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夜更けの思索宮

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時には哲学を、古代ギリシャを、あるいは皮肉やのイタリアの彼氏のような、ちょっといつもの場所をはなれて遊ぶ
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2020年6月の記事一覧

『地中海世界』フェルナン・ブローデル - 夜明け

 閉じたフェニキアと、開いたギリシャ、同じ地中海の海洋民族として活躍した民の違いに興味を持った。貿易をする以上、活動は開いているが、信仰をもとに民のアイデンティティを硬く保つものと、貨幣という経済的武器をもとに、自由に文化を開花するギリシャ。後のローマの登場で、ギリシャとオリエントはヘレニズム文化として融合する。ローマは、ここに登場した原始都市を都市に仕上げ、大きな組織を構成した。その夜明け前の地中海世界を覗いてみよう。 小アジア原始都市の誕生 各地を放浪して暮らしていた小

『地中海世界』フェルナン・ブローデル - 海

地中海の唯一の豊かな漁はまぐろ漁 学生の時、訪れたギリシャで食べたのは、ヤギのチーズとオリープがたくさんのったサラダとムサカだった。海に囲まれているのに、魚が少ないと感じたことを思えている。「水産資源としての地中海は貧しい」とブローデルはいう。それもそのはず、google mapが示す地中海は深く、魚が好むプランクトンなどの餌がない。そのため、限られた種類の、少量の魚しか取れないのだ。 道としての地中海 一方、「交通路」として地中海は、地中世界の「富のための道具」である。今