月と猫で何を思う? 「感じるな、考えろ」 〜映像演出が誘導するあなたの喜怒哀楽〜
大波乱の2024年の幕開け。
ニュースを連日眺めていると不安や恐れが増してしまうから、正月特番のエンタメ番組を探す人も多いでしょう。
いずれにしても映像は常に心を動かしていますね。
映像を作っている身からして本当〜〜〜に口酸っぱく言い続けたいことがあって 感動、つまり喜怒哀楽の意識は映像演出のロジックに従って変えられていると知り防御してほしい ということ。
設計図を元に人の心は動かせるのです。
「考えるな、感じろ」という有名なキャッチコピーは心地よいフレーズだけど 映像が常に近くにある現代では「感じるな、考えろ」と提唱したい。
陰謀論者ではなく真実を伝える人だったとひっくり返ることもあったここ数年、嘘と真実が織り混ざる映像の乱世に然るべき態度です。
さて、数ある映像演出のひとつにモンタージュ理論があります。 2つ以上のカットをつなげることによって、後ろの映像は前の映像の影響を受けて新しい意味が現れることを示した理論。
例)同じ猫の写真でも、前に見た写真によって違う意味を持った猫の写真になってしまう。
解説
月と猫は、夜空を眺め物思いにふける猫の心を想起させる。
魚と猫は、魚を食べたがっている猫の心を想起させる。
熊と猫は、熊に怯える猫の心を想起させる。
木と猫は、木に登ろうとしている猫の心を想起させる。
たった2枚でも何かしらの意識やストーリーを想起させることができるのがカット演出です。
※それほどでもないと感じる場合は、2枚の写真がフリー素材であり相互に適切な素材でないからです。もちろん実際のニュース映像や作品では適切な素材で構成されています。
人間の脳は前後の映像を関連づけて意味のある情報に結びつける性質があります。 これらカットを何十、何百と組み合わせて映像は構成されていく。
このモンダージュ理論は映像演出の基礎で一例でしかありません。
ほかにも
BGMやサウンドエフェクト(SE)
画角(寄り、引き、アングル)
カットの長さ
絵全体の色味
テロップ(出すタイミング、デザイン、エフェクト)
ナレーション(トーン、大きさ)
シナリオライティング
背景
キャスティング(人気者なら発言も注目される)
専門家・大学などの社会的権威性
などの要素で心をコントロールする力は掛け算で倍倍増。
カラーテレビが普及した1960年代から数えても約60年こうやって喜怒哀楽を植えられ続けてきた。生まれたときから365日、24時間放送し続けているテレビによって。
心を動かされている自覚があるかどうかで、影響の受け方は変わってきます。
映像演出による心理効果は、白黒映画が始まった20世紀初頭から研究され続けてきた分野で、ナチスドイツでのプロパガンダ映画の例は有名です。
国を動かす司法立法行政の三権力に並んで、第四の権力だといわれる大手メディア。 SNS動画も台頭していますが、テレビの影響力と権威がまったく弱くないことを2020年から体感していますね。
大衆をコントロールする力はまるで「魔法」のようなものだといっていいくらい強力です。
映像氾濫時代のいま、そんな魔法を受ける我々はホグワーツ魔法学校でいうところの「闇の魔術に対抗する防衛術」を積極的に学ぶべきだと思っています。
それは演出テクニックを知ればいいだけ。知るだけで防御力が上がります。知識があれば騙されません。
2024〜25年は社会が大きく変化すると予想されています。 激動の時代は2020年から始まっていますが、ピークがこの2年かもしれません。
映像に煽られ間違った選択をしないためにも、今年は「感じるな、考えろ」をテーマに映像演出のトリックについて投稿を増やしていきたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?