形成された都市文明は、人が主役だった。ただし、一部の人だ。世界の広がりとともに、コスモポリタン(世界人)と地域の多様性が問題を複雑にした。その一つの開発方法が、信仰、一神教だったのではないか。

 これまで個人主義・人間中心・自由奔放のギリシャ的思想から、混乱の他力本願時代を超えて、再び自分で考える時代となった。ただし、以前の時代に戻るということではない。古代ギリシャは一部の幸福だったのだ。それに対して、現在はすべての人の善を考える。そのヒントが宗教にあるのか?あるいは、哲学なのか?

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