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夜更けの思索宮

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時には哲学を、古代ギリシャを、あるいは皮肉やのイタリアの彼氏のような、ちょっといつもの場所をはなれて遊ぶ
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2020年10月の記事一覧

ヨーロッパ学入門:4章ヨーロッパの神話と民話〜民話の復活か?

 前回ヨーロッパの思想の変遷を議論した。自分で自分の行動を決めていた狩猟民族時代から、農業・鉱業・製造業と我々の暮らしは飼い慣らされてきた。それによって、自分で自由と感じる時間が制限されてきた。それを救うのは、自分の暮らしの考え方の変容だろう。これを、今回のテーマの神話と民話から考える。  下の図は、この章のまとめだ。各地にある神話は6つにまとめられ、多種多様な民話にも共通点があるという。その神話が組織化されたものが信仰であり、信仰が宗教として形作られる。ヨーロッパの宗教、

再び人間中心時代:『地中海世界』フェルナン・ブローデル編 - つなぎ ヨーロッパ学入門 ヨーロッパの思想

 今回は、大胆にも古代ギリシャから近世までの思想について大きな流れをつかんでみたい。 人が主人公:古代ギリシャ 古代ギリシャは人が主役だ。直接民主制による都市国家が花開いた。自由な時間を持つ人と、その生活を支える奴隷から構成される都市文明だ。その時代の思想は、存在論・目的論・機械論など多様な哲学が花開いた。同時に、それらは政治にも影響を与えた。 世界が拡大:アレキサンダー時代 古代ギリシャの思想が東方、アジア・アフリカに広がり、ヘレニズム文化が作られた。都市の人達が地域に